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「第二話 忌み子、呪いは輪廻する」-9

カレン 十五歳

黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。

[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。

オイキャス 十五歳

黒髪、黒目の主人公。

[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。

シオノ

カレンの推し。

[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。

 カレンを乗せた車両は夜風を切るように疾走する。

 まるで独房のような造りの内装は、箱の中からは外が見えず唯一御者席側だけに格子がつけられていた。


 いや、うん。えーと。誘拐されたよね……。

 いや分かってる。けど、なんか、うん。

 状況が飲み込めない。

 色々起こりすぎね、なんなの??

 抵抗できないし、力は入らないし、手錠邪魔だし、めっちゃ揺らされるし。

 てか相当スピード出てるけど大丈夫?

 いや、まぁ誘拐ならその場からすぐ離れないといけないよね。

 どこ向ってんだろこれ?


「……」


 今もまだ声が全然でないし……。

 私が初めて体験する『スキル』は『声を出すことができない』なの……?

 この手錠もなんか細工されてるだろうし……。

 なんで急にこんなことに。

 ……急でもないか。

 私を取り巻く環境は、というよりも環境が勝手に私をどこかへ連れていく。

 どうしよう、そういえば。

 あの2人大丈夫かな……?

 確かにあの領主のもとへは行くつもりはないと決心したつもりだったけど……、夜逃げしたと思われるよね……。

 まずいか〜。

 この場合どうなるんだ?

 あ、だから誘拐?でも今関係あるのかな?

 この世界の人間説明しなさすぎ。

 なんなの、全く……。


 はぁ。


 カレンは心の中でため息を漏らし訳の分からぬままこの世界では体験したことのないほどの速度で駆け抜けていく。


 カレンの体感で二時間ぐらいだろうか、走り続けたオダナグラベルの引く車はとうとうスピードを落とし止まった。

 カレンは寝ようと思ったが体が強く揺らされるほどではないが睡眠に入れるほどの優しい揺れでもなかった。

 唯一、外を眺めることができる格子から顔を出しあたりを見るが月明かりでしか照らされていないく、どこかわからない森であることしか分からなかったが、近くに松明を持たない一人の人間と二匹のオダナグラベルが待機していた。

 御者の男とその人間が手慣れたようにハーネスを取り換え、カレンを乗せた車は何も言わずに再び出発した。


 補給用のオダナグラベル。

 計画されていたのは明白か……。

 ちゃんと待ってて偉いじゃん。

 まぁあれはルイ十六世が悪いか。あと、マリーアントワネットも……。

 そういえばあれだけ人がいたのになんで私一人しか乗ってないんだろだろ?


 カレンは再び、勢いをつけたオダナグラベルに連れていかれる。

 暗闇の無音の中にタイヤが回転する音やオダナグラベルの足音だけが耳に届く。


 あ、これ私の荷物か。


 カレンは載せられてあった自分の荷物、鞄をを邪魔な手錠をしたまま開ける。

 そこには当然ながら着替えがあり、また非常食の腐ったにおいがした。


 くっさ、ナニコレ……、非常食か、さすがにこの臭さはやばい……。

 服にこのにおいついたら使い物にならないよ……。


 わずかに入る月明かりに照らされながら鞄の中を漁っていると、銀色が反射する。


 これって……。私が着けてたネックレス。


 ネックレスを手に取り鞄から取り出すと……。


「……!」


「なんでこれが!」


 不意に大きな声を出してしまい意味もなく咄嗟に口を塞ぐようにする。

 格子から御者席を見るが御者の男は真剣に操縦をしてカレンの声は聞こえていないか、気にしていいない様子だった。

 『スキル』はすでに解除されていた。

 カレンが手にした銀のネックレスには指輪が掛けられていた。

 それは前々からわかっていた。

 しかしただの指輪ではなかった。

 この世界に来て持っていた違和感。

 いつしかなくなった違和感。

 そして自分の癖は治っていた。


 なんでこの指輪が……?


 声にした疑問はやはり消えず心の中で何度も思う。

 カレンが目にした指輪は前の世界にいた頃右手の中指に大事に着けていた指輪と同じ物だった。

 カレンは二十代後半に差し掛かりその指輪のサイズが合わなくなっていた。手がむくみ始め指輪が小さく感じるようになっていた。

 それを認めたくなく癖で右手の中指にはめていた指輪を触って動かし、いつでも外せると自分に言い聞かせていた。


 なんでこれがここに……。

 自分の身、というよりも感覚のみがこの世界へやってきたと思っていたけど……。

 全く同じものがこの世界にあったってこと?

 偶然?

 でも、文明が違いすぎて同じものを作れるとは思わないけど。

 てことは一緒に来たってこと?

 でも、これは指にはめられていなかった、ネックレスにつけられていた……。

 どういう事?


 疑問に思いながらもネックレスから指輪を外し右手の中指に着ける。

「ピッタリ……」

 カレンが発したように指輪は驚くほどなんの引っかかりもなく、だからと言ってゆるくもない。無理な力をいれずに、着けることも外すこともできるピッタリなサイズだった。

 不思議な感覚だった。

 まるで自分のために作られているようだった。


 う……。

 痛い。


 カレンはうずくまるように、胸を抑える。

 ここ数日感じている胸の痛みが再び来た……。


 しばらくして、その痛みは治った。

読了ありがとうございます!

次回のお話も楽しみ待っていただけると嬉しいです

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