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20(フェアじゃない)

 その後のことはあまり憶えていない。どういう次第かカラクリか、わたしは二次募集なるものをたったひとり受験させられた。「成績優秀」で「未来のある子供」で「家庭環境に同情」されて。

「フェアじゃないと思う」

 居間で向き合い、わたしはいった。「ルール違反だよ」

「そうだよ」叔母は湯飲みをテーブルに置いて続けた。「世の中なんてそんなもんだ。なんでもかんでも、がんじがらめってワケでないのは分かってるだろ。ルールは曲げたらもうルールじゃない。けれども必ずどこかに抜け道ってのがある。そりゃお世辞にも流麗華麗で冴えたやり方とはいわないさ。でもそれで助かることもある」そして苦笑混じりにいい添えた。「もちろん逆もあるけどね」

 叔母は真っ直ぐわたしを見つめた。「あたしはあんたに恥ずかしくないよう、顔向けできないことはしたくないと思ってる」

 暗に、わたしのような子供風情が知らなくていいことがあるといわれたように感じた。

「……詭弁だよ」

 叔母は薄く笑った。「もうあたしはお役ご免かな。かわいいだけの姪っ子でいて欲しいのと同じくらいに、あんたが大きくなるの、すごく楽しみにしていた」

 なんとも返答のしようがなかった。叔母は狡い人だと思った。でも大人なのだと理解した。


   *


 庭先では白い梅が静かにこぼれ、わたしの中学生活が僅かとなったことを告げていた。

「結局、曲がっちゃったね」

 入学要項を読みながらわたしはいった。私が生まれるずうっと前に母の卒業した学校へ進学するとは思わなかった。

「いいんだよ」テーブルの上を片付けながら叔母はいった。「杓子定規は理想の願望。計れない現実なんてゴマンとあるさ。人が介在するものに余裕幅がなかったら無茶もいいところ。だからさ、ミカ」叔母は噛んで含めるように続けた。「持ってるものはなんでも使え。使わない選択肢もあるけど、使えないのでは天と地ほども差がある。有効活用の何がけいない? 家は古いし、ご先祖さまの威光もまだまだ活きてる。フェアかどうかでいうなら真っ黒だ。世の中は不公平だし、それで当たり前。あんたもあたしも、たまたま持ってるものを有効に使っただけなんさ」

「わたし、高校うまくやっていける自信ない」

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