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19_大変だ世界の危機だ!またですか?

「この世界(バッファリア)が滅ぶって、こう尋常でないくらい物騒な話題をぶっこんで来やがりましたでありますね、シルフィさま」口調がおかしくなているサクラさんです。

「ええと?それはマジか?マジな話だよなぁ、どうしようか、シルフィさん?」八兵衛さんもちょっと慌てています。

「大変です!どうしましょう!お姉さま」

「短い夢だったなぁ」黄昏ているのは睡蓮さんです。

「言った私が言うのもなんですが、皆様結構あっさり信じてしまってますね?」少し引き気味にシルフィさんが言います。

「まあ、擬似的とはいえ、世界を一つ即興で作り出して、魂と世界システムに干渉するような人外性能を見せつけて、おまけに美人で可愛いくて強いとくれば、説得力の破壊力はメガトン級ではあるでしょうね」二郎丸さんが肩をすくめて言います「というか、そこまでやばそうなのですか?この世界?」

「人外といわれたのは憤慨ものですが、美人で可愛いくて可憐で優美と褒めてくれましたので、お仕置きは後回しにします(「そこまでは言ってなかったような」「後でするんだ」)。思ったよりシステムの基礎がガタガタなんですよ。先ほどのたとえで言うと、布の質が悪いといえばいいですかね?こう偽ブランドの品質というか、ぱっと見には、いい布なんですけど、使っているうちにほころびとか、色落ちとかが気になるような?」

「そんなことがわかるんですか?」

「神様独自の技能とかは持っていないんで、まさしく勘なのですけど」

「ああ、なら確定ですね、シルフィ義姉さんの勘は、外れません。特に悪いことに関しては120パーセントあたります」

「なぜ100パーセントを越えるのです?」「一度危機が発生した後に、続けて2割くらいの確率でもう一回危機が訪れるからです」「それ120パーセントというんでしょうか?」


「ええとつまりこの世界は根幹が磨耗しているので近日中にお亡くなりになる、つまりは、寿命が近いということでしょうか?」サクラさんが質問します。

「いえ、さすがに品質が劣るとはいえ世界を形成する布ですから、まあ、それでも1000年単位では持ちます」

「え、じゃあなんでなのですか?」

「逆に言うと、1000年単位でしか持たない”布”で世界が作られているのがそもそもおかしいわけですよ。その顔はよくわかっていませんね?例えば、”日本”世界ですと、だいたいそこに住むものの主観的な時間の流れですでに、130億年とか経過していることになっているんです。”日本”世界の”人”が活躍する時間に限っても、20万年は経過しているんですね、変でしょう?短すぎます」

「あ、確かにそうだな」八兵衛さんが納得します。

「そのあたりからも、感じるんですけどもね、滅びることが前提で作られたようなこう手応えがあるんですよ。この世界は」


「それはつまりどういうことなんでしょうか?なぜに滅びるのですか世界は」

「滅びる原因も、まあ、うっすらとわかります。そして、滅びをもたらすんじゃないかなと、予想できる存在も、知っています。簡単に言うと、壊しにくるのは削除とか滅亡とかを司る神様、破壊神さまのカテゴリーでしょうね」

「なんですと!それはまたなんでなんですか!は、まさかあのどうしようもない幼女神様(あんちくしょう)のせいですか!あれがまた何かやらかしたんですか!」神に仕える巫女さんが暴走しているようです。

「落ち着いてください、確かにある意味、幼女神様のせいではありますが、主犯ではないでしょうね?というかそこまでの知能はないような気がしますよ?」ひどい言われようですね、幼女神様。


「結局何が起きているのかわからないのですが?」茜ちゃんが話しを戻します。

「具体的には”勘”だからね、明言は避けておきます。一応何が起こってもいいように、一同のレベルを上げておきましたし」

「ああなるほど、急いだ理由はそれだったんですね」二郎丸さんがポンと手を打って納得します。

「いえ別に、最小労力で最大効果が望める状況が目の前にあったので、思わずやってしまった、という面もありますが」「そうなんだ!」


「前提が私の”勘”でしかないので、若干心もとないかもしれないが、対策は練ってある」

「先ほどから、”勘”と言ってますが、ええとシルフィ様は、どんなところからこの世界の危機を察知されたんですか?何か具体的に気になったことでもあったのです?」サクラさんが質問します。

「そうですね、まず始まりは勇者召喚のシステムですか」

「そこからですか!」

「むしろそれが根幹にありそうですが、そもそも召喚は幼女神様の気まぐれな人助けであった、と説明されていましたが、それがそもそもおかしいんですね。なぜなら、条件付けをして世界を超えて、対応する個人を特定する、これは結構かなり高度な技術がいるものなんですよ。神様レベルが高くないとできないですね、また労力もそれなりにかかります、コストが高いわけです」

「そうなんですか?」

「そうです。まあ、”日本”世界に限っているのでいくらか軽減はできるでしょうが、それでも大きく分けても数万とかの世界軸があるわけですし、どのくらいに網を張ったのかは知りませんが、感触ではかなりの数をフォローしているようです」

「確かに、ちょっとずつ違う”日本”世界の勇者様がやってきていましたが?」

「そしてこの勇者召喚、そこそこの偽装で隠匿性を増しているんですね。しかも、一度召喚すると、その痕跡を隠すために幼女神様が裏で工作をするほどの念の入れようです」

「え、召喚後世界から幼女神様が離れるのは邪神様を刺激しないようにするためではなかったんですか?」驚くサクラさんです。「それもあるでしょうけど、召喚の痕跡そのものを隠そうとしていた動きが、ログから読み取れますね」「何処のログ読んでるんですか!」「神域?ですかね?」


「まるで、何者かにこの行為、勇者召喚の儀式が発覚しないような動きではないか?と思ったわけです」さらりと続けるシルフィさんです。

「ええと、邪神さま側を刺激しないように隠蔽していたんじゃないですか?」サクラさんが言いますが。「少なくとも今回は違うような気がします」「?」


「なぜならば、勇者と一緒に魔王も召喚されているからです」シルフィさんが軽く調子でいうと、その場の雰囲気が固まります。


 いつの間にやら、茜ちゃんと、八兵衛さん、睡蓮さんがちょっと間合いを計って、構えています。

「え?、あれ?」サクラさんはおろおろしています。

「うん、まあ、落ち着けって」二郎丸さんは泰然としているままです。ちょっとは間合いを外していますが。

「いつから気がついていましたか?お姉さま?」茜ちゃんがちょっと無邪気な笑みで語りかけます。

「そうだぜ?人が悪いなぁ」八兵衛さんは離脱の準備をしているようです。

「全くだ、というか、お前らもそうだったのか?」睡蓮さんは、少しびっくりしているようです、意外に魔王が多くて驚いているのでしょうね。


「いつからか?というと結構最初からですかね?召喚される時、”丸”に相乗りさせてもらう上で、少々召喚する術式を覗いたみましたから、今回勇者(ちょっと笑う)は”丸”だけのはずでしたからね」

「巻き込まれじゃなくて相乗りだったんですか!?というか器用なことを!」サクラさん、少しずれたところで驚いています。

「なのに、転移先にはあと3名いたわけです。それでちょっと観察をしてみました」

「ボロが出るようなことはしていなかったと思ったんだが?」八兵衛さんが首をひねります。

「一番わかりやすかったのは八兵衛さんですね、転移直後、異常にお腹が空いていませんでしたか?その時、体の傷を治す時にカロリーを持って行かれたようなことを言っていたでしょう?しかし、勇者転移の術式だとそれはありえないですよ、まったくの健康状態にして、疲労とか負荷を0にするように設定されていましたから」

「あー、食欲が仇になったか」

「睡蓮さんは、視力ですね。本来はそれも治るんですよ?あの術式だと」

「うわ、それは損した気分だ!」


「ちょっとわかりにくかったのは、茜ちゃんですね。けれど、ことあるごとに獲物を狙うような目で私を見ていたので、警戒はしていたのです!ちょっと身に危険を感じるくらいの気持ち悪い視線で、疑惑を深めました」ビシッとシルフィさんは茜ちゃんを指差します。

 茜ちゃん、指差されたまま表情が固まります、こう笑顔のままで。

 そのまま涙が一つながれたりもします。

「あれ?」シルフィさん、乙女の涙を見て硬直します。


「あーシルフィ義姉さん?多分、茜ちゃんの。それは恋慕の視線とか、恋する乙女の視線だったんじゃないかなぁと」二郎丸さんがフォローを入れます。

「え?女の子同士ですよ?あれ肉食獣の目でしたよ?」あたふたして弁明するシルフィさんです。

「世の中には、いろいろな人がいるんですよ、義姉さん」ちょっと疲れたようなセリフを吐く二郎丸さんです。

「またですかー!だから恋愛が絡むとシナリオが面倒くさいんです!」逆ギレするシルフィさんです。

「あんた、ハジメさんともそれやったろぉ!」盛大に突っ込む二郎丸くんです。


「ええと?じゃあ、茜ちゃんは魔王ではないんですか?」

「いえ、魔王ですよ。正確には、異世界から拉致されて、魔王に仕立て上げられそうになった、元魔王ですが」気をとりなおして答えるシルフィさんです。


「元?」サクラさんが呟きます。

「そうですよ、確認ですが、八兵衛さん、睡蓮さん、えと茜ちゃん、今、理不尽な使命感とか、秩序を守る存在を壊滅すべしとか、人民を恐怖に陥れなくては、とか、復讐に燃える魂やら、そのための力への渇望していこう、とか、とにかく強い相手と戦いたいとか、かゆうま、とか、魔王っぽい思考が、心の中に残っていますかね?」

「最後の”かゆうま”はよくわからないが、そうだな、そういう気持ちは無いな?どうしたんだろうか?友に裏切られて、世界の全てを憎らしく思ったあの熱いどろっとした気持ちが、無くなっているような?」

「そうだね。あの嫌な男の記憶とかはあるけど、まあ、それで世界を滅ぼすほどのことはなかったね、なんで、こう思考が硬直していたのか?」

「私もそうです、お姉様。薄情な身内なんて、もうどうでもいいです!今私を突き動かしているのは、お姉様へ愛のみです」嬉しそうな表情で、若干間合いを詰める茜ちゃんです。


「ええとどういうことでしょう?」

「急激なレベルアップをフォローしていた時に、ちょっと魂をですね」

「やっぱり!触ってはいけないところをいじって、いいように洗脳したのですね!」恐怖の表情を浮かべるサクラさんです。

「人聞きの悪い、カオスサイドの邪神様が先に、魂というか記憶やら印象やらを含めて、彼らの心に細工をしていたんです。私はそれを初期化したにすぎませんよ」ちょっとムッとしたサクラさんです。

「そうなんですか?」

「ええそうですよ、その証拠に、サクラさんは、まだ、私にそのような、批判的な態度を取れるでしょう?完全に支配するなら、そのあたり根こそぎ調整しますよ、こう盲信してもらうとか?」にっこりと笑う。

「ううう、笑顔が怖いです、というか、そんなことされなくてよかったです」

「(今からでもできますけど、まあ、内緒にしたほうが彼女の精神衛生上よろしいでしょうね)」

「何か言いましたか?」

「いえ別に?」




「さて、ではまあ、落ち着いたところで、3人は邪神様に何か行動指針とか伝えられてましたか?」

「ええとですね、お姉様、私は勇者にくっついて行って、レベルを適度にあげておいたのち、隙あらば勇者を亡き者にして、元の世界に帰還するように言われました」

「俺も、まあ大体同じだな、ただ、他に魔王がいるとは言われなかったが。これ、下手したら、カオスサイドで同士討ちとか普通にありそうだったな」

「そうだね、私も似た感じかな?ニュアンス的には結構急いで帰ったほうがいいようには言われたけれど?」


「おおう、結構周り敵だらけで危なかったんだなぁ」二郎丸さんが呟きます。

「不意打ちとか夜討とか、修行になりそうだったんですけどね」シルフィさんが答えます。

「やめてください、普通に死んでしまいます」

「?」「いやそこで心底不思議そうな顔をしないていただけますか?」


「ええと、事態が大体つかめたような、さらに混沌としてきたような?結局世界の危機はどうするのでしょうか?」

「そうですね、ではまずは、レベルが上がった後の戦力を把握して、やれることとパーティの連携を確認してみましょうかね?大丈夫ですよ、1日もあれば終わりますから」

「これからですか?」

「大丈夫です、ステータス的には、その気になれば不眠不休で一月単位の行動が可能ですから」


 みなさんちょっと嫌そうな顔になりました。


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