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A.I.W-story-  作者: 香芳戯 麻弥
白の国編
21/165

21.マリアの大冒険

 私は、マリア。


 今日は、ダンジョンに来ています。


 相棒のタイガと一緒。


 タイガは、レイさんが造ってくれた虎ゴーレムです。毛並みも、もふもふで、とても可愛いのです。


 今は、1メートルくらいの大きさです。レベルが上がると、大きくなるだろうって、言われてました。実は、凄く期待しています。



 「マリア、この虎を相棒にして、ダンジョンをめぐって、レベルを上げててくれないか」

 そう言われて、私はタイガを貰いました。


 「明日から頼む。北のダンジョンがいいかな。あそこなら、知り合いのダンジョンだから、何かあれば、みんなが助けてくれるはずだ」


 レイさんは、忙しい人だから、放置されるのは仕方ないとして、何そのダンジョンが知り合いって。可笑しくないですか。



 ここまでは、タイガに乗せてもらって来ました。


 目の前に、北のダンジョンが見えて来ました。


 一度降りて、歩いてダンジョンの門に向かいます。


 ギルドカードを門番に見せて、中に入ります。


 「無理するなよ」

 門番に手を上げて、大丈夫の合図を送ります。



 さて、新たな伝説の幕開けです。


 「タイガ、何か来たら、教えてね」


 「ワフ」


 油断にしないように、まずはゆっくりと前進。


 この階層は、ほぼ草原。時々、隠れれそうな大きな岩と、森があるくらい。相手をすぐに発見できるという利点と、すぐに見つかるという欠点もある。


 「ワフ」


 タイガが何かを見つけたようだ。


 森から、集団でゴブリンが出て来た。10匹くらいいるかな。浅黒い肌に、醜い顔。角と尻尾が生えている。


 「タイガ、初めての戦いだけど、出来る?」 


 「ワフ」


 タイガは駆け出して、前脚の爪で、ゴブリン達を葬っていく。


 あっという間の出来事だった。


 褒めて、褒めてと言わんばかりに、尻尾をビュンビュン振って帰って来た。


 「凄いね、タイガ。私の出る幕なかったね」



 「思った以上に時間がかかってしまいました。降り口がまだ見つかりません。この階の魔物は大したことないのですが、探索に時間がかかってしまいますね。レイさんみたいに、探索の魔法は使えないし、困りました」


 「ワフワフ」


 タイガが何かを伝えようとしているようですが。


 「どうかした?タイガ」


 聞いても、わからないよね。


 「ワフーーー」 

 タイガの吠えると、空気の波紋が広がっていきました。


 聞き耳を立てていたタイガが、急に走り出しました。


 「待って、タイガ」


 私は追いかけるのに必死です。何処に行くのでしょうか?



 暫く走ると、洞窟を見つけました。


 タイガは洞窟の前で、お座りをして待っていました。


 「タイガ、もしかして、ここが下の階に行く降り口なの」


 「ワフ」


 タイガはとても嬉しそうです。


 「ありがとうね。このまま降りて行こうか」


 タイガを先頭に、降りていきます。


 その先は、やはり草原でした。ただし、森の範囲が増えています。


 「タイガ、次もお願いね」


 「ワフーーー」


 タイガが吠えると、やはり空気が振動して、波紋になって広がります。


 「ワフワフ」


 どうやら見つけたようです。


 「途中の魔物を葬りながら、行くよ。まだまだ弱いだろうし、前進あるのみだね」


 そんなことを言っているうちに、今度はコボルトですね。犬のような頭部をした。亜人種ですね。さあ、蹴散らして行きましょう。



 また洞窟ですね。今度は、階段があるようです。


 何匹倒したか。途中までは数えていたのですが、わからなくなりました。


 タイガが一回り大きくなったような気がするのですが。



 3階は、オークでした。大きな牙の生えた豚でした。


 4階は、ゴブリン、コボルト、オークの混成部隊でした。


 5階は、ハイ・オーク達。オーク・ジェネラルや、オーク・メイジがいました。魔法を団体で使ってくるものですから、避けるのが大変でした。この辺りから、少し難易度が上がったようです。


 6から9階は、巨大生物の宝庫でした。ジャイアント・スネイクに、ジャイアント・スパイダー。サイクロプスまで、出て来ました。単眼の巨人です。


 そして、10階です。


 階下に降りると、すぐに扉がありました。


 開けると、何もない空間でした。


 でも、扉を閉めたとたん、中央からヘカトンケイルが湧いてきました。100本の腕と50の頭があります。数えてはいませんけどね。その両隣には、オーク・クイーンとオーク・キングが立っていました。


 「タイガは、キングとクイーンの相手をお願い。私がヘカトンケイルを倒すまで、適当に相手をしててくれる。倒してもいいけどね」


 「ワフ(やってやろうじゃないか)」

 そう聞こえたような気がした。

 「行くよ、タイガ」 


 私は、レイさんから貰ったマジックバックから炎の剣を取り出した。まだ使ったことが無かったから、ここで試し切りです。どれだけの力があるのか、ワクワクする。


 

 ヘカトンケイルは、全ての腕に棍棒を持っていた。当たらなければ問題ないけれど、下手な魔法も数撃ちゃ当たるっていうから、気を付けよう。


 私は、左手に魔力を込める。


 「火炎弾」


 私の得意な魔法だ。


 頭くらいの大きさの火炎玉を飛ばす技です。連続で、5発くらいまで撃てます。


 一発は外れましたが、他は全て大当たりです。腕が何本も飛び散りました。それでも懲りずに向かって来るヘカトンケイル。流石に、階層ボスだけのことはあります。


 深く呼吸を整えて、もう一発です。


 「火炎弾」


 飛ばした火炎弾の後ろに隠れるように、合せて飛び込みます。

 

 プシュー。


 斬れた所が、溶岩のように熔けていきます。


 ヘカトンケイルの身体が、斜めにずれていきました。


 この炎の剣、切れ味良すぎませんか。


 おっと、タイガはどうしているでしょうか。心配です。



 「ワフ」

 2メートルくらいになったタイガがお座りをしています。


 レベルが上がって、巨大化したようです。


 大きくなり過ぎて、お座りしても、頭に手が届かなくなりました。なでなで、出来ません。


 代わりに、タイガが私を舐めて来ます。


 可愛いのですが、涎が・・・。



 中央に、宝箱が出現しました。しかも、三つ。


 ひとつは、ブーツです。くるぶしの所に、小さな羽根が付いています。もしかして、跳べる?


 ふたつめは、籠手でしょうか。盾の代わりでしょうか。


 みっつめは、剣でした。一緒に紙切れが入っていました。〔蒼の剣〕と書いてあります。残念なことに、能力まで書いてありません。帰ったら、レイさんの鑑定眼鏡でみてもらいましょう。


 どれも、銘品です。今日は、大当たりの日ですか。



 11階は、砂漠ですか。足元を砂に取られて歩きにくかったのですが、先ほど宝箱から出たブーツを履いてみたら、あら、大変、浮きながら走れるものですから、砂の影響が無くなりました。最高です。タイガは、元々気にしていなかったので、またサクサクと進めます。


 砂から出て来る、ジャイアント・スコーピンもなんのその。蒼の剣で、バッタバタです。


 蒼の剣は、水が流れるがごとく剣が伸びて、切断していきます。魔力を流すと、凍らすことも出来る優れものでした。


 他には、マーダー・キャメルは砂から出て来ると、跳ねながら攻撃してきます。背中のコブは、盾の代わりをするのか、タイガの攻撃が通りません。


 怒ったタイガは、空に向かって咆哮しました。


 すると、咆哮が黄色く変化すると、稲妻となって、落ちて来ました。


 マーダー・キャメルの背中に辺り、コブだった部分の肉が、辺り一面に弾け飛びました。


 もちろん、マーダー・キャメルは、ひとたまりもありませんでした。


 倒れると、身動きひとつしなくなりました。


 〔咆哮雷撃波〕とでも言いましょうか。凄い威力です。


 あれ、タイガの身体が輝きだしました。


 眩しくて、瞬きした瞬間に。


 タイガが、白い虎に変化していました。


 「やった進化したよ」 


 それは、紛れもなく、タイガの言葉でした。


 「タイガ、喋れるようになったの?」 


 私は驚いて、口に両手を当てます。


 本人も驚いているのか、私の周りを走り回っています。


 余程嬉しいのでしょう、私を背に乗せて、階段のある所まで、ひとっ飛びでした。



 12階は一面森でした。背の高い木が生え茂っていました。


 カブト・ウルフはすばしっこくて、見つかったら最後、いつまでも追いかけて来ます。影からひょっこりと現れるのが、死神スパイダーです。数で襲ってくるので、大変でした。私の火炎弾だと、森が火事になるので、蒼の剣が大活躍でした。水の珠を作って、中で溺れさせるのです。これが一番手っ取り早い攻撃でした。


 13、14階は、古代遺跡みたいな所でした。出て来るのは、主にアルラウネやガーゴイル、ジャイアント・バットでした。


 ジャイアント・バットは、大きな蝙蝠です。口から、超音波を発するので、注意が必要です。当たらねければ、問題ありません。


 15から19階までは、谷底の階層や、山頂の階層、洞窟だけの階層までありました。


 地獄の猟犬と言われる黒い大型犬のヘル・ハウンド、翼の生えたエンゼル、間違えました、翼の生えた白馬のペガサスや、首から上に雄牛の頭が付いている怪物ミノタウロスなど、強敵ばかりでした。


 ほとんど、タイガの〔咆哮電撃波〕で、全滅にしてしまって、巻き込まれないように離れて見ているだけでした。


 

 20階は、待ちに待ったボス戦です。


 「タイガ、〔咆哮電撃波〕は控えてくれる。一緒に戦ってたら、私に当たっちゃうからね。気を付けてよ」


 「わかりました」


 扉を開けて、中に入る。



 これは、海でした。


 ボス戦が海って、ズルくないですか。


 と思っていたら、海の中央で渦が発生して、中から、強大な・・・タコとイカが現れました。


 おー、それに、あれは幽霊船でしょうか。フジツボや海藻だらけのボロ船が、渦から浮上して来ました。


 「タイガ、さっきの言葉は撤回するから、あのタコとイカに〔咆哮電撃波〕をおみまいしてやって。その間、私は少し浮いておくから。一緒に感電したくないもの」


 マリアは、羽根ブーツの力で、少しだけ浮いた。


 「逝っちゃってー」


 タイガは、その言葉を待っていたのか、タコとイカに電撃波をおみまいする。


 タコとイカは、黒く焦げると、そのまま海に沈んでいった。


 おまけに、幽霊船まで、巻き込まれるように大破して、船首が垂直に立ち上がると、静かに沈んでいった。


 「あら、一撃で終わっちゃったね」


 マリアは冷めた笑いで、地上に降り立った。


 そして、海の中から勢いよく、宝箱が撃ち出されて来た。


 それは、マリアの目の前に落ちた。


 3つの宝箱は、壊れることもなく、目の前に並んでいる。さっきまで、そこにあったかのように。



 「開けてみようか」


 ひとつ目は、首輪だ。


 ふたつ目は、金銀財宝。いったい、いくらくらいあるのだろうか。


 三つ目は、宝石かな。色んな色がある。何に使えるんだろう。レイさんに聞いてみよう。


 

 21階から29階層は、普通の森や草原でした。山もあったかな。


 魔物は、今まで出たやつ全部。魔物の大集合みたいな感じでした。高いレベルには違いないのだろうけれど、ちょっと強い人なら、ここまで来れると思う。その代わり、色んな薬草や木の実があったな。薬師の人なんか、大泣きレベルだよね。


 さて、お待ちかねの30層。ボス戦だね。


 そろそろ二刀流が出来そうなんだけどね。



 「お邪魔します」 


 30階の扉を開けると。


 湧いてきたのは、ワイバーンでした。白と黒のワイバーンが二体です。


 いいこと思いついた。

 「タイガ、ここは一緒に攻撃するよ」


 私は、タイガに跨った。


 タイガは、笑っていた。


 「用意はいい?タイガ」


 「ああ、大丈夫だ」


 私は、右手に炎の剣、左手に雷竜剣を持って、目の前でクロスさせる。


 「行くよ、タイガ」


 その言葉を待っていたのか、稲妻のごとく、突っ込むタイガだった。


 二体のワイバーンは、動く間もなく、私の剣で斬られる。翼が裂ける。どうせ、飛べるほどの空間はないから、致命傷にはならない。


 それならば、再度攻撃を仕掛ける。


 タイガの爪から逃れようとするところを、逃さぬように斬りつける。

 

 ガキーン。


 爪で受け止めるワイバーン達。


 流石にボス戦、一筋縄ではいかない。


 ならば。



 「火炎弾」

 魔法を撃ち込む。払うように魔法を弾く。

 これでも、ダメか。ならば。



 「タイガは、このまま突っ込んで、黒い方に攻撃」


 私はタイガの背中から跳んで、空中を走る。


 両方の剣で、白い方の首を狙う。二体は、タイガに気を取られて、下を向いたままだ。私の方が軽く見られているようだ。


 「舐めるなよ」


 誰の影響だろう、口が悪くなってきたみたい。

 

 シャキーン。


 白いワイバーンの首が跳んだ。


 うん、上手く行ったようだ。


 再び上空に駆け上がる。


 黒いワイバーンが、悔しそうに上を向く。


 そこを逃さず、タイガが突っ込む。爪をドリルの様に回しながら、ワイバーンの腹を削り取る。


 悲鳴を上げる黒のワイバーン。


 私はすかさず、火炎弾を飛ばす。


 ちょうど上を見上げたところに、火炎弾が上手く直撃した。爆発する頭。


 爆風に飛ばされた。少し油断したか。そこを上手くタイガが受け止めてくれた。


 「ありがとうね、タイガ」

 


 「今度の宝箱の中味は、何かな」


 これだから、冒険者は辞められないんだよね、きっと。


 宝箱は、五つ。


 ひとつは、金銀財宝。すっごいお金持ちになってるような気がする。


 ふたつは、指輪。


 みっつは、腕輪。


 よっつは、また指輪だ。


 五つ目は、紙切れ。お疲れさまでしたと書かれている。しかも、何処かの宿屋のチケット付き。


 何だよ、これは。


 もういいや、早く31階に行こう。


 疲れました。



 

 そして、31階層。


 見たことあるとこだ。


 宿屋の食堂で、死ぬ思いをしたよね。


 だって、あそこの建物。あの宿屋だもの。


 ああ、このダンジョンだったんだ。


 とりあえず、食堂で美味しいもの食べて、寝よう。


 疲れたもの。





 

 


 王都のお店の準備は出来たけど、野菜や果物だけしか無い。

 何かメインになる物を探して、ダンジョンまで来て見れば、お肉がいっぱい。

 新たなダンジョンで、新たな出会いが・・・・

 どうする、レイ、次回、ダンジョンであれこれ、乞うご期待!!

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