第2話 かりんのSchool lifeスタートに候☆ 起
奴隷「BAD生徒?! ざくろ☆ランス、前回の出来事!」
朱桃「父親の行方を追って先輩と菓凜は、人限の勇者育成学校に入学したのだった!」
奴隷「……それだけ?! 他にも色々あっただろ、例えばオレらとか! オレらとか!!」
朱桃「どうなる第2話!」
奴隷「無視かよ! てかお前誰だよ!」
「菓凜、瞬間移動頼む!」
戦門学校初日。曇り空の下、僕と菓凜は戦門学校から少し離れたところに瞬間移動した。少し離れたところにしたのはこの時間帯、学校の周囲は登校中の生徒で溢れていると思ったからである。人限などとぶつかりたくはない。あと制服着た菓凜かわいい。
「にいに、何あれ!」
振り返ると、戦門学校のものであろう校舎が複数見えた。その中でまず目についたのは、空一面の雲に先が隠れるほどの、千階くらいありそうな謎の校舎だった。
「人限達は一体何を目指しているんだ……」
他にもわけのわからない校舎のようなものがたくさん見える。さながら遊園地のようだ。
「にいに早く行こー! かりん、あのコーヒーカップみたいなのに乗りたい!」
菓凜は戦門学校の敷地内にある巨大なお茶碗を指差して飛び跳ねている。あれは何に使うのだろう。待ちきれずに菓凜が校舎の方に走り出すと、十字路で誰かとぶつかった。
「え」
十字路で誰かとぶつかった。……これは、まずい。菓凜は一応、羅宗の手回しで転入生ということになっているはずだ。転入生と曲がり角でぶつかるとか、菓凜が意識しなくとも相手は意識するに決まってる。菓凜かわいいし。これで相手が心身ともに超美男子だったら致命的だ。そうだ、まずはカッコいいかどうかの確認を……
「ったく、どこ見て歩いてんのよ……」
慌てて駆け寄ると、菓凜と一緒に体操服姿の人限の女子が尻餅をついていた。体操服には「火野朱桃」と書かれている。二人ともケガはないようだ。
「ごめんなさい……」
菓凜が立ち上がって頭を下げた。
「えっ、あ、べ、別にいいわよ……!」
すぐさま謝られて拍子抜けしたのか、人限の女子はそそくさと走って去っていった。流石菓凜。ちなみに僕のことは気づいていなかったようだ。……別に気づかれなくったっていいし。
「あの人も、学生さんかな?」
「多分。自主練で走ってるんだろう」
僕は人限の女子の後ろ姿に見覚えがあった。いや、これは僕ではなく、依代の人限の記憶か。
「……」
あの人限が依代の人限のことを覚えていると、そこから魔身依であることがバレる可能性もある。いずれにしても、早く手は打つべきかもしれない。
「にいにー!早くー!」
僕は菓凜に続いて、戦門学校の敷地内へと足を踏み入れた。
教員に連れられて教室へと入る。教室の一番後ろの席に、制服に着替えたさっきの人限の女子が座っていた。同じクラスってわけか。僕の方を見て驚いている。
「嘘……!」
やはり覚えていたか。そしてさっきは本当に気づいていなかったわけか。……別に影薄くたっていいし。とはいえ、今すぐ何かしてくるわけではなさそうだ。ひとまず今は気づいてないふりをして、あとで何とかしよう。それよりも今重要なのは。
「お前は……!」
さっきの人限の女子の前の席に、制服姿のいつかの奴隷が座っていた。
「あの時の……!」
入学早々、僕は全面戦争を覚悟する羽目になった。
奴隷「次回、どうなるかりんのSchool life!」
朱桃「一旦退場からの再登場早すぎない?」
奴隷「自分の出番が少ないからすねてんのか」
朱桃「わ、悪い?!」