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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
裏切者編
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26 尾行タイム


 そんわけで、今朝早くに王都に入った俺はクレープを食べながら目的地に向かっていた。


 レリオス王国の王都は端的に言えば都会だ。高層のビルが立ち並び、その中にひときわ大きく城が立っている。


政明(ほーん。……あそこに由美がいんのか)


 あえて見ないようにしながら、俺は目的の場所へと赴く。


 そこは、数多くのビルが並ぶ王都の端にあった。


 建物の陰に隠されたように構えられたその小さなビルには、【サイの鑑定事務所】と、イカれた日本語とファンシーなフォントで描かれていた。どうやら、1階は普通のアパートで、二階が事務所のタイプらしい。


政明(俺は偏見をしないタイプだが、ここにいる奴は間違いなく化粧が濃くて、30後半の、未婚ババアに近しい存在だろうな)


 ビルの中に一人のホルダーの気配があった。


 俺の推測が正しいなら、こいつが肝心の【解析者】だろう。口コミを見れば、貴金属から年代物の調度品まで鑑定を行うらしい。


 解析者にはそんな力はないので、恐らく本人の努力の賜物だ。


 俺は、近くの物陰に身を隠すとじっと出入り口を監視する。


 およそ3時間後、店先に休憩中の札を張り、買い物袋を持って出かける女性を一人確認した。



政明(……あいつが解析者か。見たとこ大学生か?)


 彼女は、オフィスカジュアルの姿で外に出てきた。一般的な服装に凛々しい顔立ち。髪はショートヘアでしっかりとした印象を受ける。

 自分の偏見フェスティバルを見直しながら、あとをつけていく。


j『今更だけど、政明君は何をしているんだい?』


政明(ただの観察だ。宝具の鑑定を依頼するってことは俺の正体をバラすこと。最低限、信用できる奴じゃなきゃ話にならねぇ)


 これから数日観察し、もし信頼にたりえない奴だと判断したら、別の仲間を募るしかない。


 それに、ここは王都の外れと言ってもレリウス王国。あの、【女帝】や【巨人】と繋がってる可能性は十分にある。


 あの女――【黒沢(クロサワ) (サイ)】はまず最寄りのスーパーに立ち寄った。


政明(ひき肉1000g、パン粉、玉ねぎにワイン……今晩はハンバーグか)


 メモを取りながら俺はカートを押して後ろをついていく。俺はと言えば、中学生が買うものなんてお菓子かジュースしかないので、炭酸飲料をカートに詰め込みながら尾行を続けた。



 次に来たのは、雑貨店だ。そこで、彼女は文房具やお菓子、台帳を買って店を出た。


 そして、最後にアウトレットで物見遊山した後、彼女は事務所の方に向かっていく。


政明(……やっぱ、変なとこはないか。あのイカれた店名はただの趣味……?)


 だが、何か腑に落ちない点があった。上手く言語化できないが、あの女の行動には違和感がある。



 ジュースの入ったパンパンのリュックを背負いながら、俺は尾行を続ける。


 もうじき暗くなる時間だ。なんとかあくびをかみ殺してサイについていく。


 そして、もうすぐ事務所に着くかというところで、ハプニングが起きた。


j『結局、何も収穫は得られなかったねぇ。どうするんだい? このまま仲間に誘うかい?』


政明(まさか、何かボロがでるまでストーカーフェスティバルは継続だ)


j『フフッ、それって【聖女】とやってることが一緒じゃないか』


政明 (………………)


 何も言い返せない政明は急ぎ足に信号を渡る。その瞬間、視界の半分が白飛びした。


 居眠り運転をしたトラックが突っ込んできたのだ。およそ20トンはあろう自動車はブレーキがかかる挙動もなく政明に突っ込んでくる。



政明「……マジか」



 さすがのホルダーといえど、大型トラックが減速なしでぶつかれば死ぬ。


 すぐに、政明は後ろに向かって方向を変える。


政明 (クソっ……こんなことで)


 だが、どうしようもなく間に合わない。



 人生で一番大きな衝突音が耳に抜け、政明は恐る恐る目を開ける。


政明「……あ? 無傷?」


 死んだと思った体は無傷のまま、目の前では商業ビルに突っ込んだトラックが火を噴いていた。周囲にはペットボトル飲料が散乱している。




サイ「――よおガキ。アタシがいなけりゃ即死だったな」




 そして隣には先ほどまで俺が尾行していたサイがいた。


政明「…………うおおっ!」


 数秒遅れて、ホルダーの気配を感知した俺は思わず後ずさる。


サイ「んなビビるな。別に取って食おうってわけじゃない。ただ、少しお話しようか」


 尾行中とは打って変わってまるでヤクザのように凶暴な笑みをたたえたサイは、俺の体を無理やり立たせ、そのまま事務所に連行していくのだった。


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