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「第二話 忌み子、呪いは輪廻する」-2

カレン 十五歳

黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。

[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。

オイキャス 十五歳

黒髪、黒目の主人公。

[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。

シオノ

カレンの推し。

[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。

 カレンは木灰が付いた顔を拭う。

 シオノがいないことを心配しつつも、なんとか無事に帰ってきたことに安心するカレンとは違い周りの人間はザクルが帰ってきていないことにてんやわんやだった。

 カレンは燃えて黒く変色した木々を見つめる。

 どっと疲れが来たのかその場に尻餅(しりもち)をドンと勢いよく下ろし座る。

 オイキャスの方を向くとまだめをつむっていた。

「オイキャス大丈夫?」

 体を揺らし、ほおを軽くたたいても未だに意識は戻らない。


 助けてあげたし、まだシオノ君の一件の借りを返してもらってないよね。


 という建前をつけ、カレンはオイキャスのほおに軽くパンチした。


「痛ッッッッ!!!!」


 飛び上がるように起きたオイキャス。カレンは両耳の穴を人差し指でふさいだ。

「……おはよう」

「おはよう……。今、殴った?」

「いいえ?」

「めっちゃほっぺ痛いんだけど?」

「知らないわ?」

「……本当か?」

「もしかしたら運ぶときにほおと肩が何回かぶつかったからかしらね?」

「……カレンがここまで運んでくれたのか?」

「えぇ」

「そっか……、ありがとう」

「別にいい」

「……火事になったところまでは記憶があるんだけど。……あぁ、そうか思い出した」

「そう」

 オイキャスは黒い森を見て立ち上がるが、カレンは服を引っ張って止める。

 木灰まみれの顔を見つめて、

「まだ、シオノ君が合流してないから。待って」

「……でも」

 いじける子どもを叱るようににらみつけるカレン。

「分かった……」

 今すぐにも大事なネックレスを取り戻したい気持ちはカレンも理解しているが今は合流が先という判断をした。

「今の私たちの状態で森に行っても無駄に時間を食うだけ」


「オイキャス!カレンちゃん、大丈夫?」


 カレン達を呼ぶ大きい声が森の方からした。

 綺麗な銀髪をなびかせた中性的な顔立ちの少年──シオノが走りながらこちらに来た。

 カレンは安堵のため息をもらす。

「こっちは大丈夫!シオノ君は?」

「ボクの方も大丈夫」


 よかった~、無事で……。

 本当に良かった……。

 はぁ、私の判断は間違ってなかった……。

 良かった、良かった……。


「シオノ……無事でよかった……」

「そっちもね」

「……逃げ遅れたのか?」

「森で迷子になっちゃって」

「そうか」

「そっちはすぐに逃げられた?」

「恥ずかしい話だが、カレンに助けてもらったんだ……」

「そっか、カレンちゃんも無事でよかった」

「うん……!」

「それにオイキャスの事もありがとう」

「ううん、シオノ君も無事でよかった!」


 いやぁー、きもちぃ……!

 最高かよ~!


 カレンはシオノに()められ有頂天(うちょうてん)だった。

 三人が互いの無事を安堵していると、ザクルが帰ってきた。しかしザクルは死地から帰ってきたとは思えないほど慌てていた。

「代表!無事でよかったです!」

 採掘ギルドや冒険者ギルド、村の人々と多くの者がザクルの無事に安心し周りに駆け寄った。

 心配をしたという声を一斉にかけるがやはりザクルの表情は暗かった。

 その表情を徐々に皆察していき、誰かが、

「どうしたんですか代表?表情が暗いですけど……」

「あ、あぁー、いや……」

 ザクルの返答のあやふやさに皆が疑問の表情を浮かべる。

 その様子に三人も、

「どうしたのかな?」

「さぁ?」

「変なものでも見いたんじゃない?」

 カレンは自分で発言したが、ザクルと一戦交えた事を思い出す。


 やべぇ、これ私の事話されたらまずいんじゃ?

 どうか、どうか私の事話されませんように……!


「ウミウシ様が……」


 一瞬の静寂(せいじゃく)が訪れる。

 ザクルは『ウミウシ』という言葉を口にした。

「なに!?それは本当か!?」

 白髪で腰の曲がった、杖の付いたおじいさんが割り込み慌てたようにザクルに聞き返した。

「あぁ、そうだ。『極木(きょくぼく)』が燃えちまって……」

「何だと!それはウミウシ様もお怒りじゃ!」

「……」

「まずいことになった……!」

「おい、じいよ……、どうする……?」

「ど、ど、どうしようかのう」

 老人は落ち着かず考え事をするように一定の場所をぐるぐると歩き始めた。

 周りは黙ってこの老人の指示を待つことしかできなかった。

「……すぐに領主様のところに行くのじゃ」

「いいのか?」

「か、かまわん……!」

「わ、わかった……」

 ザクルは急いで近くにあった車に乗り、(むち)を打ち走らせた。採掘ギルド代表の帰還に歓喜したのは束の間、再びざわざわとし始める。

 三人は聞こえた話を整理するように会話を始める。

「ウミウシ様ってなんだ?」

「知らないわよ……」


 原作にもそんなの一切出てこなかった……。

 全くこの世界はいったいどういう事なの?

 やっと一難去ったと思ったらまたもう一難。

 流石にもう疲れたわよ……。


「僕も知らない」

「だよなぁ……」

「あのおじいさんに聞いてみたらどうかな?」


 シオノ君!そんな事言わないでよ!

 もう面倒ごとはごめんよ……。


「そうだな!」

「俺もその話興味あるな……」

 聞き覚えのある軽い声だった。

「クゥチャラ……」

 もうこの流れは止まらないとカレンは悟った。

読了ありがとうございます!

次回のお話も楽しみ待っていただけると嬉しいです

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誤字や脱字がありましたら指摘をしていただき次第、修正いたしますのでご助力いただけると幸いです

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