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「第一話 大勇者の誕生」-8

カレン 十五歳

黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。

[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。

オイキャス 十五歳

黒髪、黒目の主人公。

[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。

シオノ

カレンの推し。

[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。

 息を切らしながらも川と並走し花咲く森の道なき道を歩き続ける。

 カレンは右手の中指をこすり違和感を覚える。

 オイキャス(いわ)く川に沿って歩いていれば目的地にたどり着くという。

 歩く、少し休憩、を繰り返す。カレンは小休憩(しょうきゅうけい)に水を取るだけで、ほとんど疲れを感じなかった。

 二人はかたを激しく動かしながら呼吸していた、疲れが色濃く出ていた。

 カレンはシオノの顔を見ただけで元気が出た。


 一時間ぐらい歩き続け、影を作るぐらい大きい木の近くで休憩する。

 今向かっているのは世界の中央にある巨大な樹、『記憶(きおく)()』だ。そこには魔王を倒すべく多くの勇者候補が集まる冒険者ギルドがある。

 カレンは『記憶の樹』は世界のどこからでも見えるものだったと思い出し空を見上げるが全く見つからなかったため二人に聞いてみることにした。

「樹って確かどこからでも見えるんじゃなかったっけ?」

「樹って?『記憶の樹』の事か?!」

 驚くオイキャス。

「うん」

「何言ってんだ?樹はここからじゃ遠すぎて見えるわけないだろ」

「え?」

「え?ってなんだよ……」

 オイキャスは呆れた表情をしてシオノの方を向き、

「ほら言ったろ?シオノ。今日カレン変だって」

「そ、そうだね。樹はここからだと最低二月(ふたつき)はかかると思うし、まず見ることはできないよ」

 シオノは常識のように説明をした。

「え?」

 カレンは驚くが今までマンガ通りの設定が適応されてきたわけでは無かったので脳が自動修正したのかと受け入れることにした。すなわち目的地はまた別の場所になる。

 疲れをとるために三人とも黙ったまましばらく座っていた。

 シオノが立ち上がり、

「ごめん、行ってくるね」と言い草むらの中に消えてしまった。

 カレンは()()しついていこうとするも、倫理観(りんりかん)が働きやめることにした。

「シオノの奴ああいうこと多いよな?」

「ああいう事って、トイレ?」

 トイレが近いという推しの珍情報(ちんじょうほう)を手にしたと思ったがどうやら違った。

「トイレか知らないけど、一人で抜け出す状況が多いって話」

「そうなんだ」

「いや、そうなんだよ……。そうだった、今日のカレンは変だった」

 知らない話でも合わせないとそろそろ突っ込みが面倒くさいと思うカレン。

 シオノが五分ほどで戻ってきて再び歩き始めた。

 カレンはどんどんとペースを上げるも徐々にそれについていけなくなる二人。気が付いたカレンは二人に合わせるようにした。


 ペースを合わせて歩くようになりしばらくしてカレンは一瞬立ち止まりオイキャスの方に駆け寄り耳打ちをする。

「(トイレしたいんだけどどうすればいい?)」

 小声で伝える。

「おしっこしたいのか?」

 うんうんと首を振るカレン。

「そんなのいつもみたいにその辺ですればいいじゃん」

 カレンは絶句(ぜっく)する。推しの前でトイレはできない、そもそも外ですることすら女であるカレンからするとあり得なかった。この世界の倫理観に嫌気がさす。

 シオノも察し休憩を取る事になる。

 カレンはあたりを見渡し(かげ)(かく)れられそうなところを探す。妥協して問題がなさそうな場所を見つけたため移動していると背後から影が一つついてきた。

「おい、なんでついて来てんだ?」

「いや、襲われないように、危ないから。昨日そういう取り決めした」

「オッケー、もうわかった。二人で決めた今までの約束はなかったことにしてくれ」

「……結婚のこともか?」

「……」

 無言になるカレンは長い時間考える。結果、

「その話はまた今度考えさせて」

 後回しにした。

 オイキャスは素直に「分かった」と言い、続けて「危ないと思ったり、何かあったら呼べよ!」と忠告(ちゅうこく)してこの場を離れていった。


 事を済ませ二人の元に戻るカレン。

「無事でよかった」

 少しほっとした表情と暗い表情が入り混じった顔をしたオイキャス。

 カレンも何かの遭遇(そうぐう)イベントがなくてよかった……、と思った。しかしその直後失敗したと後悔する。

 完全にフラグを建てた。

 そして間髪(かんぱつ)入れずに大きな音を立てながら何かが近づいてくる気配を感じ取る。

 即フラグ回収をしてしまった。

「ぐおうおうおうおうぉぉぉぉぉぉ」

 大きな鳴き声を出しながら近づいてきたのはグリズリーのような見た目の(けもの)でそこらに生えている木と同じかそれ以上の大きさだった。

読了ありがとうございます!

次回のお話も楽しみ待っていただけると嬉しいです

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誤字や脱字がありましたら指摘をしていただき次第、修正いたしますのでご助力いただけると幸いです

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