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第2話 かりんのSchool lifeスタートに候う☆ 結




「何かしてる方が気が楽、ですか」

曇り空の下、僕は広大なお花畑で監視をしながら、これまでのことを縁梨ゆかり蕾夢らいむに語り終えた。菓凜かりんにはあまり思い出させたくなかったので、遠くの方で走り回ってくれていて助かった。

「お花畑が広かったのがラッキーだったかな」

「お嬢……」

お花畑の前にあったベンチに座っていた縁梨が、遠くで蝶種を追いかけている菓凜の方を見た。同情してもらうために話したわけではないが、一応こちらの事情も知っておいてはほしかった。

「……それで、口止め料はいくらですか」

「え、もうその話?!」

縁梨の隣に座っていた蕾夢が冷たく続けた。

「そのためにわざわざ私を呼んだのでは?」

確かに縁梨には、まず口止め料を払うつもりではあった。そして蕾夢もこの学校に関わっていることがわかった以上、そうするつもりではいた。僕が闇医者業で貯めてきた資金は充分あるわけだし。ちなみにそれに手をつけずに蒸発したというのも、僕がまだ父上を信じている理由の一つである。いずれにしても。

「その、話してすぐなんだからさ、もっとこう、情けをかけてくれても良いのでは?!」

「私は傭兵ですので」

「……さいですか」

蕾夢は初めて会ったとき、この身体の人限にんげんのことは覚えてないと言っていた。だがさっきの、良い意味でも悪い意味でも運命という言葉といい、多分覚えてはいるのだろう。僕はこの時既に、彼女がいわゆる僕にとっての、ラスボスにでもなりそうな気がしていた。

「えっと、ひとまずのところ、払えば僕達が非人限だってことは黙っておいてくれるってことで、二人とも良いのかな?」

「オレは、まぁくれるってんならもらっとくけど」

「私の方は傭兵としてのフレンド料もお忘れなく」

「へいへい」

贅沢は言えない。これも菓凜のためだ。

「にいにー!」

お花畑の中で菓凜が手を振っている。守りたい、この笑顔。

「……おい、あれって!」

菓凜の後ろの方から、何か巨大なものがこちらへ飛んできているのが見えた。

株富種(かぶとむしゅ)、ですね。」

その姿を見たものは億万長者になれると噂の非人限種。異世界には手のひらサイズの株富種がいると聞いたことがあるが、こっちのは家一軒分くらいはある。

「にいにー!」

菓凜も株富種に気づいて戻ってきた。そして僕の後ろに隠れてくれた。守らねば、この女神。

「全員、戦闘準備!」

僕の声と共に縁梨と蕾夢と菓凜が胸のネクタイを勢いよく外す。すると縁梨のネクタイはハンマーのような武器に、蕾夢のネクタイは弓矢のような武器に、そして菓凜のネクタイはステッキのような武器に変化した。僕も同じように外すと、槍のような武器に変化した。ちなみに僕の武器と菓凜の武器はおそろいで、槍にも鎌にも杖にもなる万能武器だ。

「旦那はランス、お嬢はオレと同じビショップだったのか」

「なんだそりゃ?」

「いずれ隊育(たいいく)の授業で習うと思いますが、スタイルは現在ランス、ビショップ、ナイト、ルークの四種類があります。私は物理的遠距離派なのでルークですが」

「近距離派が旦那しかいないな」

話についていけない、ついていく気もないけど。何にせよ倒せる気がしない。というか。

「倒す必要はあるのか?」

「依頼内容が監視、だからな。というか戦ってこのお花畑を荒らす方がむしろヤバいんじゃ……」

「そう言えばこの畑の花、全部が麻痺眼華(まひがんばな)だな」

「ん、そういえばそうだな」

麻痺眼華。普段は赤白黄色とカラフルだが、とある呪文を唱えるとたちまち蒼い閃光を放ちあらゆる生物の目を潰すと言われている。そして僕は、その呪文を知っていた。

「死体である魔身依まみいには効かないからね、一つこの呪文で追い払ってみようか」

「オレ達には効果抜群なんだが!」

「だったら目をつぶればいいだろ」

縁梨が慌ててハンマーをネクタイに戻していると、菓凜が蕾夢に声をかけながら目を隠し始めた。

「蕾夢も一緒に! いないいなーい……」

「……わかりました」

傭兵も女神には勝てまい。そう言えば蕾夢も、見た目は菓凜くらい幼いのでますますほほえましい。僕得。

「そろそろ株富種も到着しそうなので、やるよ」

三人とも目を隠した。菓凜は魔身依だからその必要はないのだが、菓凛は正義。

「くらえ株富種……!」

僕はなるべく遠くの麻痺眼華にも届くように、大きな声で告げた。

目眼(めがん)!」

赤白黄色、色とりどりだった麻痺眼華は途端に真っ青に染まり、続けて強烈な閃光を放ち始めた。

「ギギィィィィィィ!」

株富種は一目散に逃げていった。しばらくすると麻痺眼華は発光を止め、何事もなかったかのように元のカラフルなお花畑へと戻った。

「やったぁ! にいにの勝ちー!」

これが、僕達の最初の授業だった。




菓凜「かりんの武器ね? にいにとおそろいなの!」

咲玄「……くっかわ。菓凜ちゃんマジくっかりん」

縁梨「オレともスタイルはビショップでおそろいだな!」

菓凜「ほんと!? おそろーい!」

咲玄「お前なんぞに菓凜はやらん!」

縁梨「オレ女だからな?!」

菓凜「次回、らむねの家でホームパーティーnow☆ かりんも戦う! 最後まで!」

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