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プロローグ・a
愚かしき者とは、何だろう。
曖昧すぎるその言葉には、確かな定義が存在しない。
“傲慢”な者?
“短慮”な者?
それとも、他の何かしらの要素がある者…………?
しかし、どのような者であろうが愚かに見えぬ者など居ないはずだ。
いかな聖人君子とて、見方を変えれば愚かしき者にも見えてしまうように思える。
結局、愚かしき者と決めるのは各々の勝手なのだ。
それが、愚かしき者の定義を曖昧にさせている理由なのだろう。
だからこそ、この物語で貴方に問う。
誰が、愚かしき者であるのかを。