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34.何処かの国の緊急会議

 「情報部の報告から聞くとしようか」

 「◯◯について、報告いたします。理由は不明ですが、ダンジョンをマスターが如く、自由に闊歩しております。ある階層では、魔物に襲われることもなく、見張りも必要とすることもなく、テントを張る事も可能な階を造る能力というか、権利を所持しているようでございます。そうです、まるで、ダンジョン・マスターの様でございます」

 「それで」

 「ダンジョンのある階層に、自宅を構えている模様です。しかも、我が国の城に、匹敵するが如く、絢爛豪華な建物でございます。そこでは、魔素をうまく活用して、野菜や果物の収穫を行なっております」

 「それが、街で噂の安くて美味い野菜と果物であるな。確かにあの実は、美味しかったのう」

 「そうでございましょう。舌が蕩けるような甘美な味覚でございました」

 「お前も食したと申すか」

 「そこは企業秘密でございます」

 「まあ、良いではないか」

 「しかしですな・・・」

 「そちも食ってみろ。美味いぞ」

 「き、機会があれば食べてみたいと思います」

 「おや、口元に何か付いているぞ。食後であったか」

 情報部員は、速攻口元を拭った。

 「な、何も食べておりません」

 「わしの見間違いであったか。すまんのう」

 「コラコラ、そういじめるで無い。続きを話せ」

 「お、王都に隣の建物ごと屋敷を購入して、その建物を改造いたしまして、店舗にしたようです。それが、今噂の店の正体でございます」

 「その件は、もう存じておる。何かあれば、その屋敷の者に、伝える様に聞いておるぞ」

 「情報屋との取引も、其方で行なっている様でございます。あまりにも詳しい情報ですので、情報屋はかなりの凄腕かと」

 「ほお。どうりで、色んなことに詳しいはずじゃのお」

 「しかも、そこの執事はかなりのやり手でございます。屋敷の事は勿論、お店の方も任せられている様でございます」

 「わかった、今後もよろしく頼むぞ。何か他に補足があるか?」

 「今のままでは、こちらの手も足りません。もう少し偵察員を増やしても宜しいでしょうか?」

 「それは構わぬ。ただし、絶対に悟られるでないぞ」

 「はっ」

 「お前は、もう下がって良いぞ」

 情報部は、一礼すると部屋から出て行った。

 「お前達は、どう思う」

 「わしは、このまま協力してもらうが良いと思いますぞ」

 「僕も、その意見に賛成ですね。聞けば、こちらに敵意はないようですし、上手くこちらに取り込めば、我が国の為にもなるかと」

 「そんな甘い玉ではないがな」

 「女王様は、どうお考えかの。わしは、相手の思惑がハッキリと分からぬ以上、ある程度距離を取る方が良いかと。魔人の事もありますし、敵対だけはしとうありませんがな」

 「まあ、余計なことをしない限り、何もして来んじゃろうが。それに、あの野菜は、有難いからのお。美味すぎて、他の野菜が食えんわ。もしや、これが策略かの。言うことを効かすために、野菜で洗脳しておるのじゃろうか」

 「ありえませんな。彼は美味しいものを食べたいだけのようですから。美味しいものには、目が無いようでございます」

 「なら、良い。敵対などせぬ様、部下にもよく伝えとけえ。たったひとりのせいで、国が潰れてもいやであろう」

 「それ程でございますか」

 「ああ、それ程だ。あの時も、我々の事を考えねば、恐らく魔人は倒せていたと思いますぞ。我々が足を引っ張ったも同然。申し訳ないことをしたと思っております」

 「お前がそういうのであれば、余程の達人であろうな。以後、対応に気を付けよう。我らの方に刃が向かないようにしなければのお」

 「何とか取り込めれば良いのだがのお」

 沈黙が訪れる。

 


 


 閑話休題。

 次回は、何が起きるのか。

 次回も、目が離せないぜ。

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