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9_散策を行う街ではネタだらけ

 八兵衛さんは、投げナイフを数十本と、短刀を二本ほど購入しました。曰く「単独、隠密、後ろからひと突き、とか口を押さえて首をかっさばくとか、しやすいのを選んだよ」とのこと「なにその暗殺者スタイル」突っ込んでいるのは二郎丸さんです。

 あと、追加で差し渡しが短い弓と、矢、スリングショットと、その弾にするベアリングっぽい金属球、その他暗器を中心に物色しています。「いやあ、いろいろあって目移りしちゃうな」「ツッコミませんよもう」


 そう言っていた、二郎丸さんは、刀を選びます。「数打ちだけど、値段が手頃だし、まあ、次までのつなぎならこのくらいで十分かな」2尺3寸、つまりは70㎝ほどの長さの刀と、もう一つは野外で便利に使うために、肉厚のナイフと鉈を購入します。一応、飛びどうくとして寸鉄を数本も選びました。


 続いて防具屋に案内されまして、あまり動きが阻害されないように革と謎樹脂の複合製品である、胸当やら、ブーツ、ガントレットなどを揃えます。

「いーなこれ」ニンジャスーツを手にとって、デザインに惚れ込んでいる八兵衛さんです。

「結構人気の商品でございますよ、ただ本職の方にはあまり売れないのですよね」防具ショップの女性定員が頰に手を当てて言います。

「そりゃまたなんで?」

「ニンジャ独特の特性が原因のですよ」サクラさんが、解説します。

「あ、オチが読めたんだが僕」二郎丸さんが、何かひらめいた表情になっています。

「ニンジャクラスのお方は、防具が薄ければ薄いほど硬く強くなる仕様ですので、最終的には、真っ裸で冒険をすることが多いのですよ」

「知ってた!やっぱりな!ていうか、それ、間違いだから!」

「ニンジャでなくて、忍者の方なら、防具の恩恵が受けられるんですけどもねぇ」店員さんが、ため息をついています。

「うーん」八兵衛さんが、悩んでいます。

「どうしたんですか?八兵衛さん、まじめな顔をして」サクラさんが訊ねます。

「いや、サクラさん。あなたの知り合いに若い女性のニンジャとかいませんかね」キリッとした表情でまじめに尋ねる八兵衛さんであります。

 そして、無言で、睡蓮さんに後頭部を叩かれる八兵衛さんでありました。


「この全身を覆う金属鎧というのになぜか惹かれるのですが?」茜ちゃんが、ディスプレイされているごっつい、キラキラと銀色に輝く鎧に指を触れながら言います。

「茜様は、『防具補正:金属鎧(重)』がありますからね、ただ、ご予算的にちょっと足りないですね。ミッションをこなして、貢献ポイントを貯めたら、購入を検討してみてはいかがですか?」サクラさんがいいます。

 少ししょんぼりしている茜ちゃんでありました。

「金属の全身鎧に身を包んで、巨大なメイスを振り回すわけですか」二郎丸さんがちょっと想像してみます。「ありかなしかで言うと、アリですね」何か結論を出します。

「全身金属鎧基金に出資してもいいなぁ」八兵衛さんも乗り気なので、結構早い段階で、金属鎧まみれな茜ちゃんが、爆誕するかもしれません。


 続いて、アウトドア店で、簡単な野外活動セットを購入します。

「基本、性能の良くて手頃な商品は開発済みですので、テントとか寝袋とか、灯りとか、野外調理器具とか、一通りありますよ」サクラさんが大きめのスポーツ用品店のような雰囲気の店を案内してくれます。

「基本最初の方は、日帰りかな?」二郎丸さんが言います。

「というか、一応このメンバーで一緒に行動するんだよな?冒険者ギルドでパーティ申請をしておいたし?」八兵衛さんが確認します。みなさん肯定の仕草をいたします。

「なら、テントは共通で使えばいいですね、男女兼用でいいでしょうか?」サクラさんが提案します。

「一応複数に分けてくれた方が嬉しい」睡蓮さんが言って、茜ちゃんが頷きます。

「そのあたりのことは、デリカシーはある方なんだぜ、俺は?」八兵衛さんが、一緒のテントでも問題ないんじゃないか?と反論します。

「信用できない。まあ、それでも、手を出してきたら、捥ぐ」「モグ!?」

「じゃあ、私と”丸”ように一つと、女性組3人用が一つかな?」

「義姉さん、当然のように僕とペアを組まないでください」

「チチクリアウナラカクリシテオクベキカ?」なんだか動揺して平坦な発音になっている睡蓮さんです。

「やりませんよ、そんなこと、僕だって、命が惜しいです」「「「??」」」

「あれ、俺は?」八兵衛さんがペアがいませんよ、とアピールします。

「野宿?」「酷いなそれ」


 結局、男用のテント、女用テントで二つ購入することになりました。

「”丸”、お尻は死守するように」

「ないから!」「ねーよ!」男二人魂からの叫びでした。


 灯りと、野外炊事セット、その他細々とした備品をそれなりに揃えた一行でした。

「ロープはいりますよね?」二郎丸さんが訊ねます。「そうね、覗きとか性犯罪とか犯したのを、吊るすのに必須よねー」睡蓮さん「はっはっは」乾いた笑いの八兵衛さんです。


「10フィート棒がある」シルフィさんが、指差します。

「隣には、11フィート棒もありますね」二郎丸さんが指摘します。

「どう違うんですか?」茜ちゃんが質問します。

「ええと、10フィート棒では調べられないところまで調べられます!これなら大丈夫、ええ、11フィート棒ならね!、とキャッチコピーが付いていますね」

「この棒は、こう、通路の先とかをつついて、罠とかないか調べるものです。材質は”飛騨高山の杉”ですかね。一本一本職人さんの手作りで伝統芸能の域とか。いや、まさかここで出会うとは、ある意味当然ですか」淡々とシルフィーサンが解説を行っていますね。

「メートル表記じゃないんだな」八兵衛さんがツッコミます。

「まあ、基本(商品名)ですから」サクラさんが纏めます。

 結局、11フィートの方を買いました。「買うんだ」睡蓮さんが呟きました。


 支払いを済ませます。

「そういえば、こういう従業員がいる店舗で貢献ポイント支払いをする時とか、誰にポイントを入れたことになるんですか?」二郎丸さんが、サクラさんに質問します。

「従業員を通して、店の所有者にポイントが流れる仕組みになってますよ。従業員の報酬はその後で、まとめて支払われますね。だいたい月単位で精算されます」

「へえ、なるほど、着服とかはできないようになっているのですね」

「まあ、オーナーが、持ち逃げする場合はありますが。こう無理な投資がたたって首が回らなくなったりして?」

「せちがない世の中ですね」


 一同はその後、魔法のお店にも顔を出します。

「ここには。魔法を覚えるスクロールとかが販売されていますが、基本お高いので初期予算では購入は難しいですね。後、差し迫っては、勇者様たちには、需要がないかもしれません」サクラさんが解説をします。

「それはなぜですか?」二郎丸さんが合いの手を入れます。

「なぜかというと、魔法に適正のある勇者さまは、レベルを上昇させた時に、自動的に自身の方向性にあった呪文の習得がなされるからです」

「便利です」茜ちゃんが驚いています。

「こちらの世界の住人もレベルとあげると魔術とか、特殊な行為を自動的に行ってくれる一連の行為とか、ええとまとめて、スキルとか言ってますが、それを習得することができるのです」

「へえ」

「術スキルとか、武芸スキルとか、言ったりしますね。勇者さまにも、すでにスキルが発生している方がおられると思いますので、後で、パーティ内で確認してみるとよろしいかと思います」

「そうですね、その辺りは、また夜にでも確認しましょう、でいいですかね?」二郎丸さんが、一行に、提案しています。みなさん頷いていますね。


「ええと、それじゃあ、なんでこんな魔法のお店とかあるんだ?」睡蓮さんが疑問を提示します。

「個人のリソースを消費せずに、スクロールを使いつぶすことで、魔法とかを発生することができるのですね。効果には、素質の差もあまり出ませんので、誰でも使いやすいですし。少々値段は張りますが、非常用に購入するパターンが多いですかね?」

「なるほど」

「後は、自分では覚えにくい系統の魔法とかを習得したりするのにも便利ですね」

「へえ、じゃあ、魔法を全種類コンプリートとかできるんだ」二郎丸さんが訊ねます。

「習得数とかは、クラスとか、レベルとかステータスに依存するので、なかなか全種類とかは難しいですかね?でも、スペルカードとかを全種類コンプリートする、みたいにコレクターズアイテムとみなして、収集している方もいますよ?」

「なんか、嫌な予感がするな、この話の流れ」二郎丸さんが、ツッコミ待ちに入りました。

「遊びごころをくすぐるために、数枚を中身が分からないようにパッケージングしたりする販売方法が最近の主流でしょうか?レアリティをつけて、くじ的要素をつけて。パックを開けて一喜一憂する冒険者の皆様とか、各魔法ショップの風物詩になっていますね」

「それ、知ってる!というか、そっちのカルチャーもフォローしてるのかよ!」ツッコミです。

「まあ、どうしても欲しいカードがあれば、店が開けたパックからシングルカードとして売り出していますから、それを購入すればいいですね。後、冒険者どうし交換するのももちろんありですよ?」

「そのまんまやないかーい!」

「最近は、冒険に使用しないで、カードを独自のルールで束にして、対戦ゲームを楽しむ、本末転倒な方々も」

「いや、もともとそういうものだから!一周回って戻ってきてるなおい!」

「販売元が利益を出そうとして、有益なカードのレアリティがだだあがりで、基本ボックスで購入しないと役に立たないので、初期投資には向かないのですよね」

「そういう意味だったんですね最初の購入には向かないって、それより、誰だよ販売元って」

「スポンサーは神様です、神殿と、魔法使い組合が協賛していますね」

「これも幼女神あのバカのせいか!予想はしてたけど、酷いな!」

「貢献ポイントを大きく消費させるために、公式大会で、ゲームに使用出来るカードには期限が切ってあったりします、だいたい2年でメインのフォーマットが変わりますね」

「その辺も流用してるのかい!いや、実際に魔術カードとして使用出来るから、本家よりはマシなのか?」

「最近新規ユーザーが増えにくいのが、悩みだそうです」

「だろうね!」


「たまに意味がよく分からないボケとツッコミの展開があるよなぁ、あの二人」八兵衛さんが、ちょっとサクラさんと二郎丸さんより離れて言います。

「そうだね」「うん」同じく、離れていく、睡蓮さんと、茜ちゃんが同意しています。


「試しに一パック買ってみる」シルフィさんが、ワゴンセールのようになっている、パック群の中から、擦り切れてよく表記が見えないパック選んで買いました。

 ペリリと、ビニールによく似た感触のパッケージを開けます。


「何か、骸骨?が3体、どこかへ向かっている?立ち尽くしている?絵が描いてある、ええと呪文の名前は、『時間・歩く』ですかね?」

 そのうち、異様な雰囲気を醸しだすカードを見出す、シルフィさんです。


「一発で、”力の九つ”を引くとか、どんなラック値ですか」絶句しているサクラさんです。

「何でそんなパックが混ざってたんだ?」同じく絶句しているショップ店員さんです。


「義姉さん、こう、もう少し手加減してあげてください」「ごめん、油断した」「でもまあ、グッジョブです」「そう?なら良かった」


 一行は灰になった店員と、目の色を変えて、ワゴンをあさりだしたお客さんを横目に、魔法のお店を後にしたのでありました。



 いろいろありましたが、街での施設は一通り案内されましたので、一行は住居に戻ってきました。

「それでは、私は帰りますので、また明日に。予定どうりに、今度は簡単なミッションを一緒にやってみましょう」と言ってサクラさんは一行から別れました。


 軽く食べ物とかを持ち寄って、夕食をしながら、二郎丸、シルフィペアのお部屋にみなさん集合いたします。一番広いので。

「はい、では、第一回、パーティ会議ですね」二郎丸さんの司会進行で始まるようです。

「あ、そっちのポテトとってくださいませんか?」「あ、結局買ったのね?」「飲み物ある?というか、ペットボトルっぽいものもあるんだな」「完全分解できるエコ物質性、らしいですよ?」「コップ持ってくる?」「キャンプ用品のがあるな、確か?」「まだ足りない雑貨とか多いなこれ」「少しずつ揃えていきましょう、えへへ、なんだか楽しみです」

「えーとまずは食べてからにしましょうか」そうそうに開始を諦めた二郎丸君でした。


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