絶滅動物園
ティラノサウルス、サーベルタイガー、ドードー、マンモス、アンモナイト。
数々の地球上からは姿を消していった有名な動物たち。彼らの生きている姿を見たくはないだろうか?
当『絶滅動物園』では、百にも上る一度は絶滅してしまった動物たちが現代に蘇り、生きていた時代の姿のままを見せています。
どうやって、こんなことが可能にできたのか? それは、最新のバイオテクノロジーの成果にあります。
生き物の細胞にはDNAと呼ばれる設計図が書き込まれているのはご存じですね。
最近の発掘技術の進歩によって、太古の生物の僅かな死骸の欠片からその生物のDNAの情報が抽出できるようになったのです。
この採取できたDNA情報を元に、既存のDNA情報が似た生物にクローニング技術の応用で目的の生物を産ませるのです。
この絶滅動物を現代に復活させるためのプロジェクト。随分と昔から発足してはいたのですが、技術的問題よりもクローニングに対する当時の道徳的観点からの反発があって進行が難航しました。
しかし、それも我々の弛まぬ説得が実を結んでGOサインをもらい、ここまで漕ぎつけることができたのです。
皆さん是非奮ってのご来場を。園に居るのは、どれも他では見ることのできない有名な珍獣ばかり。子供の頃に図鑑でしか見られなかった存在が、生きて動いている状態で見ることができます。
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――七年後。
絶滅動物園では、閑古鳥が鳴いている。
開園当初の、人がひしめき合って賑わってことなど微塵も感じられなくなっていた。
なぜこうなったのかって? 簡単なことだ。
結局、園内にいた彼らは現代に復活しようと、絶滅した動物たちだったのだから。
地球で生まれた命には、地球でしか生きられる権利がないように、今を生きる権利は今を生きる命にしかないのかなと思ってみたり。