少女は恋をしていた
「えー!只今私、高尾山に来ています!今日未明、2人の遺体が発見されました!一部白骨化した女性らしきの遺体と、そのすぐ近くの山中で男性の遺体が発見されてます。因果関係は不明ですが……」
テレビで流れるワイドショーは高尾山で見つかった遺体の話で持ち切りだ。情報だとまだ身元が解らないとか……。
私はその遺体の1人は知ってるんだ。
なんで知ってるかって?
だって同じ高校で席は私の後ろ、前髪が長くて表情は分かりにくいけどプリントを渡すときにいつも優しい声で「ありがとう」って言ってくれて、背の低い私は黒板の上が届かずいつも椅子に昇って消すけどその人は「僕が消すから無理しないで」と気を使ってくれて、授業でペアを組む時は決まって私とで言葉数は少ないけど的確に教えてくれて、前髪の隙間から見える二重で茶色い瞳がそれはまた綺麗で可愛くて……実はその人の秘密の場所も知っていて旧校舎の階段裏。いつも本を読むその横顔が真剣で何か面白いことがあればクスっと笑って、また眉間に皺が寄ってコロコロと表情が変わる姿にとても愛おしく思った。私はそんな野田君が大好きで恋をしてたんだ。初恋は思い出に残そう。そう心に誓い線路へ向けて歩き出す。野田君がいない世界なんて私には要らない。
カンカンと鳴り響く踏切に入り大きく手を広げ「今逝くね!野田君!」その声と共に少女の体はバラバラに飛び散った。
「高尾山で身元不明になってた遺体は高校2年生の野田昌隆さん、会社員の二条セイラさん29歳と判明をしました。警視庁によりますとこの2人は知り合いだった模様です。現場には多くの取材とご遺族の方が……」
つまらないテレビを消した。
この先、君たちに幸あれ……。




