第3話 らむねの家でホームパーティーnow☆ 起
羅宗「BAD生徒?! ざくろ☆ランス、これまでの出来事!」
朱桃「BAD生徒?! ざくろ☆ランスの『BAD』!」
羅宗「水澤咲玄は怪物、魔身依種である!」
朱桃「BAD生徒?! ざくろ☆ランスの『生徒』!
羅宗「水澤咲玄は人限の勇者育成学校、戦門学校に入学する!」
朱桃「そしてBAD生徒?! ざくろ☆ランスの『ランス』!」
羅宗「水澤咲玄は槍使いである!」
朱桃「どうなる、第3話ー!!」
「こんなとこにいたのか」
ある日の放課後。僕が渡書室という教室で本を漁っていると、菊真教団祭神のキクさまこと縁梨が声をかけてきた。
「縁梨か。この部屋の本って全部異世界から渡ってきた書物なんだな。一度『ニホン』とかいう世界の『マンガ』とかいうのを読んでみたかったんだよね」
「翻訳されてないぞ?」
「ニホンの医学書を読むこともかあるから、それよりは簡単でしょ。医学書の翻訳もけっこう儲かるんだ、これが」
「……オレには絶対無理」
「で、要件は?」
僕は本を数冊持って出口の方へ歩き出した。
「ここはもういいのか?」
「読み切れそうな数だけ本は借りたし、そろそろ菓凜を迎えに行かないと」
僕はなるべく生徒達からのキクさまコールを浴びないよう、人気のない裏道を進んだ。すると縁梨もいつも使っているのか、気にせずついてきた。
「……なぁ、お嬢のことなんだけどさ」
「ん?」
「その、お嬢って何が好きなんだ?」
「……なんで?」
縁梨が目をそらした。
「こないだの話聞いてさ、何か、オレもお嬢のためにできないかと思ってさ」
「……そういうことか」
まぁ、情けをかけてくれるのは良いことだ。
「そうだな、花は好きかな」
「花、か……」
「まぁでも、本人に直接聞いてあげるのが一番いいだろうな。自分のことを知りたいって思ってくれてるだけでも、菓凜は喜ぶさ」
「そっか……」
「そうだ、今夜知り合いの家でパーティーがあるんだが、菓凜も行くんだ。その時に聞いたらどうだ?」
「……知り合い?」
「あぁ、今も億上で彼女と遊んでるんだ」
億上。入学初日に見た、千階くらいありそうな校舎の屋上である。開放されてはいたがエレベーターは無く、なんと雲海が見えた。
「億上?! いや、あそこまで瞬間移動するの、相当魔力いるだろ!」
「まぁ僕ら魔身依だし。特に、菓凜に魔力量では勝てないよ」
「その知り合いも、魔身依なのか?」
「いや、菓凜の魔力を使って上がったんだろ。これから僕も行くけど、魔力貸そうか?」
億上に着いたら、菓凜に魔力補充してもらおう。
「あ、ありがと。でもあんまりしょっちゅう使ってると怪しまれるぞ。そこまで魔力持ってる生徒、この学校にはいないし」
「マジか。人がいなかったのはそういうことだったか」
億上のある校舎の前に着いてから、僕達は億上へ瞬間移動した。上空への垂直な瞬間移動なら、魔力をかなり抑えられる。まぁ人限にとっては、それでもかなりの魔力量なのかもしれないが。
「うおお! すげー!」
着いた時には、眼下の雲海は夕日でオレンジ色に輝いていた。
「あ、にいにー!」
僕達に気づいた菓凜と、遊んでもらっていた知り合い、羅宗が近づいてきた。すると羅宗が立ち止まった。
「縁梨……!」
そして縁梨が羅宗を見るなり後退った。
「げぇっ?! ご、ご主人?!」
「ご主人……?」
なるほど。どうやら縁梨は、羅宗のところにも奴隷ごっこに行ったことがあるようだ。
羅宗「次回、どうなる縁梨の告白!」
縁梨「告白じゃねぇよ!」
咲玄「お前なんぞに菓凜はやらん!」
縁梨「だからぁ!」