「第二話 忌み子、呪いは輪廻する」-8
カレン 十五歳
黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。
[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。
オイキャス 十五歳
黒髪、黒目の主人公。
[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。
シオノ
カレンの推し。
[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。
「ヤーサカ!!!!」
伝統的な乾杯の音頭が取られ皆が木製のジョッキを交わす。
村に初めて来たときの閑散とした雰囲気からは想像のつかない盛り上がりようだった。
机には温かいスープや美味しそうなトリの肉、おつまみなどが並べられていた。
これはギルド本登録特典の一つ、ギルドの運営するレストランを時間指定はあるが無料で利用できるというものだ。
メニューはそれぞれのギルドに依存する。
ウェストンマルクのギルドではパンと野菜が中心で肉料理はない事が多い。
三人がここ三週間、移動の時食べていたパンもギルドから支給されているものを食べていた。
酒類に関しては、一日一杯までは種類に限らず無料だが、二杯以上飲む場合は別途料金がかかる。
しかし今日の宴の費用はギルドが持ってくれるとお姉さんから持ち掛けられた。
非公式ではあるがウミウ討伐を『公的クエスト』として処理をし、その報酬を宴の料金として扱ってくれるとのこと。
久しぶりの温かい食事と、うるさく楽しい飲みの場。カレン達は愉快な気分だった。
楽しい会が進む中、ある男が三人に質問をする、
「けっきょくよぉ、ヒック、どぉーやってぇ、ヒクッ、うみうし、を、たおしたん、だぁ??」
男は相当酒に酔い、呂律がまわっていなかった。
ただ質問の内容は皆が気になっていることだった。
領主からの問いでオイキャスは「答えられない」と言った。
誰が倒したのか、決定した事と、実際に起こった事が違うのはギルド中の皆が分かっている。
「りょうしゅさま、は、あぁ言ってた、ヒクッ、けど、どぉしても、おらぇ、このガキのおんな、がぁたおしたようには、おもえんでなぁ、ヒクッ」
酔っぱらいの男が言っていることは正しい、確かにカレンはウミウシを倒す事はできなかった、しかし言い方はとても乱暴だった。
「おい!カレンをバカにするな……!」
酒の席とは言え、言ってはいけない事、許容のできないことはある。酔っぱらいの男の発言はオイキャスにとって不愉快だった。
その様子を面白がってか、単純に疑問に思ってか、酔っぱらいの男はオイキャスに向かってさらに自分の意見を投げつける。
「あの、ひょろがり、のおっさんは、ヒック、たたかえそうだが、ヒクッ、ばりきはなさそうだ、ばりき、がなきゃ、ヒック、あのうみうしは、たおせねぇ、それに、おまえら、ヒクッ、おとこは、たよりなさすぎ、ヒック、る、ろんがいだ、かのうせいがあんのは、そこのでけぇ、ヒック、がきの、おんなだが、はきがかんじられない、覇気が」
酔っぱらいの男は急に真剣な眼差しになった。
「俺は、一回ギルドを、退会させられちまってな。もともとは、B-ランクでやってた、ある程度は、実力の見極めは、つく自負がある。カレンって、言ったか?、おめぇは、確かにつえぇと思う、けど、何かが、何かが足りない。持っていたものを、一度失ったように。何かが……。そんな奴らにウミウシみたいな、化け物を、倒せるわけがない……」
酒を一気に飲み干し、
「ま、おらぇ、は、もう、ヒック、ゆっくり、さけのみながら、やるけどな、ヒクッ」
言いたいことが言い終わったのかまた酔っぱらいのふりをして、飲み続ける男。
オイキャスは席を乗り出し……、
酔っぱらいの男の胸ぐらを掴む。
突如のオイキャスの行動にシオノもカレンも驚いていた。
血気盛んだが、誰かと喧嘩をするようなタイプではない。
「殴るか?殴って何になる?気持ちよくなりてぇのか?」
酔っぱらいの男はオイキャスの中を覗き込むように目を合わせる。
オイキャスはスイッチが入ったように、男を殴る。何が彼をそうさせたのか分からなかった。
カレンと他の連中がなんとか間に入り騒動を収めた……。
夜風を浴びに外に出る。
カレンはどこを見つめるでもなく、山を見つめたり、夜空を見つめたりした。
夜空はカレンの知っている星空とは違うがそれもそのはずで圧倒的に星の見える数が多い。
知っている星の配列もあったがそれを探すのにも苦労する。
あ、でも同じ配列あるのはなんでだろう?
……オイキャスの事ちゃんと叱らないと。
でも今日は彼にとって精神的にダメージが大きい日だったもんね。
「叱るのは今日じゃなくていいか~……」
体をグーっと伸ばす。
そういえばあの酔っぱらいの男、ウミウシの事を知ってた……。
私の事も何かを肌感でわかる感じだったし……。
何か私の事について聞きたかったけど……、あんなことになっちゃたから聞けるわけないか。
一番早いのはオイキャスに聞くことなんだけどね。
ん?あそこにいるのは……?
カレンの視界に見覚えのある者──身長が高く帽子をかぶりコートを羽織った、がいた。冒険者すべてを把握しているわけでは無いが、総じて動きにくそうな恰好の人間はいない。しかし宴が始まってすぐにギルドに突如入り、二階に行ったかと思えばすぐに出ていく者がいた。それが今カレンの視界に映る者だ。
夜風を浴びに来たがどうしてもその者のことが気になり、ちらちらと見てしまう。
こんなところで何してるんだろ?
そんなことを思っていると、渦中の者が近くに寄ってきて、
「やはり、我々のもとに来てくれるのですね?」
「はい?」
カレンは急に話しかけられたうえに脈絡のないことを言われ、何を言っているのかさっぱり分からなかった。
「大丈夫です、すでに荷物はこちらで回収しています。あぁー、安心してください……」
何を?
カレンは両腕を掴まれ、手錠をかけられた……。
「誘拐したことにするので、あなたには責任を負わせません」
カレンは状況が掴めず何も抵抗できずにその場に立ち尽くす。そうしていると周りに隠れていたのか、突如何人もの人間がやってきてカレンの事を担ぎ上げた。
「ちょ、なにして……」
「大きい声は出さないでください……」
そうか、とカレンは想い、大きい声を出そうとするが……。
「……!」
全く声が出なかった。
声が、出ない……どうして……。
それに、なんで、腕に全然力が入らない……。
「申し訳ありません。こんなことがあろうかと『スキル』持ちを連れてきました……」
カレンは必死に抵抗するが、何もできなかった。用意されていたであろう車のキャビンに丁寧に入れられる。
誘拐された……。
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