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郵便局、配達中!!

作者: WAIai
掲載日:2026/07/10

「今日もよく頑張ったな」


俺はあくびすると、伸びをした。


今、下校途中で、陽が眩しい時間帯だった。

蒸し暑く、少し歩いただけで、汗が出てくる。


まるで太陽が道路を鉄板として、焼こうとしているみたいな感じだった。


「どこかに寄っていく?」


彼女の言葉に、俺はうーんと考え、答える。


「実は俺、この後、バイトが入っているんだよな」

「そうなの?」

「代わってくれって言われたら、シフトチェンジしたんだけど…。まずかったか?」

「それは…」


彼女が足を止め、下を向いてしまう。

まるで1人ぼっちにされた子どもみたいに見え、謝ろうかどうしようか考える。


2人はしばらく沈黙に包まれる。


周りの音は耳を過ぎていき、自分達と関係ないと、バリアを張っているようだった。


俺はどうしようか困っていると、後ろから車が走ってきて、少し前で停まる。


「あ」


思わず俺が呟くと、彼女もそちらを見る。


「郵便局だ」


赤い車は目立ち、運転席から20代くらいの男性が降りてくる。

まるで虎みたいに凛々しい顔つきの人で、彼女が俺を見つめてくる。


俺は無視したわけではないのだが、男性を凝視する。


男性は車を開けると、荷物を取り出す。


「え」


驚いたことに、男性が重たそうな荷物を2つ重ねて持っているからだった。


しかし男性は軽々と持ち上げると、家の玄関に向かう。

俺と彼女は視線を追わせていき、口々に言う。


「すごいね」

「ああ、すごい」


俺は子どものように、わくわくしていた。


逞しい男性が目標なので、まさしく神が機会を与えてくれたかのような、そんな感じで喜んでいた。


俺と彼女は男性が出てくるのを、何故か待ち、様子を窺う。


「あ、出て来た」


家を後にした男性は、爽やかな足取りで出て来て、車の運転席に向かう。


「あの!!」

「…え?」


男性が初めて気づいたようで、こちらを驚いた表情で見つめてくる。


俺が軽く唇を舐めていると、彼女が肘で小突いてくる。

それで俺は正気に戻り、男性に近づく。


「あの、荷物、重たくないんですか?」


俺が質問すると、男性は目を丸くした後、「あはは」と声をあげて笑う。

その声は耳障りの良いもので、鳥達が高音パートを任されたように、群れをなして飛んでいく。


まるで自然界の王様みたいだと感心していると、男性が言ってくる。


「これが俺の仕事だから。重いとか、軽いとか、関係ないんだよ」

「そうなんですか? 腰を痛めたりとかは…?」

「大丈夫。俺、身体を鍛えているし」


力こぶを作ってくれ、俺は「わお」と驚く。


尊敬の眼差しを向けると、彼女が隣から少し緊張気味に言う。


「楽しいですか、仕事?」


その質問はまずいのではと思ったが、彼女も気づいたらしく、耳たぶを引っ張る。


しかし男性は怒らず、氷をもらってリラックスする虎のように、余裕で答える。


「楽しいか、楽しくないかは自分で決めることだよ。働くようになれば分かる」

「はい。ありがとうございました」


俺は彼女と頭を下げると、男性が魅力的に手を上げ、車に乗り込む。

そして一度、後ろを向いて手を振ってくれると、車が走り出した。


その姿をじっと見つめると、

「かっこいい人だったな」

「うん、かっこいい」

彼女も同意してくれた。


「よし、決めた!!」


俺は両手を上げると、

「俺もかっこいいって言われる店員になろっと」

「頑張って」

2人は見つめ合うと、上機嫌に歩き出したのだった。

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