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「第一話 大勇者の誕生」‐6

カレン 十五歳

黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。

[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。

オイキャス 十五歳

黒髪、黒目の主人公。

[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。

シオノ

カレンの推し。

[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。

 そして(まぶ)しかった視界は突然ブラックアウトし夢から()め……、ることは無く眼前(がんぜん)にはカレンの推し──シオノがいた。

 カレンはオイキャスの背中にそそくさと(かく)れた。

「カレンちゃんはどうしちゃったの?」

 銀色の髪に白い()、きれいな白い肌の中性的(ちゅうせいてき)な顔立ちの少年──シオノはオイキャスにさわやかな笑顔で質問をする。

 名前を呼ばれただけではしゃぐカレン。

「今日ずっとこの調子なんだよ」

「そ、そうなんだ……」

 困った表情をした推しにカレンは少しばかりの喜びの感情を見せた。

「こりゃ駄目だ……」

 カレンはその場にぐったり倒れかけ、

「だ、大丈夫か!?」

 倒れたカレンを地面につかぬように支えるオイキャス。

「か、勝手に(さわ)るな……」

 オイキャスに触られるは受け付けないようだ。

「えぇぇ……」

 (ひざ)に手を置き無理矢理立ち上がった。

「暑さにやられただけだから大丈夫」

 暑さではなく推しの(とうと)さにやられた。

「それ、今から大丈夫じゃないんだけど……」

「カレンちゃん大丈夫?」

「うん!」

 大きな声で返事をしたカレンは一生分の元気をもらった。

「とりあえず大丈夫そうだから長老のところに行こうか。カレンちゃん無理しないでね」

「大丈夫!」

 言葉と共に親指を立てた。今日一番声が出ていた。


 長老はこの村の子守を一任している人物。

 ラエル村ではすべての子が魔王を倒すべく旅立つ。そして旅立った者達が身ごもったらここに帰ってくる。生まれた子を離乳するまで育てたら長老に子ども(あず)け再び旅に出る。これがこの村の風習(ふうしゅう)だ。

 たまに子どもがいないこの村の出身冒険者が帰郷(ききょう)し剣術や体術を指南(しなん)してくれることもある。三人はちょうど稽古を受けている子ども達が一生懸命に剣を振っているところを通り過ぎる。

 少しして長老の家に着いた。

 三人は不躾(ぶしつけ)に門をくぐり玄関の扉を開けず庭から縁側(えんがわ)のある方に向かった。この家は日本の古民家のような作りだった。

 ちょうど縁側に腰を下ろしゆっくりしている長老がいた。

「長老。オレ達だけど今大丈夫?」

「お?オイキャス達か、大丈夫だ」

「すまねぇな、ゆっくりしてる時に」

「構わん」

「出る前に挨拶をな」

「そっかぁ……。とうとう、そんな時期だもんな」

 感慨(かんがい)深いという表情の長老。

「昨日も話しただろ?」

「そうだが……、実際に出ていく日にならないとこっちとしては実感もわかねぇもんなんだよ」

「そんなものか?」

「あぁ」

 渋く、これぞおじいちゃんの声という印象だ。

「今まで本当にありがとう」

 オイキャスが今までのお礼をする。カレンとシオノも続き、

「「ありがとうございました」」

 カレンはお世話になったわけでは無いが推しを育ててくれたことを感謝にした。

「元気に立派に育ってくれて本当に良かった。それだけで一安心だ」

「オレ達が育ってもまだまだ子ども達はたくさんいるぞ」

「そんなことはわかっておる!それでも一安心なんだ……。お前さんたちは全員親がすぐいなくなっちまったからな……、しっかり育ってくれるか心配だった。特にオイキャスはやんちゃだったからのう」

「昨日もその話しただろ!」

「そうだったな」と笑いながら返す長老。

「シオノとカレン、オイキャスのことをしっかり頼んだぞ」

「分かっています」

 シオノは何かの覚悟が決まったように返事をする。

 カレンはどう反応すればいいか困ったが数年間社会人にもまれていた成果を発揮(はっき)するときが来た。

「もちろんです!」

 作りすぎた笑顔を振りまいた。

「オレは頼まれなくてもしっかりやっていけるけど?!」

 少しだけ笑いが起きる。

 やっていけてなかったぞ、と心の中で突っ込んだカレン。

「じゃあ、行ってくるよ!」

「おう、元気でな。気を付けるんだぞ」

「分かってる」

「たまには顔を出せよ」

「その暇がいらないぐらい速攻で魔王シバいてくるわ!」

 笑顔で威勢(いせい)よく言い放ったオイキャスはきびすを返して長老の家を出て行った。一度も振り返ることは無かった。

「期待している」

 決してオイキャスのみみに入らぬように長老は口にした。

 シオノも長老にもう一度挨拶をしてオイキャスについていった。

 カレンも家を出ようと長老に礼をしようとしたところで、

「あぁ、そうだカレン」と制止(せいし)される。

「なんですか?」

「お前の母親の話は本当にしなくていいか?」

 母親の話と言われてもカレンはよく分からなかったので。

「大丈夫です」とだけ返す。

「そうか、聞きたくなったらいつでもこい」

「分かりました」

 そしてカレンは一礼し長老の家を出た。

読了ありがとうございます!

次回のお話も楽しみ待っていただけると嬉しいです

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誤字や脱字がありましたら指摘をしていただき次第、修正いたしますのでご助力いただけると幸いです

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