表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/10

1

 ときどき違和感を覚えていた。

 本当に、これが私の姿なのか、と。


 つぶらな大きな瞳に、美しい蜜色の豊かな御髪。

 心のままに微笑めば、誰からも愛される。


 ひもじい想いをすることも、疲れ果てることもない。

 毎日、美味しいものを食べさせてもらい、ふかふかのベッドで眠り、天気がよければアリア様と遊ぶ。


 アリア様は、ひとりぼっちで彷徨っていた私を拾ってくださった方だ。


 深紅の髪とエメラルドのごとき瞳を持つ侯爵令嬢である。

 美しい所作と屹然とした態度がカッコイイ我が主は、カッコイイだけでなく、とても優しい。

 とてもとても。


 昨日も、私がお皿を割ってしょんぼりしていたら慰めてくれて、今朝は優しく声をかけてくださった。


 私の毎日は、喜びで満たされている。

 だから、不安が忍び寄ってくるのかもしれない。


 本当に、これが私の姿なのか、と。

 こんな幸せな生活が永遠に続くのか、と。


 そして、私はふいに思い出す。


 来客の男に驚いて、ドアにぶつかった瞬間だった。

 強い衝撃とともに、前世の記憶が怒濤のごとく蘇ったのである。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ