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精霊殺しの学園生活  作者: はる
第1章 始まり
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アシュリー・ローズ

 決闘を無事に終えたアリスは翌日、学園に来ていた。しかし、アリスは朝から憂鬱であった。何故なら……


 「なあアリス! 昨日、オーレット家の長男に勝ったんだってな!」


 「すごーい! どうやって倒したの?」


 「そりゃあ、ぐーんとヒュンとスパッと!」


 「あんたには聞いてない!」


 朝からアリスの周りには生徒が集まっていた。


 (どうしてこうなった……)


 アリスは頭を抱えて、うなだれる。


 アリス自身は気づいていないが、学年上位の一人、グレンを倒したのだ。それも圧倒的に。さらに大抵の実力者はリーゼロッテのような王族だったり、ティリカやグレンのような貴族だったりする。しかし、アリスはランクが低く、平民である。ちなみにこの学園の8割は平民だったりする。だから生徒にとって、アリスは非常に絡みやすいのだ。


 「ねえ、アリス君? もしよかったら私に魔法教えてくれない?」


 「ああーー! ずるいぞ! なっ、アリス! 俺もいいだろ?」


 「ああーー! うるさい!」


 とうとうアリスも限界を迎え、声を上げた。






 朝から苦労しているアリスの様子をリーゼロッテたちは遠くから眺めていた。


 「全く、彼も大変ね」


 ティリカが哀れなものを見るような視線をアリスに向ける。


 「はは、いいじゃないか。俺だったら嬉しいぞ?」


 「どうしてよ?」


 「あれだけ女の子に囲まれたら嬉しいだろ!」


 ピクッ!


 レンの言葉にリーゼロッテの耳が反応する。


 「……ろくなことを考えないわね」


 「勝手に言ってろ。女の子に囲まれるのは男の夢だ! ハーレム! 一度は誰もが経験したいだろう……ああーー! アリスはモテていいなぁ!」


 ピクピクッ!


 またしてもリーゼロッテの耳が反応する。


 「……彼は嬉しそうじゃないけど?」


 「ふっ、あいつはモテすぎてわからないのだよ……鈍感系主人公かよ! そんなのは物語の中だけにしろ!」


 騒がしいレンにティリカは呆れ始めていた。


 「……」


 「どうしたのリーゼロッテ? さっきから震えているけど?」


 「え? だ、大丈夫。なんでもないよ」


 「そう?」


 ティリカは先ほどから様子がおかしいリーゼロッテを心配していた。しかし、リーゼロッテの内心は――


 (……アリスのばか……)


 ただの嫉妬であった……






 「アリス・ロード君はいますか?」


 アリスが生徒たちを相手にしていると、一人の女子生徒が訪れた。


 「ちょっと行ってくるわ」


 アリスは一言告げて教室から出て行く。内心、アリスは生徒たちから解放されたことに安堵していた。


 「ありがとうございました」


 「えっ? 私、何かした?」


 「いえ、こちらの話です」


 女子生徒は何故、感謝されたのか、わからずに首をかしげる。

 

 しばらく歩いて、その女子生徒と二人きりでなった時、アリスはずっと黙っていた口を開いた。


 「ところでなんの用ですか? アシュリー・ローズさん?」


 急に名前を呼ばれた女子生徒――アシュリーは驚いた様子を表した。


 「……ッ!? ……へえ、私の名前、知ってるんだ。ちなみにどこで知ったの?」


 「実は学園長と知り合いなんですよ」


 アリスはアシュリーを見ながら答える。


 アシュリーは学園長――エルザ・ローズの娘と言うだけあって、とても似ている。それこそ姉妹ではないかと疑うほどであった。しかし、残念な事に母親であるエルザよりもアシュリーの方が発達がよい……もっとも、アシュリーも平均以下なのだが。


 「……何か失礼なこと考えてない?」


 アリスは内心、ギクリとする。


 「……滅相もございません」


 アリスは、なんとか平常心を保とうとするが、アシュリーの視線はアリスを疑うように見ていた。


 「ふーん、まあいいわ」


 納得はしていないようだったが、アシュリーは諦めたようにアリスから視線を外す。その様子にアリスは胸をなで下ろした。

 

 (危なかった。なんでわかったんだ? ……これからは気をつけよう)


 そう心に誓うアリスであった。


 「ちなみに、なんで呼ばれたかわかる?」


 「あなたが生徒会のメンバーの時点で大体はわかっているつもりです」


 「あはは、そこまでばれちゃってるか。じゃあ、説明はいらないかな?」


 アシュリーはきびすを返し、再び前を向いて歩き出す。


 「まあ、生徒会長があなたのことが気になってるから大変だよ?」


 「生徒会長が……ですか」

 

 アリスはリンとは直接会ったことがなかったので、何故、気に入られているかがわからなかった。


 「そう、なんでかは知らないけどね……もしかしてナンパしたことがあるとか?」


 「ないですよ」


 「ほんとかな~。さっきも女の子に囲まれていましたけど?」

 

 アシュリーはニヤニヤしながら、アリスを下から覗き込む。


 「本当ですよ。あれは、たまたま決闘で勝ったから、あんなことになっているんですよ」


 「それが原因じゃないの?」


 アシュリーはふざけた態度を一変、真剣なものへと変える。


 「あの決闘のことは私も聞いたわ。相手がオーレット家の長男ってこともね。その子も1年の中では強い部類なのだけど、それをあなたは圧勝したのよ。どれだけ異常なことかわかる? まあ、私もやらかしたことがあるから強くは言えないけどね……」


 さっきまでの攻めの勢いはどうしたのだろうか。アシュリーは何かを思い出したと、ともに勢いをなくした。

 

 「私が生徒会に入っているのも昔、やらかしたことが原因なの。だからあなたも、もしかしたら生徒会に入れられるかもね……っと着いたわ。ここが生徒会室よ」


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