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精霊殺しの学園生活  作者: はる
第2章 調査
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プロローグ

 魔法大会の騒動から1ヶ月、アリスは学園長室へ向かっていた。それは、しばらく学園を休むということを伝えに行くためだ。しかし、学園を休むだけなら担任のミーナに連絡を入れればいい話だ。ではなぜわざわざ学園長室へ行くのか。それはアルベルトからの任務だからだ。学園長のエルザは”元エルフリーデ”の人間であった。先日の集会でも事が大きいことがわかり、”現エルフリーデ”のメンバーだけではなく、”元エルフリーデ”のメンバーも集められたのだ。そして後日どうするか決まったので、エルザに伝えるために学園長室へ向かっている。

 学園長室の前に着き、アリスはドアをノックした。


 「すいません。1年のアリス・ロードです」


 するとドアが勝手に開いた。アリスがそのまま部屋に入るとエルザが椅子に座っていた。そしてアリスはエルザに報告をする。


 「国の方針が決まったので報告します」


 「うむ」


 エルザは答える。エルザは相変わらず小学生のような見た目をしている。


 (これだったらアシュリーさんの方が……)


 アリスがそう思った瞬間、後ろから冷気を感じた。アリスがゆっくりと振り返るとそこにはエルザの契約精霊であるフェンリルがいた。その巨体は余裕でアリスの身長を超える。フェンリルは幻獣精霊に分類される。幻獣精霊とは、王級精霊には及ばないが上級精霊以上の力を持つ精霊のことだ。ちなみに幻獣精霊と同等のレベルの精霊が竜精霊であり、副会長のミュアが契約している。

 エルザは鋭い目つきでアリスを見据える。


 「……何か失礼なこと考えませんでしたか?」


 「……いえ。全く考えておりません……」


 「……そうですか」


 エルザは少し納得していないようだがフェンリルを自分の元へ移動させた。フェンリルはエルザの隣で座り込んだ。エルザはそんなフェンリルの頭を撫でる。するとフェンリルはうれしそうに小さな声で吠えた。


 (怖え……。女って人の心が読めるのか……)


 アリスは恐怖を覚えた。普段の生活でもリーゼロッテやティリカに心を見透かされている気がするのだ。


 (クロノス、メーティス。女って人の心読めるのか?)


 (わからない。だって女の子の姿をしているだけで女じゃないから)


 (同じく)


 二人ともわからないようだった。


 (あんまり考えないようにしないとな)


 そう思いながら、フェンリルの頭を撫で続けているエルザに今日の本題を伝える。


 「”氷王”。これからエルフリーデはセントラルに調査をしにいく」


 アリスはエルザが現役時代の名で呼ぶ。敬語も使わなくなったので学生のアリスではなく、”エルフリーデ”のアリスに切り替えたのであろう。しかし、声はアリスのままだ。男の姿でアリアを演じるのは恥ずかしいのだろう。

 エルザはフェンリルを撫でるのを止め、真剣な声で尋ねる。


 「……セントラルに行くの?」


 「ああ。メンバーは俺と”水神”と”女神”の三人で行く。ファフニールが封印されていた場所まで行く予定だ」


 「あなたたち三人で大丈夫なの? いっそのことあなたと”不死鳥”で行った方がいいんじゃないの?」


 エルザはアリスの実力を知っているようだ。しかし、アリスはさらに重大なことを話す。


 「それはできない。敵がサウスに侵入してきている可能性がある。そんな中、エルフリーデ最強を外に出すのは危険らしい。それに俺は回復魔法を使えないのに対して”不死鳥”は使える。その事を考えると、調査に行くのは俺が適任ということになった」


 アリスは今回の主旨を伝える。


 「だからもし敵が来たら、あなたにも対処してもらいたい」


 アリスは真剣な面持ちでエルザに頼みこむ。


 (……この歳で国を背負う度胸があるなんて。どんな生活をしてきたの?)


 エルザが思うのも無理はない。アリスは学園に入学したばかりの生徒なのだ。そんな子が国を背負っている。これがどんなに過酷なことか……


 (よっぽどつらい過去を経験したのかしらね?)


 エルザが”エルフリーデ”になったのも昔、大切な人を失ったからだ。アリスも同様に大切な人を失ったと考えた。


 「……わかったわ。学園は私が守るわ。だからあなたも無事で帰ってきて」


 「誰にものを言っている。俺の二つ名を知っているだろう? ならセントラルに行くのに俺以上の適任はいない」


 アリスは自信満々に言った。エルザもアリスの戦い方を知っている。アリスの得意な敵もわかっているのだろう。

 自信満々な様子のアリスにエルザはため息をついた。


 「わかったわ。安心して早く行きなさい!」


 「……行くのは明日からですけど?」


 「はあっ!?」


 エルザが大きな声をあげる。


 (この人、ほんとに”エルフリーデ”だったのか?)


 アリスは疑問に思った。そして翌日、アリスたちはセントラルへ向かった。

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