料理解説Ⅲ:ロブスターロール
「こんにちは! ろびんです」
「織亜ですー」
「今回は、期間限定・ロブスターロール事件!」
「……事件?」
「なんか、そういうタイトルの小説がなかったっけ」
「あったような、なんか違うような。まあそれはそれとして、ロブスターロールの解説です」
「これもニューイングランドの名物なんだよね?」
「うん。というより、ロブスター自体が名物なのかな? ロブスター漁がさかんなのは大西洋岸の北のほうなので、カナダの東海岸地方から、南はニューヨークあたりまでよく食べるみたいです」
「ふうん。ほかには、どんな料理があるの?」
「丸のまま、茹でたり蒸したりすることが多いんじゃないかな? あとは、身がたくさん入っているツメとかシッポの部分だけを、焼いたり揚げものにしたりすることもあるみたい」
「グランマが、あまったカラでスープを作ることもあるよね」
「あ、そうね。カラからもいい出汁が出ます。トマト味のロブスター・ビスクというのが定番です」
「ロブスターロールにするときは……」
「ロブスターロールの具にするときは、まず茹でてカラをむいて身を出します。茹でるまえは青っぽい体色なんだよ」
「知ってるよ。送ってきたばっかりのを見たことあるもん。ザリガニみたいだよね」
「まあ、種類は近いんじゃないかな? 茹でた身はほぐして、うちでは刻んだセロリとあわせてマヨネーズで和えます。塩コショウで味をととのえて、それをパンにはさんだらできあがり。レタスを入れるとか、レモンを添えるとかはお好みで」
「パンはコッペパンみたいなやつだよね」
「Kitchen Dagonでは、いつも仕入れているパン屋さんのコッペパンを使ってます。本場ではホットドッグ用のバンを使うそうです」
「そうなんだ」
「期間限定なうえに、うちではいちばん単価が高いメニューなんだけど、現地で食べると15ドルから20ドルぐらいすることもあるらしいので、それに比べると実は安いんじゃないかな?」
「高級食材なんだね。安くできるのは、グランマの知り合いから買ってるからだよね」
「そうね。カナダで水産品の貿易業をしている親戚がいるそうです。キズがついてたりする規格外品をわけてもらうから、すこし安く手に入るみたい。でも送料もかかってるからね」
「……これ、作りかたとしてはカニサラダとあんまり変わらないんだよね」
「ん? まあ、似てはいるかな。カニも安い食材じゃないけど」
「そうだけど、カニじゃなくてカニカマで作ったら安く出せるんじゃない? それか、ましゅうの工場でロブスターかまぼこを作ってもらうとか……」
「あー、たしかにあそこ、てんぷら(さつまあげ)のほかにかまぼこやカニカマも製造してるよね」
「でしょ?」
「うーん。でも、ましゅうのカニカマって、それだけ食べるとだいぶカニっぽいけど、調理したりマヨネーズと和えたりすると、練りものっぽさが際立つと思うんだよね。それはそれで、創作メニューとして成り立つかもしれないけどね」
「ところで、ロブスターロールの具って、なんでセロリが入ってるの」
「それは、もともとがサラダだからじゃない? サラダをパンにはさんだものだから。ツナサンドみたいに」
「そういえば、グランマが作るやつにはツナサラダにもセロリ入ってる……」
「ポテトサラダにもコールスローにも入っているわよね」
「うん。ポテトサラダのときは気がつきにくいからやっかいだ」
「ろびんは昔からセロリ苦手よね。どうして?」
「におい。噛んだときのにおい。のみこんだあとのにおい」
「そんなに嫌いか。さわやかでいいと思うんだけどね」
「ぜっっったいにそんなことない」
「最近はグランマが、わざと細かく刻んで入れて食べさせようとするし……」
「あきらめて食べてみたら? おいしいよ?」
「ぜーーーったいにイヤだ!」
今回の記述は主にWikipedia英語版の以下の記事を参考にしました:
https://en.wikipedia.org/wiki/Lobster
https://en.wikipedia.org/wiki/Lobster_roll