料理解説Ⅱ:アイスクリーム・サンデー
「ろびんです」
「織亜です。こんにちは!」
「今回の料理解説は、知る人ぞ知るKitchen Dagonの人気メニュー、アイスクリーム・サンデーです」
「ろびんは、よくこれに救われているよねー(『なかなおりサンデー』参照)」
「……それはもういいよ」
「はいはい。甘党のお客さんに人気のあるメニューだけど、構成はシンプルです」
「ベースはバニラアイス!」
「そこに、チョコレートのホットファッジソースと、バタースコッチソース。あとはお好みで、クラッシュしたナッツとホイップクリームとチェリーのシロップ漬け。以上。特徴は、量が多いこと、ぐらいかな」
「ソースはいまでもグランマの手作りなんだよね」
「うん。ホットファッジとバタースコッチは作りおきがきくので、グランマがときどき作ってます。でも、ご家庭で再現したかったら、市販のアイスクリームとチョコレートソースとキャラメルソースで似たようなものになるよ」
「そうなのかなあ。そういえば、キャラメルとバタースコッチは別のもの?」
「似てるけど、ちょっとちがうかな。どちらも砂糖とバターを溶かして、生クリームと合わせたものではあるんだけど、キャラメルは白砂糖、バタースコッチはブラウンシュガーを使います。塩少々とバニラエッセンスで味を整えるんだよ」
「ホットファッジは? チョコレートソースとなにかちがうの?」
「うーん。グランマのホットファッジは、固形のチョコレートを溶かしたものではなくて、ココアと砂糖とバターを混ぜて、そこに生クリームが入るんだけど、ゆるく作った生チョコレート、みたいな感じじゃないかな」
「砂糖とバターと生クリーム……」
「そう、どっちのソースにも、けっこうたっぷり使ってるよ」
「それがアイスクリームにかかってて……」
「うん」
「そこにホイップがかけてあって……」
「そうね。カロリーのことは忘れましょう。食べたら、しあわせー、な気分になるんだよ。それでいいんだよ!」
「なんか力説するね、お姉ちゃん……」
「ごほん。ところで、サンデーとパフェはなにがちがうのか、という質問もときどきいただきますが」
「あ、たしかに」
「サンデーは基本的に、アイスクリームとソースだけです。そこにゼリーやスポンジケーキやシリアルが入ってるのがパフェ。Kitchen Dagonでは深皿で出しているけど、ほんとはサンデーもグラスで出すものらしいですね」
「へえ、そうなんだ」
「サンデーは、十九世紀末のアメリカの、ソーダファウンテンで考案されたメニューだとされてます」
「ソーダファウンテン?」
「そうだ」
「…………」
「…………」
「…………」
「……ごめん。ちょっと言いたかっただけ。えーと、炭酸飲料を出すカウンターみたいなもの、なのかな。だいたい薬局や雑貨店の中にあって、ソーダの上にアイスクリームをのせたアイスクリーム・フロートが人気メニューだったらしいのね」
「あ、クリームソーダみたいなの?」
「そうそう。サンデーは、そのフロートの変種として生まれたんじゃないか、という説もあるみたいです。いまはsundaeと書くことが多いけど、日曜日のSundayが語源、とも言われてます。もともと日曜日に出してたのかな」
「ふうん」
「ところでろびん、日曜日はハルちゃんと美術の宿題するはずだったんじゃないの?」
「えっ、うん、そうだったけど……」
「終わったの?」
「それは、まあ、その」
「宿題なんでしょ?」
「明日やるもん! 美術の授業は木曜日までないから、大丈夫……」
今回、参考にしたレシピは:
Shuna Lydon “How to Make Butterscotch,” Simply Recipes, http://www.simplyrecipes.com/recipes/how_to_make_butterscotch/ (consulted April 3, 2017)
Ree “Hot Fudge Sauce,” The Pioneer Women (March 18, 2016), http://thepioneerwoman.com/cooking/hot-fudge-sauce/ (consulted April 3, 2017)
サンデーの歴史についてはWikipediaのSundaeの項も参照しました。(https://en.wikipedia.org/wiki/Sundae)