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クラウンゲーム  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン
聖女編
12/24

12 お迎え


 この世界には大きく分けて3つの国がある。


 まず、俺が住むレリオス王国。国が積極的にホルダーを確保しており、ちゃんと情報も統制しているのでトップが優秀な国だ。今代の【剣聖】や【女帝(クイーン)】、【巨人(ジャイアント)】がおり、軍事力ならここが一番だといえる。


 次に綾都。レリオス国から一番近い国だ。ここは、石油の産出国のおかげで経済が豊かな国だ。

 そのおかげで確保しているホルダーは少ないが、その代わり【盗賊(シーフ)】のようなどこにも属さないフリーのホルダーを使っている。


 最後にクセン共和国。この国の最大の特徴は山々に囲まれており防衛に適していることだろう(有史以来、戦争の歴史はないが)。

 ここだけは他の国とは違い、【エンド】と呼ばれる組織が一番のホルダー勢力だ。国も、クラウンゲームのことは把握してるが、上手く御せていないのが現状だろう。



j『で、今君が待ってるのはレリオス国の使いかな』


政明「そうだな。ちゃんとホルダーを確保できたら指定の口座に入金されることになってる」


 家の窓から村の入り口を眺める。その時、50メートル以内に由美の気配がした。


政明「こんなタイミングで来んなよ」


j『君って大人顔負けに口が悪いよね』


 なんかjが言ってるが、俺はすぐに屋根裏に登り逃げようと靴を取りに行く。その道中で、母さんに見つかった。


母「あっ、政明出かけるの? ちょうどよかったわ、さっき由美ちゃんから連絡が来ていっしょに遊びたいっていってたわよ。遊んできなさい」


政明「ごめん、このあと大事な予定があるから無―――」


 言いながら、しまったと思った。なぜなら、もうすぐ3メートル前方にホルダーの気配がしたから。


由美「政明ー! 迎えに来たよ。今日は湖まで探検にいくよ!」


 玄関の扉を開け、朝から元気溌剌に口を開く由美。今日、レリオス国から迎えが来ることも知らない彼女は、いつも通り元気そうだ。


母「あらあら、わざわざありがとね。はいこれ、水筒とおかし、むこうで食べなさい」


 母さんは、俺に無理やり袋を持たせてくる。行きたくはないが、いつもお世話になている家族からの命令を無下にするほど俺は腐っていないので、大人しく由美と出かける。


由美「今日はねー、私ちょっとおしゃれしてきたの」


 見て! と言わんばかりに、髪につけたリボンを見せつける。細かく花の刺繍がされており、とてもきれいだ。


政明「すごいねー。世界一似合ってるよ」


由美「も、もう政明ったら」


 割と重めのパンチを肩に食らいながら村の出入り口に向かう。

 目的の山へはここを経由しないといけないのだ。だが、入り口の門をくぐった辺りで目の前から黒塗りのワゴン車数台と、王国の国章がされた白の車が来た。



由美「あれ、あの車なに? へんな気配がする」


 由美を回収するにあたり、ホルダーかどうかを確認するために、あちらもホルダーを送り込んできたのだろう。猛スピードでこちらに向かってくる。


 おろおろする由美とは対照的に白の車はためらいなく俺たちの前に停まると、軍服を着た一人の男性が現れた。年は40ほど。歴戦の傷はこれまでの戦いの熾烈さを表しているのか、顔や手に無数の切り傷があった。


政明(高いな……2m以上のタッパがある)


「まさか、本当にホルダーがいるとは。しかも、こんな辺境の村に」


由美「えっと…おじさんたちは誰?」


 由美はとっさに俺を庇うように前に出るが足が震えている。


「これはこれは。失礼した、私の名前は【小島(コジマ) 鉄郎(テツロウ)】。【巨人(ジャイアント)】のホルダーといばわかるかな?」


 ホルダーと聞き、由美も何かを察したのだろう。少し険しい顔をする。


小島「さあ、来てもらおうか」


 気づけば周りは重装備をした兵士に囲まれていた。実に鮮やかである。


 だが、この村の結束力も負けていないようで、ぞろぞろと村民が集まってきた。


由美「みんな……」


 その中の一人、村長が出てきて小島に話をしに行く。この、兵隊の中を通るとはなかなか肝が据わっている。


村長「あの、この村に何のようでしょうか?」


小島「おお、これは村長どの。失礼、自己紹介がまだでしたな。

 レリウス王国、陸軍総司令の【小島 鉄郎】と申します。本日はここの村民である【氷藤(ヒョウドウ) 由美】さんを保護しにまいりました」


 礼儀正しく、帽子を外し深々と頭を下げる。


村長「あの、申し訳ないのですが全く話が見えてこないのですが…」


小島「ああ失礼。たしかにいきなり保護といわれても怪しむのは当然のこと。

 どうでしょう、村長。あなた、由美殿の両親のところへ案内していただけませんか? 話をしたいのですが」


 俺は、なるべく子供っぽく驚いておきながら村長と小島の話に耳を傾けていた。


 だが、そこに強く俺の手を握る奴のせいで現実に引き戻される。


 由美だ。


 彼女は震えているのか、怖がっているのか俺の前に出ていながらも顔から涙を流していた。


小島「では、由美殿。早速、ご自宅の方まで行きましょうか」


由美「は、はい!」


 何を血迷ったのか、由美は俺の手を引きながら歩き出す。


小島「申し訳ないですが、そこの男の子とはここでお別れですよ」


 俺たちの固く結ばれた手を見た後に、小島は俺の顔を見る。


小島「君もそれでいいかな?」


 俺は大きく頷くのだった。


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