1-27:【魔王の興味】
地下牢に囚われていた元国王と大臣を助け出した俺達。
彼等から聞いた話から推測すると、魔法か、それに類する何かをかけられていたと言う事だろう。
ひと通り話を聞くと、今度は大臣がコチラの関係について聞いてきた。
さて……ティナは良いとして魔王はどうしようか。
「あー、コッチの娘はティナ。亜人族……猫豹族だったか。ジルベルトの出した亜人族狩りの犠牲者だ。加えて言うと王子にも攫われたな」
「なんと……亜人族ですか……」
面倒を避けるため外出時、ティナにかけている認識阻害の魔法を解く。ちょこんと耳と尻尾が生えてくる様はちょっと可愛い。
大臣は亜人族と言う事で、嫌悪感を表に出すが、助けられたと言う事実から複雑な表情をしていた。ちら、と見たがオルデンは表情を変えない。このあたりは為政者としてのスキルか。
「亜人族であれ、我らを助けてくれた事に違いはあるまい。そして非礼を詫びよう。ティナと言ったか。この通りだ」
ティナへ頭を下げるオルデン。驚いたな。亜人族相手でもこうやって接する事が出来るのか。
これは、上手くやれば亜人族の地位向上も狙えるかもな。
「いえ……私は何もしてませんし……」
慌てて恐縮するティナ。まさか礼を言われると思っても見なかったんだろう。
「それで、コッチのは……」
魔王だと正直に言うか? しかし封印を命じたのもオルデンだ……。ややこしくならない様、隠した方が良いか……。
そんな風に考えていると、魔王自ら答えていた。
「ワシは魔王。魔王リリアルデ・フローエじゃ」
堂々と魔王だと言い切りやがった。コッチの悩みなど気にもしないで。
「マオウ……ま王……魔王!!!!???」
理解が追いついていなかった大臣が、椅子から転げ落ちる。まぁ、いきなり目の前に魔王が居ればそうなるわな。
「お主が魔王……想像していた姿と随分違うな」
おお、オルデンは意外と冷静である。想像していたのと違うってのは良くわかる。誰がこんな幼女が魔王だと想像するよ。
「何か失礼な事を考えとらんかえ……」
横目で魔王が睨んでくるがスルー。
「やはり、我ら人間に対する復讐か……? しかし、それならば何故我らを助け出した」
「どいつもこいつもワシに復讐させたがるのぅ。そんなものに興味は無い。今ワシにあるのは美味い食い物への興味だけじゃ」
魔王のあんまりな発言に、目が点になるオルデンと大臣。連れながら、ちょっと恥ずかしいぞ……。
「そ、そうか……にわかに信じ難いが、他ならぬ本人がそう言っておるのだ。今はそういう事にしておこう」
「クフフ……。後でたっぷり王宮料理も食べさせておくれ」
ただの食いしん坊に成り下がってるぞお前……。見るとティナも魔王の言動が恥ずかしいのか顔を赤くして俯いている。
「ゴホン。まぁ、コイツは見ての通り飯さえ与えておけば大丈夫だから、今は気にしないでくれると助かる」
横で何やら魔王がぶつくさ文句を言っているが、聞かなかったことにする。
「ふむ……。その辺りは今度詳しく聞かせてもらおう。本来ならこうやって魔王に頭を下げるのは大問題ではあるが……事情が事情じゃ。頼む、臣下を助けてやって欲しい」
「うむ。任せておくのじゃ。その代わり……クフフ……」
おい、恥ずかしいからその涎を隠せ。
こうしてひとまず話し終えた俺達は、細かい事――魔王である事を隠すなど――を決め、地下牢へ戻った。
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