報告案件でした
レレレは、たくさんの亡者と一緒に、三途の川を渡って、死役所と書かれた大きなビルに向かって歩いていた。周りの亡者たちは、肉体が腐敗し始めて、ゾンビ映画のゾンビみたいになり、動きが遅くなって、苦しそうな表情を浮かべている。
レレレは、かわいそうに思って、「綺麗になぁれ」と手に持っている箒を振ってしまった。その途端、箒から強い光と風が吹き出して、死役所のトビラまでの、3メートルほどの幅にいた亡者たちを全員浄化してしまった。
亡者たちの腐った肉体は消え去ってしまい、光の玉になって、ぷかぷかと浮いている。レレレは、何しろ眩しかったし、すごい激しい風が起こったから、びっくりしてしまった。
そのうち、死役所の中の人が騒ぎだし始め、2人の制服を着た役人さんみたいな人が、レレレの所にやって来た。
「おいおい、困るよ、あんなことしてくれて。たましいは、肉体が腐れ落ちていくことで、肉体への執着を捨てさせて、トビラを通り抜けることで、肉体を切り離していたのに、肉体だけ浄化しちゃうと進まなくなっちゃうから、困るんだよなぁ。」
よく見ると、ゾンビ状態の亡者はトビラを通り抜ける時に光の玉に変わっていっている。
わちゃー、やらかしちゃったかなぁ、と思っていると、もう1人の役人さんらしき人は、「今のすごかったねー、ピカッブワーって、ズババババーって浄化されて、すごいパワーだったねー、ところでアンタの体は紙みたいなペラペラなのって、何それ?何かの罰ゲーム?」などと言われてしまった。
「まぁ、かなりの異常事態であることは確かだから、所長に報告する必要がある。ちょっと君も所長の所まで一緒に来て欲しい。」
そう言われて、2人の役人さんに付き添われて、レレレはおっかなびっくり市役所のトビラの中に入った。が、レレレはペラペラのまんまだった。他の亡者は胸のあたりに光の玉を浮かべて、うっすらと生前の姿をまとった幽霊みたいな状態なのに、レレレはペラペラのレレレのおじさん状態のまんま。
これには、付き添いの役人さんみたいな2人の方が驚いた。「ますます異常事態だなぁ、本当に所長報告案件だ。ちょっと急ぐから、引っ張って行くよ」と言われて、ペラペラの足が床に付かないスピードで進んで、所長室と書かれたトビラの前に連れて行かれた。
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