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創作論的な何かを書いたエッセイ

こうすれば異世界で味噌を再現するのに説得力が出る気がする

作者: ロロサエ

中世風のヨーロッパ風異世界で、簡単に味噌を再現するのはおかしい。

尤もな意見です。

全面的に同意します。


ヨーロッパの多くは、そもそも日本と比べて緯度が高いです。

高温多湿な気候ではありません。

植生も違います。

それなのに、日本の気候風土だからこそ出来た発酵食品を、気候の違う世界で簡単に再現するのは無理があります。


それは十分に認識しておりますが、ファンタジーの世界ですから、割合簡単に諸々の問題を解決出来ると思います。

ですから、異世界で味噌の再現はこうやれ、みたいな感じでお送りしたい。


まず、原料をどうするのか?

これはもう、大豆に似た豆を探すしか無いでしょうね。

異世界ですから、大豆その物があるのは不自然でしょう。

ですので、地球の豆らしき植物があれば良いのです。

主人公を市場に行かせ、豆らしき植物を探しましょうというのか、出しましょう!


地球の豆に似た植物の種があっても、それで地球と同じ味の味噌を作れるとは限りません。

タンパク質の多い豆でないと、日本人が思う味噌の味は出せない可能性が高いです。


地球の場合、豆には炭水化物の多い種と、タンパク質や脂質が多い種に大別されます。

殆ど多くの豆類は炭水化物が多いです。

小豆、インゲン豆、そら豆等です。

タンパク質や脂質の多い種は、大豆や落花生などです。


味噌のうま味はアミノ酸で、それは豆のタンパク質を微生物が分解する事で作られます。

逆に炭水化物が多いと、甘味の強い味噌となります。

西日本に多い白味噌は、麹で麦や米を発酵させ、それを蒸した大豆に加える事で大豆の発酵を促す訳ですが、加える麦や米の量が多い程、甘味の強い味噌が出来上がります。

米や麦は炭水化物で、それが分解されれば糖が出来るからです。

多分、小豆などを原料にして味噌を作ると、甘すぎてとても味噌とは言えない代物になるのでは?

ですので、異世界で日本の味噌と同じ味の物を作りたい場合、タンパク質の多い豆を探しましょうというのか、登場させましょう。


どうやってそれを見分けるのか?

水に漬けて一晩でもおき、煮て潰して豆乳を絞りましょう。

豆乳を火にかけ、表面に膜が張ればタンパク質の多い豆です。

湯葉ですね。

それでタンパク質の多い豆が見分けられました!


味噌の原料は豆と塩、麹くらいでしょうが、豆が手に知れましたし、塩はどうにかしてますよね?

塩に関しては、どうにかしている事を前提としますから、まだの場合はどうにかして作って下さい。

ですので、次は麹の入手方法です。


ヨーロッパ風異世界に日本の麹そのものがあるのはおかしいですよ。

麹とはコウジカビを穀物に繁殖させた物ですが、そのコウジカビが厄介です。

カビの一種ですから、乾燥した気候の土地では中々繁殖してくれません。

ヨーロッパ風異世界では見つけるのは厳しいのでは?


だから、そこはファンタジーの出番です。

物を知った人に、米の様な穀物で作る、甘酒みたいな飲み物を飲んでる種族がいる、と言わせればよいのです。

まあ、ヨーロッパに米があるのも不自然なのですが、そこは高温多雨な地域が比較的近くにある設定を作れば良いだけです。

何なら、海流の影響で年中温かく、雨の多い島でも良いですよ。

だってファンタジーですからね!

不思議な力が働いているのです!


そこには蒸した穀物を外に放置し、何か知らんが甘くなる飲み物を作る種族を出せば良い。

それはつまり地球のコウジキンと同じ働きをする菌でしょうから、それを使えば味噌を作れる可能性は大きいです。


これで原料は手に入りました。

問題は味噌の具体的な作り方ですね。

田舎のおばあちゃんが手作りしていて、作り方を知っているという設定でもあればまだしも、wikiで得た知識くらいでは再現は難しいと言わざるを得ません。

何故なら、塩加減なんて分からないでしょう?

発酵の進み具合なんて判断出来ないでしょう?

知識として知っているのと、実際を知っているのは天と地ほどの違いですからね!


異世界の豆では塩加減が違うかも知れませんし、コウジカビの増え方も違う可能性があります。

それをどう乗り越えるのか?

短時間で成功させる事に説得力を持たせるのなら、条件を変えた物を何種類も同時に進めていけば良いでしょうね。

塩加減を1%ずつ、さらに麹の量も変えて、莫大な数を仕込めば良いのです。

莫大な資金も必要でしょうが、こればっかりはこれしかない気がします。


それか、主人公にはチートがあり、成功する道を直感的に把握する能力とかにするか。

某漫画で主人公が得た、どんな答えもたちどころに分かるアンサーほにゃららとか?

ただ、これは作者が持て余す事間違いない能力なので、止めた方が賢明ですよね。


そんな努力の結果で出来上がった味噌が、主人公のお母さんが選んでいたであろう味噌と同じ味である可能性は、残念ながら低いです。

大豆の品種でも味は変わるでしょうし、白味噌なら麦か米でも違うし、その量も問題となるからです。

そもそも、異世界の豆で大豆と同じ味が出せるのかは分かりません。

コウジカビとは違うカビかもしれません。

忠実な再現は諦めた方が良い。

全く同じではないけれど、風味は味噌、くらいに止めるべきでしょうね。


これくらい説明すれば、異世界で味噌に似た発酵食品を出すのは不自然ではないと思われます。

尤も、本筋が冒険であれば、奴隷のカワイ子ちゃんに任せてもいいのか。

優秀な子で、主人公の無茶振りを頑張ってこなす、とか。

以上です。

あくまで個人的な印象であって、これが正解だなんて言うつもりはありません。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 味噌は欲しい 共感25%。
2019/03/11 20:52 退会済み
管理
[一言] 何となくの知識しかない状態で細菌を扱うのは凄い怖いんであまりオススメしたくはないですね… 他の植物発酵に使われてたとしても培地が変われば産生物質も変わるわけで 即効性の毒を産生するとかなら分…
[一言] 米がある地域を登場させるなら、交易や討伐でその地方へ行く事もあるだろうから、そこで新たな仲間や嫁を連れて帰ればなにも悩まず味噌ができてくる気がする。 冒険モノなら、正直、米がある地域に行け…
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