1-13:【魔王、置いていかれる】
ティナに話をした翌日。目を覚ますとティナは既に起きており、部屋の掃除をしてくれていた。
「あ、おはようございますアレウスさん」
「早いな……おはよう」
ちなみに一つしかないベッドはティナと魔王が使っている。というか魔王に占拠されている。床で寝たため少し身体が痛い……。
「あの、昨日のお話何ですけど、すみません。もう少し時間を頂けますか?」
「ああ、構わんよ」
焦って答えを出そうとして断られるのが一番困る。ちゃんと考えてくれていると言う事は、脈もあるんだろう。
「魔王は? いや、聞くまでもないな」
「ぐっすり眠ってますよ」
クスクス笑いながらそう答えるティナ。仕方ない、起こしてくるか……。
寝室では魔王が大の字になって盛大に寝ていた。コイツ、魔族がいた時はどんな生活だったんだろうか……。
「おい、起きろ魔王!朝だぞ!」
「ん〜……後……2000年……」
流石魔王、スケールが違う……。と、変なところに感心してしまったな。
「やれやれ……」
前回使った薬やらを毎回使う訳にもいかんしな……。どう起こしたものか。
「ふむ……ちょっと埃は立つが……」
俺は呪文を唱え、自身の筋力を増加させる。
そしてベッドの端を掴むと、おもむろにひっくり返した。
「どっこいしょー!!」
「ぐえっ」
バタン!と大きな音を立て逆さまになるベッド。何か女の子らしからぬ悲鳴が聞こえたが、ここに寝ているのは魔王。何も問題ないだろう。
「お主……もう少し起こし方があるじゃろう……」
ベッドの下からもぞもぞと這い出してきた魔王が不機嫌そうに睨んでくる。
おお、這い出てくる魔王ってちょっと怖いな。見た目が幼女じゃ無ければ、だが。
「いつまでも寝てるからだよ」
「ぐっ……もうワシに興味が無くなったと思って油断したのじゃ……」
別に興味がなくなった訳じゃ無い。ん?なんか語弊を招く言い方だな。
まぁ、興味が無くなったと思って障壁を張ってなかったお前が悪い。
「ベッド、戻しておいてくれよ」
「んな!?ひっくり返したのはお主じゃろうに……」
聞こえなかったフリをして部屋を出る。さて、今日はどうしたもんかな……。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ああ、そう言えば足りない物とか無いか?」
急に人が増えたからな。独りで住んでた時とは違い色々足りない。取り敢えずベッドは欲しい……。
「そうですね……。あの、その前にですけど……私、ここに居て良いんでしょうか?」
おずおずと聞いてくるティナ。
「ん?ああ、行く宛がないのなら居てくれて構わないぞ」
「あ……ありがとうございます」
とは言ったものの、ティナも協力してくれない場合、コレはリスクか?……いや、一人や二人、大差無いだろう。
「そういえば、日用品は足りませんね。後は替えの服とかでしょうか……」
確かにティナも今着ている服しか持ってないし、魔王に至っては服を持っていない。ん?そういや魔王はどうした?
「あれ?起こされたんじゃないんですか?」
「いや……起こした筈なんだが……」
二人で寝室を覗いてみると、ひっくり返ったままのベッドの上で、二度寝を決め込んでいる魔王がいた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「リリィちゃーん、朝ですよー。起きてくださーい」
魔王を起こそうとティナが肩を揺さぶるが、一向に起きる気配が無い。
まぁ、さっきの件があるからな。障壁位は張ってるだろう……。
「しかしこのまま寝させておくのもしゃくだな……」
試しに飯で釣ってみるか。
「ティナ、コイツは置いといて何か美味い飯でも食いに行こう」
「え?でも……。あっ!そうですね!美味しいご飯に後、デザートも食べませんか!」
「むにゃ……デザート……お土産……むにゃ……」
聞こえてるのか偶然か、的確に返事だけして起きはしない魔王。ていうか絶対起きてるだろコイツ……。
「はぁー……仕方ない、放って行こうティナ」
「え?え?」
「いいから。ほら行こう」
起こさなくて良いのかと困惑顔のティナを押し、そのまま家を出る。俺達だけ良い思いをすれば少しは懲りるだろう。
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