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精霊殺しの学園生活  作者: はる
第1章 始まり
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救出

 「よっと!」


 アリスは軽々とリーゼロッテを持ち上げ、ファフニールから遠ざかる。


 (危なかったな……もう少し遅かったら……)


 考えるだけでもゾッとする。間に合ってよかったとアリスは安堵の表情を見せる。


 (しかし、ファフニール相手に立ち向かうとはな。命知らずだが、よくやった)


 正直、リーゼロッテがファフニールと正面から戦ったことに呆れていたが、それで時間を稼げたことも確かだ。

 それに、聡明なリーゼロッテがわざわざ相手の実力を見誤るはずがない。それこそ、時間稼ぎにと思っての行動であったのであろう。そう考えれば、リーゼロッテの行動は十分に成果があったといえるだろう。


 (全く、このお姫様のどこにそんな勇気があるんだろうな)


 馬鹿な行動だ。しかし、リーゼロッテの行動がなければ、ファフニールは生徒を狙ったかも知れない。そのことを考えると、自分を犠牲にしてまで他人を守ったことには好感が持てる。しかし――


 (王族がそう易々と死のうとするんじゃない。お前は国の未来でもあるのだから)


 例え、他人を守れたとしても自分が死んでしまったら意味がない。これはアリス自身の考えだ。さらに一般的な視点から言えば、王族の血を引くものが他人のためだとはいえ、そう易々と自分を犠牲にしてはならない。もし自分が犠牲になれば、その隙を他国に付け入られるかもしれない。そうなれば、国全体の人々を危険に巻き込むことになってしまう。流石のアリスでもそのことは理解していた。


 「大丈夫ですか、リーゼロッテ様?」


 「えっ? あっ、はい! 大丈夫です!」


 突然アリスに話しかけられたことにより、リーゼロッテは慌てて返事をする。余程、死を覚悟していたのかとアリスは同情していたが、実際はリーゼロッテがアリスに見惚れていただけなのだが。


 (大丈夫そうだな……)


 ある程度ファフニールから離れたところでアリスはリーゼロッテを降ろす。それと同時にリーゼロッテを心配していたリンが駆け寄ってきた。


 「リーゼロッテ!」


 「先ぱ――」


 「もうっ、心配したんだから!」


 リンは目に涙を浮かべながら、リーゼロッテに抱きついた。リーゼロッテは思いっきりリンの胸に埋まって、苦しそうにリンの身体を叩いている。


 「あっ、ごめん。リーゼロッテ」


 「――ぷはぁっ! はぁはぁ……全く、心配したからってやり過ぎですよ」


 「ごめんね、とても心配したから……」


 「いや、私の方こそ先輩に心配をかけさせてしまいましたし……」


 「リーゼロッテ……」


 「先輩……」


 二人はそのまま無言でお互いを見つめ合っていた。


 (しかし、美少女二人が並ぶと絵になるなぁ……うちエルフリーデの女は馬鹿アレクシア適当エルシアロリシェリルだしなぁ……いわゆるこれは百合というものではないのか?)


 アリスはこの場にふさわしくないふざけたことを考えていたが、アリスにとってファフニールごとき・・・・・・・・・、敵ではなかった。


 しかし、見つめ合っている時間が長い。仮にもファフニールがいて危険な状況なのだが。


 「……そろそろいいかしら?」


 「「はっ!」」


 アリスの言葉によって、ようやく意識を戻してくれたようだ。


 「とりあえず、アイツの相手をするから離れていてくれる?」


 「でも、あなた一人で?」


 リンは不安そうにアリスを見る。それもそうだろう。先ほど学生とはいえ、自分は優秀な方だとリンは自覚していた。もう一人のリーゼロッテも学生の生徒を圧倒できるほどの実力を見せていた。しかし、ファフニール相手には手も足も出なかったのだ。さすがの”エルフリーデ”の人間といえど、一人でファフニールを相手できるとは思わなかった。


 「ええ、そうよ」


 さも当然のごとく、アリスは肯定する。まして慢心などではなく、当然だといわんばかりに。


 「心配しなくても”アレごときファフニール”に不覚は取らないわ」


 「アレごときって……」

 

 リンはファフニールをアレごとき呼ばわりするアリスに呆れていた。それほどの自信はどこから来るのかと……実力はあるのだろうが。


 「まあ、すぐに終わらせるから下がってなさい」


 アリスは手の指をポキポキと鳴らしながら、ファフニールに視線を向ける。


 (ご丁寧に待ってくださって……急に現れた俺に警戒心を持っているのか? それだったら知能はあるのか。全く、人工精霊というのが勿体ないな)


 ファフニールは今もアリスに警戒心を表していた。全く怯えないアリスの様子を訝しそうに見ている。


 (準備はいいか、二人とも?)


 (もちろん! いつでもバッチリだよ!)


 (……準備万端)


 アリスの契約精霊たちもやる気満々のようだ。


 アリスは先ほどの適当な雰囲気を一変、気持ちを切り替える。


 (よし、ファフニール殲滅、開始)

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