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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
違反者編
16/20

16 女帝


国王(タクトの父)「よくぞ来たな。【女帝(クイーン)】よ」


 俺が父に見返す宣言をしてから10年。


 今日はレリオス王国の全軍総司令の任命式だ。


 もちろん、一般の人がいるのでクラウンゲームのことを表立っていうことはないのだが、今、父から元帥の任を任されたあの女はホルダーらしい(と古山に聞いた)。


 なんでも、俺と同い年で【女帝】の称号を授かり、その実力が認められついには総司令の地位まで上り詰めた出世頭だ。



 称号

 あなたは【女帝(クイーン)】のホルダーになりました。

 称号取得条件

 女性かつ軍人であること。

 特殊能力

 自軍の兵士にバフを付与することが可能となります。なお、バフの種類や効果は忠誠心により変動します。

 専用宝具

 桜色のベル



 確かに、彼女の経歴はすさまじい。若干10歳で士官学校に入り、すぐにトップの成績で卒業したらしい。普通、そんなガキがいれば反感もあるはずだがそんなアンチを逆に味方にし最大の勢力を作るほどに成長した。


 持ち前の優秀な頭脳とカリスマ、そして【鬼の姫】と揶揄されるほどの美貌でこないだの小国との戦争も勝ったらしい。


 まあ、俺には関係ないのだが正式な場なのでちゃんと正装で拍手を送っておく。





古山「いやーすっごいべっぴんでしたね。新しい総司令の【広瀬(ヒロセ) 静香(シズカ)】殿」


タクト「ああそうだな。ああいうやつが国を守ってくれるのはめっちゃ心強い。お前も頑張れよ!」


 形だけの護衛である古山と雑談しながら俺は自室に戻る。


古山「そういえば、もうすぐタクト王子も高校に入学ですね。タクト王子、物覚えがいいので高校の勉強も楽勝ですよ」


タクト「……? 俺は自分の記憶力がいいなんて思ったことないよ。ただ、何度も本を読み返すのがめんどくさいから、一回で覚えてるだけ」


古山「それがすごいことなんですが……。それよりも。たしか広瀬総司令も同じ【刀時(トウジ)高校】に入学するそうですよ。羨ましいです。総司令とお近づきになれるなんて」


タクト「そうか? それよりも、今日は刀を使いたいから、暇そうなやつがいたら声掛けといてくれ」


古山「前回は10人一気に倒してましたが、今回はどうします?」


タクト「よーし、20人くらいいくか」


 古山が敬礼をして去っていくのを見送り、俺は演習室に行きウォーミングアップを始める。いつもの習慣にならないよう、しっかりと一つ一つの動きを確認しながら体を動かす。


 10分くらいかけて体をほぐした辺りで入り口の扉が開いた。



タクト「来たな。じゃあ、今回は剣の――。お、初めてのお客さんだ」


 入り口には古山や野村などの衛兵たちが気絶させられた状態で寝かされている。そして、位置的にそれを行ったであろう奴が扉を開けていた。


タクト「お前、俺の騎士になにしてんだ?」


静香「失礼、こいつらが定刻の訓練をサボるといいここへ向かったものでな。他の兵士への示しがつかないのでこうして見せしめにした」


 そこにいたのは、先ほど元帥に任命された【広瀬 静香】だった。


 王子である俺の手前深々と頭を下げる。元帥を表す、桜色のマントを羽織り、真っすぐな姿勢でこちらを見据える姿は怖いと感じるほど威圧感を放っていた。


タクト「嘘だ。今までそいつらは訓練時間になっても普通にここに来ていたぞ」


静香「ええ。なので訓練の出席率を確認をしたところ、こいつらは週に3日はサボっておりました。前の総司令は気にしていなかったようですが、私は違います」


タクト「そいつらは、俺の命令でここに来ていた。規則違反じゃない」


静香「前提が間違っているのです。まず、彼らは軍の人間です。国王様ならいざ知らず、一介の王子に、兵士を自由に動かせる権限などないのです」


 それを聞いた瞬間、俺はすぐに頭を下げた。



タクト「ゴメン! 全然そんなこと知らずに、勝手にそいつらを借りてました。相応の罰は受けるので、どうか古山たちは見逃してください」



 聞けば聞くほど、どうやら悪いのは俺の方だった。ちゃんと規則を守らなかった古山も悪いが、それを確認しなかった俺にも十分に非がある。


 静香は少し面食らった顔をしていた。まあ、国の王族が頭を下げるのなんて滅多なことではないだろう。


静香「い、いや。頭を下げるほどのことではない。サボりは悪いことだが、こいつらの実戦の成績はすこぶるいい。タクト王子の演習のおかげかもしれんな」


 なぜかフォローを返してくれる静香に、思わずタクトは笑ってしまう。


静香「何を笑っている?」


タクト「失礼。いや、総司令ってすごく厳格なイメージだったから、そんな風にフォローされると思わなくて」


静香「ふっ……、それはこちらのセリフかもしれんな。どうやらタクト王子は国王様がいうような使えない道具というわけではないらしい」


タクト「どんなイメージか知らねえけど、俺は夢をかなえるために頑張ってるだけだぜ!」


静香「夢……? 聞かせてもらってもよろしいか?」


タクト「ああ。俺の夢はこの国で最強になることだ。そんでもって、一人で戦況をひっくり返せるようになって、俺を笑った奴らを見返してやるのさ」


 一切の迷いない宣言に、静香は思わず『すごいな……』と小さく呟く。


静香「つまりそれは、現最強の座にいる【巨人(ジャイアント)】、小島 鉄郎を超えるということか?」


タクト「もちろんだ! 巨人だろうがホルダーだろうが俺は敗けない!」


 静香はそれを聞いて、ゆっくりと前に歩み出る。そして、近くに備え付けられている木剣を二本持つと、片方をタクトへと投げる。


静香「そういえば、まだ古山等兵士の処分を決めていなくてな。

 どうだ? 今からの模擬戦で私に勝ったら、処分を見逃して、さらに私が総司令の時はいつでもサボりを容認してやろう。ただし負けたら、一か月、こいつらの訓練メニューを二倍にする」


タクト「へえ、面白いじゃねえか。よし、やろう」



 演習室の真ん中に描かれたサークルに入り、剣を構える。


静香「勝負は一本勝負。先にサークルから出るか、武器を落とすか降参を認めさせた方を勝ちとさせていただきます。よろしいですか?」


タクト「ああ。問題ない」


静香「では、このコインが落ちたら始まりとしましょう」


 静香は懐からコインを取り出し、思い切り上に弾いた。


 訓練のサボりを見逃してくれていた前総司令の名前は【武山 亮】という老兵です。孫のように可愛がっていたタクトのために、兵士のサボりを黙認していました。ですが、先月老衰で亡くなり、その後釜として静香が入りました。

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