ずっとずっと忘れない
〜1〜
「しゅしゅしゅしゅ修一くん、修学旅行の班一緒にやぁらない?」
滑舌がどこが行ってしまったようだ。私のとなりで美月が笑いを堪えている。私の隣には美月が。修一くんの隣には亮太くんが修一くんの肩に手を回して立っていた。
「夢乃さん、と辻本さんだよね?」
修一くんは私の目をじっと見ながらそう聞いた。
「そうです!夢乃鈴です!」自分が修一くんに苗字だけでも認識してもらっていて、ものすごくうれしかったので、ものすごく大きい声で挨拶をしてしまった。
ーーーーシーン
クラスメイトが全員私のことを見ている。
あぁぁ…!!やってしまった…!頬がカァーっと赤くなる。
修一くんは目を丸くして、少しだまってから
「くくくくく…」と笑った。
その小さい笑い声がキッカケになり、クラスメイトが笑いだす。美月はお腹を抱えて大爆笑している。
顔が真っ赤になりながら、私も笑ってしまった。
すぐに笑い声はやみ、みんなが自分のところへもどっていった。
「修一、別々によくね?お前、俺いないと女子とまともに組めないだろ」亮太くんはにこにこ修一くんの肩にからめる手をキツくしながら笑っていった。
「そうだね。よろしくね、夢乃さん、辻本さん」
「!!!」
やったぁー!!!
「よろしくお願いします!」
隣で美月が肩をつつく。そんなことお構いなし。
やった。やっとやっと修一くんと同じ班になれた。私の心は幸福でいっぱいだった。