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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
裏切者編
22/27

22 ドラマチックな出会いを果たした巫女


政明「……ッう! おえぇぇ……。ゲホッゲホッ!」


 強烈な吐き気と、足の痛みで、俺は目を覚ました。


「おっ、少ねーん! 目が覚めたかい。あッ、水は全部抜いたほうがいいから、とにかく出し切って

ね♡」


 どこか幼さの残る声を聴き、政明は声の方を向く。


 そこには、大学生くらいの成人女性がいた。

 短いショートの黒髪に、中世的な顔立ち。スラっと伸びた足は性欲などとは無縁の小学生にも、綺麗だとわかるほど手入れがされていた。


 そんな彼女は、濡れた服を焚火で乾かしながら、俺の方に近づいてきた。


「初めまして少年! ボクの名前は【日海(ヒウミ) 結奈(ユイナ)】。体調はどうだい? もしどこか痛いなら、ボクが病院までおぶっていくから遠慮なく言いなよ!」


政明「……いや、大丈夫そうだ。ありがとな結奈」


 いきなりの名前呼びに、驚くこともなく結奈は笑いながらピースサインをする。


政明(動かして、みたけど問題はなさそうだな。……で、j。さっきから結奈の気配がビンビン伝わってくんだがこれはなんの呪いだ?)


j『初めて会った時から言ってるじゃないか。君はクラウンゲームのホルダーに選ばれたんだよ。そして、目の前の彼女はホルダーだからお互いに感知できるわけさ』


 今までふざけたものだと思っていたクラウンゲーム。嘘か、俺が勝手に作った妄想だと片付けていたが、どうやらそうではないらしい。


結奈「それにしてもびっくりしたよ。まさか、君みたいな子供までクラウンゲームに参加してるなんて。まあ、そのおかげで君を助けられたんだけどね」


政明(……おい、俺の能力は他のホルダーの能力を無効化することじゃないのか? なんで、結奈の感知能力にひっかかってんだ?)


j『君がクラウンゲームのことを信じないから、能力を発動してなかっただけだよ。ちゃんと意識しておけばオートで発動するから』


結奈「……ずっと黙ってるけど、もしかしてどこか痛い? 一応、最寄りの病院まで30分で着くからそれまで我慢できる?」


政明「ん……ああ、大丈夫。少し考えてただけだ」


結奈「そっか。無理しちゃダメだよ。それより、君の名前はなんていうんだい?」


 そういえば、まだ名乗っていなかったと思い出し、衣服を確認して結奈に向き直る。


政明「俺の名前は【谷平(タニヒラ) 幸光(ユキミツ)】、小学2年生だ。助けてくれてありがとな」


j『命の恩人に対する対応とは思えないねぇ』


 わざわざ干してある衣服を確認し、水性ペンの名前がかすんでいることを確認してから政明は名前を名乗った。確かに礼儀がなっていない。


結奈「そっか、よろしくユキミツ君。ユキくんて呼ぶね」


 警戒心なんてないのか、結奈は俺を膝の上に乗せ焚火の近くで川を眺める。



結奈「ユキ君はさ、クラウンゲームのことどこまで知ってる?」


政明「……えっ? あんなの本当にあるわけねえだろ。誰かのいたずらだ」


結奈「いやいや、そんなことはないよ。ボクの調べた限りでは100年以上まえから続いてるんだよ?」


政明「そうなのか?」


結奈「そうだよ。今だって、私はユキ君を感じるし、ユキ君も私の気配を感じるでしょ? 半径50メートル……っていってもわかんないか。ここから、あの岩までくらいの範囲にいれば私たちは場所が分かるんだよ」


政明「……へー、すごいな」


 その後、最低限の相槌と言葉で得た情報を政明は脳内で整理する。




結奈「――っていう能力を無効化する宝具もあるから気を付けてね。

 あっ、そういえば。君の称号をまだ聞いてな……ってもう寝ちゃったか。ってヤバ、もう日が沈んでるじゃん! 急いで薪を調達しないと」


 結奈は、既に乾いている服を俺に着せ、暗くならないうちに森へと繰り出すのだった。



政明「……はぁぁ。寝たふりもめんどくせえな」


 軽く体を伸ばし、周囲に結奈がいないことを確認する。


j『ふふふ、君かなり情報を盗み出したね。ホストの才能あるかもねぇ』


政明(そうかよ。それより、j。俺はおまえのことを許すことはないからそこは覚えとけよ)


 恐らく、政明が川に落ちた原因のことを言っているのだろう。


j『……さて、なんのことだか。それに、川に落ちたからこそ、巫女に会えたのでは?』


 一応とぼけておきながら、話の本筋を戻す。


政明「そうだな。とりあえず、一番大きい収穫はホルダーの情報が得られたことだな」



 称号

 あなたは【巫女(ミコ)】のホルダーになりました。

 称号取得条件

 巫女の血縁者かつ女性であること。

 特殊能力

 条件を満たした故人を憑依させることができます。

 専用宝具

 深緑の錠剤




政明(あとは、ホルダーの数が多分26だってことと、宝具の権利譲渡についてか)


 なんでも、宝具というのは持ち主以外が使えないようになっているらしい。


 例えば、結奈が【新緑の錠剤】を持っていて、それを俺が盗んだところで宝具の効果は受けられない。ただ、24時間俺が持ち続けていれば持ち主が俺に更新されるらしい。


 だから、誰かに盗まれてもすぐに効果を発揮されるわけではない。ただし、持ち主が死んだ場合は別だ。

 その場合、最も早くその宝具に触れたホルダーが持ち主になるらしい。


政明(それに、名前と効果が判明していない3つの称号か……)


 100年経っても効果や存在が判明していない称号がクラウンゲームにはあるらしい。

 恐らく、俺の【裏切者】はそのうちの1つだろう。ちゃんとしていれば、まず他のホルダーにバレることはない。



政明(つまり、俺は他の奴らより情報アドバンテージがあるわけだ。この情報を使えば――)


 そこまで考えた辺りで結奈が帰ってくる気配がした。



結奈「おっ、起きたねユキ君。もうすぐご飯作るからちょっと待ってね。って言ってもただの焼き魚だけど」


 結奈は持ってきた薪をくべると魚を焼き始める。


政明「なあ、さっきいってた宝具ってのは結奈は持ってんのか?」


結奈「もちろん持ってるよ。これでもボクら一族は称号を受け継いでるからね」


 いいながら、結奈は近くの黒い袋から3つの宝具を取り出した。


政明「へぇ……これが」


結奈「右から、【虹のルーレット(レインボールーレット)】、【漆黒の布(ブラックカーテン)】、【無色(カラーレス)コンタクトレンズ】だね。ホルダーは宝具を見れば本能的にそれを宝具と認識できるんだ」


政明「確かに、なんかわかるな。……今更だけど、なんでこんなに宝具をもってこんな山奥にいるんだ?」


 ルーレットを手に取ってまじまじと見ながら、結奈に聞く。


結奈「うーん……それはいえないなぁ。ボクだけじゃなく君まで危険になるからね。実は、こうしてボクと会ってるのも危ないんだよ」


 どういうことかと、聞こうと口を開こうとした瞬間、結奈がいきなり自身の背後を見た。


 かと思えば俺は、とてつもない腹への衝撃とともに空中に蹴り出されたのだった。


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