夜話
「今日ね、誕プレたくさん貰ったんだよ。」
誕プレ
僕、猫のミャオにはその意味はよく分からない。恐らく部屋の片隅に置いてある物がそれを指すのだろう。もう一つ分かるのは、今日この家の人間や彼女がいつもより優しい面持ちだということだ。少し前にやたらと陽気な歌声が聞こえたあたり、今日はなにか大切な1日に違いない。祝福したいができない、いかんせん猫だから。
今、僕を膝の上に乗せて撫でているのは、大場リンという人間のメスであり、僕の大好きな人だ。なぜなら暖かいから。体温が。この人の膝に寝ていると、ぐっすり眠れる気がする。ずっと1人で話しているが、それはそれでヒーリングミュージックのようだ。まぁ僕は日中暇で寝ていることが多いから、話を聞いていることが多い。意味はよく分からないのだが。
ただここ最近なんだか様子がおかしい、ほら、今、まさに今。
「最近ね、モモが冷たいんだ。ていうか皆なんかおかしいんだよ。でもね、きっと女子はヘイトがしょっちゅう変わるから、それなんだと思う。はあ、学校やだなぁ。」
泣くなよ、意味は分からないけど。とりあえず辛いことがあるのは分かる。泣いている時は本当に居心地が悪い。というか僕もモヤモヤした気分になる。日中リンは家にいないからよく分からないけど、恐らくガッコウ?とかいう所に行っているのだろう。嫌ならなぜ行くのか、僕には分からない。この家にいる白黒頭のメガネの人間のオスもカイシャ?とか言うところに出ていく。人間はよく分からない、まあ人と猫は見てくれも中身も違うのだから、生きる社会も異なるのだろう。
人になりたい。リンの話を聞きながら、彼女を守るためにそんなことを願うようになった。何とかならないものか。そんなことを考えながら、今日も夜話はコロコロと変わっていく。