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精霊殺しの学園生活  作者: はる
第2章 調査
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遭遇

 アリスたちは封印を解いた後、セントラルの中に入って調査をしていた。しかし、ファフニールが封印されていた場所は正確にはわかっていなかった。

 早くも調査に飽き始めていたアレクシアが声を上げる。


 「あー! 退屈!」


 アレクシアが叫ぶのも無理はない。なにしろアリスたちが調査を開始して、手がかりどころか精霊の一体にも遭遇していない。


 「あー! 手がかりなんていいから精霊でも来い! なんでもいいからストレス発散したい!」


 「”水神”! 不謹慎ですよ!」


 アレクシアの叫びに注意するシェリル。しかし、アリスに二人のやりとりは全く気にせずに別のことを考えていた。


 (……おかしい。こんなに長時間セントラルに侵入して精霊に会わないなんて……)


 アリスが思っている通り、セントラルで精霊に遭遇しないのはおかしい。なぜなら、セントラルが普段、閉鎖されているのは危険な精霊がたくさん生息するからだ。この世界エデンではギルドがあり、冒険者のランクも低い方からFからAランクまで存在する。そして、最高位に位置するのがSランクであり、このランクは人外レベルの冒険者がなることができる。エルフリーデも冒険者ではないが、Sランクの称号が与えられる。だから、実質Aランクが一般の人間が到達できる最高ランクである。そんな中でも、セントラルに入るにはAランク以上が条件である。Bランクでも十分一流なのだが、そんな彼らでさえ入れない場所であるのだ。言い換えればAランクでも死ぬ確率は高いのだ。しかし、今のところ精霊に全く遭遇していない。


 (本当に人為的なものなのか? 俺たちでもここの精霊を複数体倒すのに苦労するのに。もしできるやつがいたら……)


 大変なことになるのは明らかであった。最低でもここにいる精霊以上は実力があるということになるわけなのだから。


 突然、何かを思い出したかのように、アレクシアはアリスに声をかける。


 「そういえば。アリスって今日は仮面を付けてないの? もしかして忘れちゃったとか?」


 アレクシアがおちょくってくるように言うが、実際に忘れたわけではない。


 「違うわよ。今回の事件は人間が犯人だって言われているでしょ? だからあえて顔をさらしているの。そうすれば、相手も何か行動を起こすかも知れないでしょ?」


 「ふーん。ちゃんと考えているんだ」


 「誰でもあなたよりは考えているわ」


 「なんですと!?」


 アレクシアはアリスの言葉に不満を持ったが、シェリルもアリスと同意見だったのか否定せずに頷いていた。


 「……しっ! 静かに」


 アリスは何かの気配を感じ取り、アレクシアたちに声をかける。しかし、二人は何も気配を感じなかったので不思議に思った。

 アレクシアたちが魔力を感じられないのも無理はない。クロノスの吸収の能力を使っているアリスでさえ、微かにしか魔力を感じ取れないのだ。ということは、その存在までの距離はかなりあるはずなのだがアリスは油断しなかった。いくら距離が空いていてもセントラルの精霊に対して油断すれば命はないからだ。


 「……近づくわよ」


 しかし、アリスに逃げるという選択肢はなかった。やっと手がかりが見つかるかも知れないのだ。そんなチャンスを逃すアリスではない。


 アリスの言葉にアレクシアたちも無言で頷き、アリスが感じ取った存在の元へ向かった。






 しばらく歩いてアリスたちは、その存在の元へたどり着いた。しかし、アリスたちには後悔しかなかった。


 「……ねえ? あれって麒麟よね?」


 「はい。そうだと思います……」


 アレクシアは間違いであってほしいと願っていたが、シェリルの言葉で否定される。アリスもこの状況が理解できずに黙り込んでいる。それは目の前の存在によってだ。


 麒麟――セントラルの守り神の象徴の精霊である。それと同時に伝説の存在でもある。サウスにもその伝説が残されていたが、その姿を見た者はいなかった。目の前の麒麟は身体を金色と緑色に輝く鱗で覆われていて、さらに頭と尻尾からは金毛が生えており、頭からは一本の青く光り輝く角が神々しく輝いている。そして、その全身を雷が包み込んでいた。


 そして、冷静になったアリスがアレクシアたちに確認を取る。


 「……撤退するわよ」


 「ええ。そうしましょ」


 「はい。あれはさすがに無理です」


 アレクシアたちは考えるまでもなく撤退を選択した。


 いくらアリスたちが”エルフリーデ”だとしても麒麟は別だ。王級精霊と契約しているアリスでも勝てるかわからない。それは麒麟や四神がもつ特別な能力があるからだ。


 アリスたちは麒麟にばれないようにゆっくりと去ろうとするがそれは叶わなかった。


 パキッ


 どうしてだろうか。アレクシアが足下の枝を踏んでしまったのだ。その音に反応して麒麟がこちらに顔を向ける。


 「「「……」」」


 「……」


 見つめ合う三人と一匹? この空気を打ち破るために、アリスが声を出そうとすると――


 ”汝ら、何をしに来た”


 「「「……っ!?」」」


 アリスたちは麒麟が話せることに驚いた。サウスの守り神である朱雀は話すことができない。

 精霊が話せるか話せないかは知能による。話せるということはそれだけの知能があり、戦闘でも思考しながら戦うので対処しづらい。


 ”……もしや、封印を解き放った輩か”


 思いがけない言葉にアリスたちが驚愕する。


 「……っ! いや、私たちは!」


 ”戯言たわごとはいい! 汝らは我がここで始末する!”


 アリスは慌てて否定するが麒麟は聞く耳を持たない。麒麟との戦闘は避けることができそうになかった。


 「……仕方ないわ。”水神”、”女神”。麒麟を倒すわよ」


 「はあ、仕方ない。結局こうなるのね……」


 「はい、わかりました!」


 原因はアレクシアなのだが、ここに来ようといったのはアリスだった。自分にも責任を感じていたためにアレクシアを責めることができなかった。


 「じゃあ、やるわよ!」


 「「了解!」」


 「”クロノス! メーティス”!」


 現れた〈闇を貫く王剣ヴォーパルソード〉と〈光を滅する王剣クラウ・ソラス〉を握りしめ、アリスは魔法を放った。


 「”ソウルイーター”!」

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