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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
違反者編
17/20

17 勝ったのは…


 俺は改めて、総司令【広瀬 静香】の顔を見た。


 きれいな顔立ちだ。艶やかな黒髪に整った目鼻立ち。体のラインもすごくいいし、多分普通の高校生だったらモデルとしてもやっていけたと思えるほど美しい。


 そんな彼女に剣を向けるのは酷だが、そもそもこの状況は、俺の方が酷である。


 なんでもホルダーというのは、持ってるだけですさまじい身体能力を持てるらしいのだ。


 有名な逸話に子供がホルダーになって国の小隊を全滅させたというのがある。目の前の彼女はすでに士官学校をトップで卒業しており、その強さは計り知れない。


タクト(でも、それがたまらない。俺が国で最強になるにはホルダーも超えないといけない。いい練習になる)


 そこまで、考えてコインが地面に落ちた。【チャリーン】という音とともに、静香がものすごい勢いで俺に接近した。かと思えば的確に首を狙い一閃――。


 咄嗟に剣を前に出し、受けようとするがその瞬間、静香が消えた。


 いや、動きに緩急をつけることで消えたように見せかけた静香は背後へと回り、死角から剣を突き出す。


 俺は咄嗟に上体をのけぞらせ回避し、後ろにいる静香に剣を振る。が、すでにそこに静香はいない。



タクト(速いな。目隠しして古山を倒す訓練してなかったら読み切れなかった)


静香(まさか、一般人に私の攻撃を避けられるとは……。油断したつもりはないのだが、もしかしたら彼は本当に――)


タクト「今度はこっちからいくぜ!」


 消えた静香を見つけ出した途端、タクトは走り出す。


 静香は、避けずにその剣を受けた。


静香(……嘘だろう!? ホルダーである私と同程度の力ではないか……!)


 つばぜり合いはまずいと判断し、剣を受け流す。だが、タクトはそれよりも速かった。


 手に込める力を抜き、静香の態勢を崩す。そして間髪入れずに右わき腹へと蹴りを入れた。


 ホルダーとなった静香の肉体は一般人よりもはるかに頑丈だ(具体的には拳銃の弾が効かないくらい)。だが、タクトの蹴りは確実に静香にダメージを与えていた。


静香(受けに回るのは得策ではないか……)


 素早さで翻弄しつつ、隙を見て攻撃を叩き込むしかないと判断し、緩急つけた動きでタクトの周りを走り出す。


タクト(厄介だな。この速さは……)


 極限まで集中したタクトは、サークルの中すべてを俯瞰する


タクト(このタイミング)


 動きの癖を把握したタクトは急に止まれないであろうポイント、つまりトップスピードに乗ったばかりの静香の顔面の前にタイミングよく木剣を差し出す。


静香(チッ……! 邪魔だ)


 静香は避ける必要はないと判断し、そのまま額で剣を破壊しようとする。

 だが、剣はその前に視界から消えた。タクトが引っ込めたのだ。


 木剣を破壊しようと額を思い切り振った静香はそのまま体勢を崩し、無様にも頭から地面にコケる。


 だが、幸いなことにトップスピードでコケたことで、静香とタクトの間にはかなりの距離があった。


静香(すぐに起き上がればやられることはない)


 急いで立ち上がろうとする静香の頭に衝撃が走った。正確には顎に、タクトの投げた木剣が当たったのだ。脳が揺れ、上手く足に力が入らない。


 そんな隙を逃すはずもなく、タクトは木剣を拾い静香に馬乗りになった。


タクト「俺の勝ちだな!」


静香「…………」


 寸止めされた木剣に衝撃を受け静香は声が出なかった。


 対照的に、タクトは誇らしげな顔だった。ホルダーにも、自分の力が通じることが証明されたことで自信を持ったのだ。


静香「……わ、私の負けだ」


 宣言されたタクトは、馬乗りをやめ静香に手を伸ばす。静香はその手を取り立ち上がる。


タクト「いい勝負だったな」


静香「まさか。終始、私は王子に踊らされていた。タクト王子はとても強いな」


 もし彼がホルダーだったら、どれだけの強さになっていただろうか。そんな想像をしてしまう。いや、せざるをえない。


タクト「じゃあ、これで古山たちの処分はなしだな」


静香「ああ。約束は守ろう」


 服に着いたほこりを払い、私は約束を守る宣言をする。


タクト「その……ありがとな。悪いのはこっちなのに」


静香「いえ、規則うんぬんの話をするならば、私も一国の王子に勝手に剣を向けましたし、おあいこです。本気で、最強を目指しているんですね」


タクト「ああ、もちろんだ」


静香(タクト王子はまだ若い。きっとこれからはもっと強くなる。それこそ、全てのホルダーを超えるかもしれない)


 気が付けば、私は彼の顔をまじまじと見ていた。いや、その顔から目が離せなくなった。


タクト「どうした総司令。俺の顔になにかついてるか?」


静香「いえ、そんなことはありません。それより、我々は明日から学校です。同じ刀時高校だと聞いていますのでよろしくお願いします」


タクト「ああ級友としてよろしくな」


静香「そ、それと……」


 静香は少し顔を赤くして、なにか躊躇うように目を泳がせる。


静香「その、総司令ではなく、静香と呼んでくださらないでしょうか?」






野村「うーわ、なにあの青春の1ページ」

内海「俺も、あんなカワイイ子に名前呼びしたかったぜ」

古山「馬鹿だなお前ら。あれは遠い目でみれば、練習をサボるとちゃんと報告した俺たちのおかげだぞ」

野村「いや、気絶してただけですよね、俺ら」

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