第2話: 初めて
タキと付き合い始めてから、高校に行くことがとても楽しくなっている私がいた。
行けば、タキに会える。 それだけで、重かった足が、ちょっとは軽くなってる気がした。
毎日、自分のお弁当と姉のお弁当を作り、それにプラスしてタキの大きいお弁当を作る。 そんな日常が、私にとって、幸せだった。
朝、タキの教室まで行って、「ほい」ってタキに渡す。 「おー、サンキュー」それが私たちの日常。
タキが、下校時に私の教室に来て、「ほい」って空のお弁当箱を返してくれる。「うまかったー!」って。 で、「おー!」って、私は親指を立てる。 それが日常。
そのまま、タキのバイト先まで一緒に行って、私は終わるまで待ってる。
田舎のゲーセンだから、オーナーも私を知ってくれて、そこに居ることを許してくれてた。
その後、タキの家に寄って、テレビを観たり、お互いの共通の好きなアーティストの音楽を聴いたりDVDを観たり。
で、私の門限を守るために、駅までタキがバイクで送ってくれる、っていうのが、毎日のスタイルになっていた。
毎日、タキといることが、私にとって幸せだった。
お互い、思春期を過ぎて、性に対しても興味はあったけど、どちらともなく、それに関しては何も触れずに時だけ過ぎて行ったんだ。
でも、ある日、なんとなく、いつものようにタキの部屋にいるとき、ふとそういう雰囲気になって、タキが私の顔の前まで来て、唇を重ねたんだ。
そのまま、私たちは、自然に抱き合い、ベッドの上にいた。 そして・・・初めて二人が重なり合ったんだ。
それは、私にとって初めてのことだったし、タキは、そうじゃなかったみたいだけど、でも、そんなことどうでもいいことだった。
恥ずかしかったけど、すごく幸せだった。 タキが、他人なのに、他人とは思えなくなっている自分がそこにいた。
「大丈夫? 痛くない?」
そう、普段のタキでは考えられないような優しい言葉をかけてくれて、私はちょっと驚いたけど、
「うん、なんか変だけど。」意思とはうらはらに、涙が出ていて、それをぬぐいながら答えていた。
その涙は、感動の涙・・・と言いたところだけど、本当に痛くて出た涙だったみたい。
その日を境に、タキとは当たり前のように体を重ねて、当たり前のように一緒にいた。 どんなときも、傍にいるのはタキだった。
若い二人は、お洒落なホテルができたらしいよ!って聞くと、二人でそこに行って遊びに行くように楽しんで、休日海に行っては楽しんで、映画に行ったり、とにかく、いっつも一緒にいたんだ。 タキなしでは有り得ない私になっていた。
もう、タキとずうっと一緒にいるんだよね?
そう、疑いもなく、思っていたんだ。