表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/15

マムの飯屋

 市場の端に着くと、小さな木造の店が目に飛び込んできた。看板には『マムの飯屋』と殴り書きされ、焼けた肉と香草の匂いが漂ってくる。ミロが得意げに言う。

「ここ、肉シチューが美味いんだ! パンも焼きたてでさ、姉ちゃんが元気だった頃はよく一緒に食べてたんだよ!」


「へえ、肉シチューか。よし、入ろう!」

 アルテアはミロと一緒に店に入った。

 店主のマム——恰幅のいいおばさんがミロを見るなり、「あんた! またスリなんてしてないだろうね!」と叱りつけると、隣のフードを外したアルテアに気付く。

「おや、新顔だね」と笑顔で近づいてきた。

「ミロが迷惑かけてないかい? この子はいい子なんだけどちょっとやんちゃでねぇ。ああ、座って座って。サービスしとくよぉ。さあさ、何にする?」


 アルテアとミロは壁際の木のテーブルに腰を下ろした。

「肉シチューと焼きたてパン、お願いします!」

 アルテアが勢いよく注文すると、マムが「元気な子だねぇ」と笑って厨房に戻った。


 シチューが運ばれてくると、深い茶色のスープにゴロゴロと肉と野菜が入っている。しっかり焼き色のついたパンには湯気が立っていた。濃厚な肉と香ばしい小麦の匂いにアルテアは鼻をヒクヒクと動かした。


 シチューをスプーンで一口食べて、パンをちぎって頬張った。

「うわっ、美味しい! 肉がホロホロだ。スープのコクもすごい…。パンも外はカリッとしてるのに中はふわふわ!」

「でしょ? 姉ちゃんにも食べさせたいな……」

 ミロが少し寂しそうに呟くと、アルテアはパンを咀嚼しながら閃いたように手を叩いた。

「そうだ、お姉ちゃんにお土産買おうよ! このシチュー、持ち帰りできる?」

 マムが厨房から顔を出し、「壺に詰めてやるよぉ。ちょっと待ってな」と答える。アルテアは「じゃあ、お土産用に一つお願い!」と頼んだ。


 壺に詰めたシチューとパンを受け取り、支払いをしたアルテアとミロは店を出た。ミロが嬉しそうに言う。

「姉ちゃん、びっくりするだろうな。アルテア、ほんとにありがとう!」

「いいのいいの。美味しいものはみんなで食べなきゃね。さあ、お姉ちゃんに届けに行こう」

アルテアはフードを被り直し、壺をそっと抱えた。


 二人は夕闇迫る街を歩き、隠れ家へと向かった。アルテアのフードの下で、金髪がそっと揺れていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ