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みゆ(にゃんこ)と子猫たち  作者: シュリンケル
2/6

2.突然の地震


 夏の気配がはるか先に見え隠れしていた3月初旬。

”地震”は突然にやってきた。


---


 その頃のあたいは明らかに大きなおなかを抱えて、お気に入りの街路樹に飛び乗ることもままならない感じだったわ。


暇さえあれば外出していたあたいだけれど、最近は家に入り浸っては眠っていたの。


 いったい何が起こりつつあるのかしらね?

ヒゲはぴりぴりしっぱなしだし、あたいの呼び声にも鳩やスズメが寄り付かないのよ。

近所の川(人工的な造りの)に泳ぐフナたちも怯えていたわね。

空には不吉な雲がたなびいて、見たこともない色合いの夕焼けが不気味に(しかし艶やかな美しさで)辺りを彩ったりする事が多かったわ。


 そんな不安をあたいたち動物はそれなりに察知していたんだわ。


近所を歩くたびに『何かが近づいてるぞ』『気をつけろ』ってそんな会話が密やかに交わされていたの。



 そして・・・”地震”が全てをめちゃくちゃに揺らした!


あたいはその瞬間、死に物狂いで逃げ回ったの!

家の中のあらゆる物が落ちてくるのを必死でよけながら!!


 ・・・


 いったい何度逃げ回ったことかしら。

気がつくと、家のすぐ外の植え込みの影で震えながらじっとしていたわ。

ようやく少し落ち着いてきたあたいは、お腹の中の赤ちゃんに向かってなんども伝えた。

『大丈夫よ。こんなのなんてことないんだから』


 こんな日に限って家には”おとうちゃん”も”おかあちゃん”もいなかった。

”りょうくん”だけがバタバタと家の中で色んな物を拾ったり起こしたりしていて、あたいはとても不安だったわ。


 それでも、あたいは生きていた。お腹の赤ちゃんも。それだけで幸せだったわ。


結局、ご主人様たちは無事に帰ってきた。とてもとても時間をかけて。(とても疲れて見えたけど、とても嬉しそうに)


 その後、何ヶ月も続いた”地震”だったけれど、最初の巨大な奴を除けば危険な目には会わなかったわ。

(あたいたちは地面が揺れるたびに”ぬいぐるみ”になった振りをしてしのいだものよ)


 そして季節は夏の入り口に立っていた。


挿絵(By みてみん)


次回、出産編です

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