テロリストやってみました!No.1
「キーコンーカンーコン」
4時限目が終わり、昼食の時間になった。今日はゴールデンウィーク明けということで午前授業だった。
千紘は昼食も食べずに寮に戻った。本来の午前授業なら、学食で昼食をとってから寮に帰るのだが、ひま部の活動があるため寮に向かった。
下駄箱で靴を履き替えていると、美久がいた。
「よー美久。ホームルームどうだった。美久の担任話長い人じゃなかったっけ?」
「朝ぶりだね千紘くん。そーなんだよ~話長くて眠くなっちゃたよ。」
「ドンマイ…てか今日なんでこんなに早く集合なの?」
「うんー。多分面倒くさい案件もってきたんだと思うよ。」
美久は苦笑いをしながら言葉をにごした。
そのまま二人は一緒に下校した。
寮に着いてリビングに行くと、すでに全員そろっていた。自分たちの席に二人はそれぞれ座った。
「そろったな。じゃあ朝に言ってた案件の内容を説明するぞ~」
龍はそういうと1枚の依頼書を取り出した。依頼内容は
「5月10日に学警のイベントがあります。イベント内容は人質をとったテロリストが建物にたてこもり、それを私たちが無力化する。こんな感じのイベントなんですが、テロリスト役がいないんです。なのでひま部のみなさんにお願いできないでしょうか?だそうだ。」
「「できません」」
龍が読み終わった瞬間に千紘と美久が即答した。
「残念~もう返事しました~」
悪そうな顔をして二人に言った。その顔を見た時、二人はものすごく嫌な予感がした。
そんな会話を聞き流しながら、咲は話を変えた。
「部長~がっけい~?てなんですか?」
「咲、学警知らないのか~学警ってのはようは捨て駒、パシリ、飾りだ。」
「あんたは後輩に何教えてんだよ!!言葉の意味全く違うじゃん!!!どんだけ便利なんだよ学警!!!!?」
「ホントに千紘はいいツッコミいれてくるよな~素晴らしいよ~お前を部活にいれてよかった~うるるる…」
目薬をさして、古典的な演技をしながら言った。
「思ってもないこと言ってくれてありがとうございます!てかそんな言い方だと俺ツッコミのためだけに入れたみたいなんですけど~」
頭に怒りマークをうかべながら皮肉まじりに言った。そんな千紘をみながら龍は笑った。
「まぁまぁいいじゃんそーゆうことで~」
「もういいですよ。はぁ~」
千紘が珍しくすぐにツッコミをやめたのに、龍はびっくりしていた。千紘が今回の活動の話を聞きたいのだとわかったので、話の続きをはじめた。
「学警ってのは学生予備警察のことだ。ほら、この町、8割は学生だろう~」
「そうなるとささいな事で事件が起こるのよ。本当にくだらないし、面倒くさいわ。」
何かに苛立ちながら冷ややかな声で真希が答えた。
「今真希が言ったように、事件数自体が多くなるんだ。それで大人の人数が足りないから、自分たちでなんとかしよ~ってことで、できたのが学警ってわけ~」
「だから学生が簡単な事件を解決するために学警があるんですね。」
咲は理解をしたことを示すために補足をした。
「で、実際はどのくらいの力を持ってるんですか?」
目を輝かせながら言った。その目はまるでなにかを企んでいるようだった。
「まぁ警察といっても所詮は学生だから、スタンガンぐらいじゃね?」
「な~んだ~。銃は持てないんですね。入るのやーめた!」
「あぶねーこと考えてるんじゃねーよ。だいたい学警は咲が入れるようなとこじゃねーよ~特に今回依頼があった特殊部隊はな~」
「今回の依頼特殊部隊からだったんですか!!?絶対嫌ですよ!」
いきなり美久が立ちあがり、ハトが豆鉄砲をくらった様に驚いていた。
「テロリストっていってんだから特殊部隊に決まってるだろ~」
「絶対危ないですよ!特殊部隊って軍人並の実力者じゃないですか!!やられるだけなら他の人でもいいじゃないですか~うう~」
半泣きになりながら必死に反対した。
「え?やられるなんて誰が言ったんだ?勝ちにいくに決まってるじゃん!」