「第一話 大勇者の誕生」-19
ようやく一話の方が書き終わりました
変則的で読みにくく申し訳ございません
どうしても設定上文字数が多くなってしまいました
今後は読みやすくなるように努力していきますでのぜひ応援の程お願いします!
カレン 十五歳
黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。
[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。
オイキャス 十五歳
黒髪、黒目の主人公。
[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。
シオノ
カレンの推し。
[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。
翌朝になりクゥチャラと目が合ったが首を振られ、駄目だという事が分かった。期待するなと自分に言い聞かせたつもりだったが、残念という感情が出たことに、期待していた自分がしっかりといることを確認し反省する。
いつもと変わらない作業量を強いられお昼の休憩時間に突入していた。
「悪い……、うまくいかなかった」
顔の前で両てを合わせたクゥチャラは本当に申し訳なさそうにしていた。
「いいえ、他人に頼った私達が悪かったのよ」
「あんなに大口叩いたのに申し訳ない、何もできなくて」
「それより、話しかけて大丈夫なの?」
「よくはねぇな、今日だけはとりあえず報告のためにな」
「そう」
「聞いてもらえるか?」
「そうね、聞かせてもらえる?」
「簡単に言うと、聞いても何も答えてくれなかったんだよ」
「何も答えてくれなかった?」
「そうだ。『あいつらの事だけは聞くな』ってそれまで上機嫌だったのに、急に怒り出したというか……、どっちかというと恐怖に近い感情だったな」
「恐怖……」
顎に手を当てカレンは考えるが何も関連性が見えてこない。
「協力してくれてありがとう」
頭を下げるカレン。
「何もできなかったけどな」
「そんなことは無い。何か困ったことがあったら言って、協力できないことの方が多いと思うけど……」
「いいや、さすがにあんたらに頼るわけにはいかない」
「……そう」
「悪いな俺の方は気軽に頼れとは言えない」
「一度協力してもらったからもう十分。気を付けてね」
「そう言ってくれると助かる……。無責任だけど頑張れよ!」
クゥチャラはそれだけ言って立ち去ってしまった。
カレンは作業をしながら頭を回す。
自分達の初日の態度が気にならなかったのか、ザクルの地雷に触れたかもしくは私怨と思っていたが、そんな簡単な話ではないのかもしれないとカレンは思った。
涼しさをのせた秋風が時間の経過を感じさせる、何年も続けている作業ではないが三週間という時間は確かに苦痛であった。新たにクエストに参加した者達がここを出ていくのを見ていた三人はもはや何も感じ無くなってきた。
いつも通り作業をしているとオイキャスが慌てた顔でカレンの元にやってきた。
「やばい、カレン……」
「どうしたの?」
「壊れちまった……」
オイキャスの手には壊れた陶磁器製のスコップがあった。
「……それは、……どうしようか?」
疲労しているカレンも、冷静に判断を下すことができなくなっていた。
「手でやる、とか?」
「作業はそれでいいけど……。壊れたことをあいつに知られたら……」
嫌な予感こそすぐに実現してしまうもので……。
「おい、オイキャス……、手に持っているそれはなんだ?」
最悪なタイミングで声を掛けてきた、声の主を分かってはいたがそれでも一縷の望みをかけて顔の向きを変える。しかし視界が捉えたのは一番見られてはいけない人物だった。望みは叶わず、自分達が窮地に立たされたことを理解する。
「……壊れた」
「おう、そうだな……。俺は壊れたらどうなるか言ったよな?」
にちゃぁとした下卑た笑みで、しかしどこか安心したように話すザクル。
「物が壊れるのは仕方ないでしょでしょ?」
「俺達は一年も同じものを使ってるが壊れてねぇ、お前らは入ってどのくらいだ?」
「私達に課してる作業量知らないの?」
「そんなの知らねぇな?お前らが仕事するのは当然のことだ」
「……!」
ザクルがカレンの腕を掴もうとうでをのばすと、オイキャスが割って入る。
「やるならオレをやれ」
「オイキャス……。いいって私が挑発したんだし」
「オレが壊したのが原因だから」
「そうだけど……」
「熱い友情だなぁ!」
嘲笑したようにザクルが言う。
今日はとことん運勢が悪かった。
オイキャスの首もとには銀色に光るネックレスがつけられていた。
普段、作業をするときは外し寝る時だけつけていたのだが、今日は外し忘れてしまった。
それを見つけたザクルは「なんだこれは?」と手でオイキャスの体を抑える。
「やめろ!」
オイキャスは必死に抵抗するがザクルは首からネックレスを引きちぎる。
ネックレスの下には指輪が掛けられていた。
「何するんだ!」
オイキャスの先ほどまでの態度とは一変した。
怒ったように暴れ必死にネックレスを取り返そうとしている。
しかしそれをザクルは簡単にあしらい、そして名案を思い付いたとばかりに面白がりながら提案をする。
「いいもん持ってるじゃねぇか……。よし、これをもらうから今回は許してやろう」
「そんなのいいわけないだろ!それは、それは……、大事なネックレスなんだ……!」
オイキャスにとって大事なネックレス、それをどうにか取り返してあげたいとカレンも思っているが今になって胸の痛みが突如表れ体が動かない。
立ち尽くすカレンは胸の痛みのせいか周りの音や視界がなぜか自分の体験している世界じゃないように、まるでマンガを見ているように意識が世界から遠のいている。
「やべぇぇぞぉぉぉぉ!!!!火事だぁぁぁぁ!!!!」
この大きい声はカレンの耳には届かなかった。否、はっきりと聞こえてはいたがその意味を理解できなかった。脳の映像には大きい木が燃えていることは見えた。しかしだからどうしようという考えには至らない。体が動かない、動かせない、動かそうとしない。
「チっ。なんだよ……。おい、ガキ助かったな……」
ザクルはオイキャスに向かってそう言い放つ。
オイキャスはネックレスのことを突然忘れてしまったように燃えている木に見惚れていた。
それを見たザクルは良いことを思いついたようにネックレスを木の切り株に押し付けもう片方の手で持っていたスコップを普段とは逆に持つ。
そして……持ち手の尻の部分を思いっきり指輪に叩きつけた。
「パリンッッッッ」 リングが割れた。
大きい音ではなかったが確かにカレンとオイキャスの耳には届いた。
「嘘でしょ……」
「……!」
オイキャスは指輪が割れているのを確認して、崩れ落ちていた。
カレンは映る光景が理解できなかった、不思議だった、現実ではないように感じた。
起きている事実は脳に送り込まれている。作業用のスコップが壊れたことも、大きい木が燃え火事が起きていることも、オイキャスの大切であろうネックレスが壊されリングも割れたことも。すべて理解できている、しかし全く何が起きているか分からなかった。
胸が裂けるように痛かった。
あれ?そういえば、なんで目の前にオイキャスがいるんだ?
あれ?なんで私こんなところで仕事してるんだっけ?
なんで?
どうして?
カレンの脳は今起きていると事、今日常として受け入れていることが不思議でならなかった。
今まで当たり前だったことに疑問を抱いた。なぜそのような思考に急に至ったか分からない。しかしカレンの中で何かが引っ掛かりかり始めた。
これって?もしかして……。い、いや、まさかね。
でも……、ないよね?うん、ないない。
でも……。
頭の中を整理する。
そしてカレンの目の前に霧のようなものが出てきた。
ちょうどゲームの説明テロップが出るように……。
「第一話 大勇者の誕生』終
「へ?」
そして新しい文字の羅列が出てきた。
『残り三話での打ち切り確率 10%』
「ぽぇ????」
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