怨
うーん
ホラーって難しい(・・;)
いままでホラーすらもコメディにしてたから尚更か(ーー;)
そして書いてて気づいたのは呪怨ぽい(ーー;)
だから期待はせんでくれ(ーー;)
某日某所
とある駅付近の交差点に彼女はいた。
名前は崎塚 奈緒
この春からOLをやってる高校あがり。
最近とある事に悩んでいる……。それを友人に打ち明けるために電話をかけていたところだった。
「あぁ…由美?」
「奈緒?どした?」
電話に出た由美と呼ばれた女性は、奈緒の中学来の友達で色々な相談に乗ってもらったりしていた。
「あのね。ちょい相談なんだけどさ、ストーカーの相談って警察でいいのかな?」
「はぁ?ストーカー?遂に自意識過剰になってきた?」
「いや、そんなんじゃなくてさ……何かマジで見られてる感じするってか、寒気するってか……とにかく気持ち悪い感じすんの」
「ん~?とりあえず警察でいいんじゃん?案外奈緒の勘違いとかありそうだし」
「だといいんだけどさ……明日行ってみるわ」
「それがいいんじゃない?まぁ心配なら家来る?」
「いいの?」
「別に私の家なんだからさ。用意して来なよ。だけどストーカーとか連れて来ないでよ」
「わかってるよ~だ。じゃね」
「バ~イ」
そこで、電話は切れた。
奈緒は携帯を閉じ、鞄の中から鍵を取り出す。
電話をしているうちに家の前まで来ていたのだった。
「明日は休みだし目一杯くつろご」
奈緒はエレベーターのスイッチを押し、上の階に居たエレベーターを呼んだ。
エレベーターは数秒と経たないうちに到着し、入口が開いた。
「後ちょっとで家だぁ~」
奈緒は何気なくエレベーターに乗り込み、8階のボタンを押す。
その時、奈緒はとてつもない寒気と鋭い視線を感じ周りを見渡した。
「私、1人だよね……」
奈緒は、気にしないようにしながら扉の方を向いた。
「(なんか……ずっと寒気止まんないんだけど……気のせいだよね)」
奈緒は自宅の扉を開け、周りを気にしながら中に入る。
自宅の中はそんな寒気や視線は感じられず、やっと緊張が解けた。
「うわぁ~~もぅ、なんなのよ!!」
奈緒は、下駄箱前に置かれた靴を蹴り飛ばした。
それからリビングに入っていき、荷支度を始める。
明日の分の着替え、下着、お風呂セット、CDとプレーヤー、携帯に充電器それら一通りを鞄に詰め込む。
「よっし、準備完了。こんな家さっさと出てやる~」
そう叫び、由美に電話をかけた。
「はいは~い」
私は由美。
今から中学来の友達が来るとかで、片付けをしていた。
「もし?」
「由美?用意出来たからそっち行くね」
「ん~了解。気つけてね……?」
その時、私の目に1枚の写真立てが見えた。
それは中学の卒業式で友人達と撮った写真だった。
私と奈緒、それから男子3人。今でもご飯を食べに行ったりと長い付き合いをしている。
そんな中で、奈緒の顔だけがぼやけていた。
「(あれ?あの写真、あんなにボケてたっけ?)」
「由美?」
「ん?あぁ、ゴメン。ボーッとしてた」
「じゃぁ、今か……」
「あれ?……奈緒?奈緒?」
突如切れた電話に、由美は嫌な気がした。
「おかけになった電話は只今電波の届かない所に……」
そんな由美の耳元で流れる、聞き慣れたアナウンス。
今日はそれがとてつもなく怖くなった。
「あれ?由美ぃ?……由美?……え?いきなり故障?勘弁してよ……」
私は、ベランダの欄干に背を預けた体勢でうなだれた。
だが手に持った携帯がまだ何かを喋っている事に気がつき、耳元に添えた。
「あぁ由美?ビックリさせないでよ~焦っちゃうじゃん……由美?」
「………つけた……」
「ん?由美?どしたの?具合でも悪い?」
そう言った私は、体が宙に浮いた感覚に襲われた。
直後だった私の顔の横に見知った顔が現れ、私を見つめながらこう言った。
「奈緒ちゃん……。見つけた」
その顔は青白く、片目が白く濁っていた。
それが、私を見つめながらケタケタと笑っていた。
「キャアァアアアアァァァァ……ちょっ、離して、離してよ」
私は、必死に振りほどこうと腕を振り回す。
その間も隣にひっついた顔はケタケタと聞きたくもない笑い声をあげる。
「離して!!」
私が何度目か言った時だった。
私の体を押さえていた力がパッと抜けた。
それと同時、私の体は頭から重力の働くままに落ちた。
しばらくして鈍い音と液体が飛散する音と耳障りな笑い声だけが聞こえ続けた。
そして、そのまま私の意識は遠退いていった。
「ん?……まぶっ…」
私は、太陽の光に起こされた。
いつもとは違う天井、嫌に薬剤くさい臭い。
それらすべてが、自分のいる場所を語っていた。
「(病院?そうか。私……昨日ベランダから落ちたんだ……)」
その時の記憶が、鮮明に甦ってくる。
「(あの顔って……サダコだよね……)」
私の脳裏に浮かぶ顔。
顔全てが髪に隠された女子。
イジメの標的になった女子。
「……今更仕返しとか……なんなのよ」
私は何をするでなく、1人昔の記憶を漁る事に専念していた。
そんな時だった。
入口の扉が開き、よく見かけるナース服を着た女性が入ってきた。
「あら?おはよう。崎塚さん、先生呼んできますね」
そう言い残し、彼女は来た道を戻って行った。
「うん?何か慌ててた?」
私の見解は的中し、しばらくしてさっきのナースが白衣を着た男性を連れてきた。
余程慌てていたのか、息も絶え絶えだった。
「あの先生、どうしたんですか?」
「崎塚さん、ここがどこで自分が誰かわかりますか?」
私の質問はすっ飛ばし、先生が質問を押し付けてきた。
「ここは病院で、私は崎塚 奈緒です」
「では事件当夜、何があったかもわかるかい?」
「はい……。思い出したくもないですけど……」
「そうか、なら少しお願いがあるんだ。今から来る人に話をして欲しいんだ。起きぬけで悪いんだけど、崎塚さんだけが唯一の生存者なんだ」
私が唯一の生存者?
「あの先生?私が唯一の生存者って?」
そう聞き返した言葉に、先生は簡単に教えてくれた。
私の同期の中学仲良し組が何者かに殺傷されたという事件が起こったことだった。
「でも私、昨日ベランダから落ちたんですよね?私その時、由美と電話してたんですよ?」
私の言い放った言葉に、先生とナースの表情が固くなった。
「崎塚さん、よく聞いてください。貴方がベランダから落ちた日がいつだかわかりますか?」
「確か昨日は10月4日ですよね」
そういうと先生はナースに目配せし、何かを持ってこさせた。
それは、私の死角に置いてあった日めくりカレンダーだった。
ナースが、それを私に差し出してきた。
「へ?11月14日?嘘?」
「厳密に言えば、今は11月15日の朝です。それは昨日あなたの親族の方がめくったものですから」
私はおどろきを隠せないでいた。
まさか一ヶ月以上も眠っていたなんて
「あの、事件って私が寝てる間に?」
「そうなります。あなたがベランダから落ちた日から立て続けに5件。その内容は今から来られる方に伺ってください」
その時だった。
入口が少し開き、隙間から黒いスーツを着た男性が先生を呼んだ。
「あぁ、入ってください。崎塚さん、さっき言っていた方……警察の田渕さんです」
田渕と紹介された男性は、小さくお辞儀をすると私の近くに来た。
「あの、先生方は出ておいてもらえますか?こちらの情報が漏れてしまってはいけませんので…申し訳ない」
「わかってます。君、行くよ。崎塚さん、気分が悪くなったら田渕さんにでもいいし、ナースコールで呼んで頂いても構いませんからね。それでは」
先生はナースと共に部屋をでていく、それと入れ違いに同じような黒い服を着た細い男性が入ってきた。
「田渕さん、自分メモ取ります」
「頼む」
田渕は、立て掛けられていた椅子をもうひとつ自分の隣に置いた。
「はじめまして、崎塚さん。私は警察をやってます田渕 彰吾と言います。今回の事件を担当させてもらっている者です」
田渕は胸ポケットから警察手帳を取り出し、開いて見せてくれた。
「あぁっと自分も同じくこの事件の担当やってます。足立 優太っていいます」
足立も手帳を開く。
「田渕さんに、足立さん。話って事件の事ですよね。」
途端に、空気が重くなる。
私は、堪え切れずに俯いた。
「はい。あなたが自宅から落ちた日から、連続して怪奇事件が起こりました。あなたの件が起きた次の日、あなたの友人である御影 由美さんが変死体で発見されたんです」
私が眠っている間に皆が……殺された。
犯人はあいつしかいない……。
「犯人はわかってます……」
私は、知っていることを話そうと顔をあげた。
そして、目が逢ってしまった。
「あ……ぁ……ぁぁ……」
私の体から、一気に血の気が引いて行く気がした。
それは、確かに私を見ていた。
凍えそうな冷たい瞳で、口の端を吊り上げて笑いながら……。
「崎塚さん、どうなさったんですか?崎塚さん!!」
私の体を、田渕が激しく揺する。
揺られている感覚はあるのに、自分が生きている感覚がなかった。
「あぁ……。あな……ちが……」
私の口から小さく言葉が出始めた。
私の意思じゃない。
「崎塚さん?大丈夫ですか?クソッ、ナースコールだ!」
田渕は私から手を離し、ベッド脇にかけられたナースコールに手を伸ばした。
その時、田渕と足立の間が大きく開け、そこにまだ彼女は居た。
私をじっと見つめたまま
「ダメだ。足立!先生とナースを呼んで来い。早く」
田渕の叱咤に、足立は走り出す。
その足立の体が、彼女をすり抜けたのを私は見てしまった。
「田渕さん、扉が開きません」
「何?蹴り破れないか!」
足立は何度か蹴り破ろうとするが、扉は何かに固定されているのかびくともしない。
「あり……と…ぅ」
その時、また私の口が勝手に動いた。
その言葉に、田渕も足立も耳を傾けた。
「私を……こ……に…れて、ありが……とぅ」
「おい、崎塚さん。あんな何を言ってるんだ?大丈夫か?崎塚さん」
田渕は危険だと察したのか、また私の体を揺すりだした。
「私をここに連れて来てくれてありがとう」
さっきよりも、はっきりと聞き取れた。
明らかに私の言葉じゃないのは、田渕も足立もわかっていた。
わかっていたからこそ、恐怖した。
「あの人達皆、私を虐めた。だから、仕返し」
とてつもない怨みの篭った言葉。
それが私を通して、吐き出されていた。
「君は東雲 明日葉ちゃんか」
田渕の口が開いた。
東雲 明日葉。私達がサダコと呼び続け、虐めつづけた相手。
「おじさん、よく知ってるね」
「これでも警察をやってるからね……その崎塚さんを助けてやってはくれないか?」
「嫌だよ!!」
その否定は、断固たるものだった。
「奈緒ちゃんも今から……殺すの……」
そう言い終えると、自分の手を見つめるような動作を強要させられる。
とてつもない力で、引きはなそうとすることもゆるされなかった。
「辞めろ!!」
そう言った田渕の声が響くと同時、私の指は私の両の瞳を貫いていた。
「キャハハハハハハ」
私の声は、完全にサダコに乗っ取られているのだろう。
悲鳴をあげているのが自分ではわかるのに、聞こえてくるのはサダコの笑い声。
もう私は周りを見渡す事も出来ないが、田渕が体を揺っていることはわかった。
足立は必死に電話をしようとしているのか「繋がらない」と叫んでいる。
「次はね」
そんな中、私の口は淡々と続けていく。
そんな私が感じた違和感は爪だった。
爪に、何かが引っ掛かっている感じだった。
「キャハハハハハハ」
その笑い声と共に、私の幾つかの爪が引きはがされた。
私の脳は痛みを訴えようとしている。
だがそれすらもただの苦痛でしかなかった。
「辞めろ。東雲、辞めろ!!」
まだ耳だけは生きている。
だから周りの雰囲気が多少なりとわかる。
未だに続く、嫌な笑い声。
私の声なのに、私ではない。
「ハ~アァ……飽きた……」
その言葉の意味がわからなかった。
私は玩具のかわりだったのか?
そう思っていると、私の手が自分の頬を両側から挟み込む感覚を覚えた。
「明日葉ちゃん、辞めるんだ。辞めるんだ!」
「じゃあね…奈緒ちゃん」
私の意識が一瞬の激痛に覚醒し、その直後真っ暗な闇に堕ちていった。
「うぅ……」
血で真っ赤に染まった部屋の中で、夥しい量の返り血を浴びた田渕は悔しそうに壁を殴り付けた。
「護れなかった。目の前に居たのに護れなかった……」
何度も殴り付けては、繰り返し呟く。
足立も部屋の隅に身を寄せ、泣いていた。
それからしばらくの後、先生とナースが部屋に来て驚いていた。
あんなに騒いでいたのに、部屋の外には一切漏れていなかった様だった。
私と足立は2人して、うなだれたまま病院を後にした。
帰りの車中、田渕は足立に問い掛けた。
「足立……。俺達は間違っていたか?」
「間違ってなんかなかったと思います……。ただあの娘達を助けてあげられなかったことだけが心残りですけど……」
足立は助手席から外を眺め、無感情な表情のまま答えた。
「そうだな……」
私は横目に足立を見遣ると運転に集中した。
「帰ったら、報告だな。」
そこで私は体の違和感に気づいた。
金縛りよりも強いものか、口すらも動かせない。
足立は、そんな私の事にも気づかずに外を眺めている。
「……!」
私の目がバックミラーを見た。
丁度、真ん中に座っている。
「明…日……ハ」
かろうじて口にした言葉は、その娘の名前だった。
名前を呼ばれたその娘は、忽然とシートから姿を消した。
直後私の体はフッと軽くなり、手足の自由も効くようになった。
だがその時点では、既に遅かった。
私の乗った車は、目の前を通り過ぎようとしていたタンクローリの真横に位置していた。
その頃には足立も声を荒げながらハンドルをきった。
勿論、間に合うはずもなかった。
山道に差し掛かる交差点の真ん中、一台の車を中心に黙々と黒い煙が立ち上っていた。
「ハハ……ハハハ」
そんな様子を、小さな髪の長い女の子が嘲笑うような顔をしながら見ていた。
どうだったか?なんて聞くまでもないな
うん、残念な香りがプンプンしてます(笑)
とりあえずはホラー初作品なこともあり、頭は回転させたような気はします。ヾ(´▽`*)ゝ
これを気にまた頑張っていきますよヾ(´▽`*)ゝ