1-28:【一つの終わり】
地下牢に居た城の人間達は皆、後遺症や怪我もなく意識が戻った。その際、オルデンと大臣が上手くボカして事情を説明した為、俺達……特に魔王については、深く追求はされなかった。
ちなみに騒ぐとうるさそうな例の王子二人はジルベルトと一緒に別の牢へ隔離した。ジルベルトの意識はまだ戻っていない。
ジルベルトをはじめとする、勇者達については三人共、追って沙汰が告げられるらしい。どうあれ魔王を封印した功績はあるので、大臣が頭を悩ませていた。
恐らく詳細を知っているであろう二人については、すぐにでも各国に伝えるらしいが、自国に付け入る隙を与えると言う意見もあり、対処が難しいらしい。
俺達はというと、俺については勇者達の言動がおかしいと、独自に調査していた事にしてくれるとの事。秘密裏にするため、表向きは逃げ出したと言うことにして。
15年……長かったがようやくこれで一つ取り返せた気がする。
とは言え、新たな問題が増えた事で、俺は何処か素直に喜ぶ事が出来ないでいた。
ティナについては、亜人族だが人間に協力したと言う事を上手く使い、王族自ら亜人族と懇意になると発表すると約束してもらった。これで少なくともこの国内で境遇が変われば良いんだが。
魔王に関しては俺が旅先で見つけた仲間と言う事で、あまり深く広めないらしい。まぁ、魔王だと公表すれば混乱……最悪暴動が起きかねないからな。本人も飯が食えればそれで良いらしい。
細かい事は追々出て来るだろうが、ひとまずはそんな所に落ち着いた。
後はジルベルトとバカ王子二人の対処だけだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
地下牢へ戻ってみると、ジルベルトは意識を取り戻していた。取り戻してはいたんだが――
「意識は戻ってるがこれは……おい、ジルベルト!」
「あー……じる……べると……?」
ジルベルトは虚空を見つめ、呆然と横たわっている。コチラの言葉も理解出来ていないようだった。
「駄目じゃな……これは、魔法や呪いではない。心が壊れたんじゃろぅ。恐らくはあの変化の代償じゃな」
魔王がそう結論付ける。人の身に余る変化。いや、その前から様子はおかしかった。加えてアリシアも失敗した、と言っていた。
「治る見込みはあるのか?」
「恐らく無いじゃろう。可能性がゼロとは言い切れんが……」
魔王でも即座に治せないなら、後は時間が解決してくれるかどうか、というところか。
「そうか、わかった」
出来れば謝罪と詳しい話を聞きたかったが、こうなっては仕方ない。許すつもりはないが、あの時、俺に非が全く無かったわけでもない事は今ならわかっている。
「バカ王子二人についてはどうするんじゃ?」
「うーん……コイツラは素で好き勝手してたんだよな」
城の人達はアリシア達の影響化だったんだが、コイツラはそれを差し引いてもやり過ぎている。
「ふむ。ではこの者達は暫くこのままにしておこう。仮にも父親がこの状態じゃ。災いを起こさんとも限らん」
そう告げるオルデン。中々容赦ないが、目覚めさせて王位問題で揉めるのを避けた節もある。
「さて、ひとまずコレで大方の話は纏まったな。城下の民には近々触れを出すとして、今日の所は終わりとしよう。お主ら、今日の所は城に泊まってゆくと良い。褒美の飯も出さねばならんしの?」
そう言って魔王をニヤリと見つめるオルデン。魔王は待ってましたと言わんばかりに、頷いている。
コレで魔王の舌が変に肥えなければ良いんだが……。
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