表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/42

「第一話 大勇者の誕生」‐1

カレン 十五歳

黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。

[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。

オイキャス 十五歳

黒髪、黒目の主人公。

[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。

シオノ

カレンの推し。

[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。

『第一話 大勇者(だいゆうしゃ)誕生(たんじょう)

「え?」に続き「なにこれ」とつぶやいた()()困惑(こんわく)した表情でベッドに上体だけ起こして座っていた。

「えっと、確かこれ、『サイワル』の第一話のタイトルだ……」

 目の前に出てきた文字に少女は見覚えがあり、再びひとりごとを()いた。

 羅列(られつ)された文字は少女が理解し終えたことをまるで知っているかのように目の前から消えていった。

 少女は今起きた一瞬の出来事を加えた現在の自分の状況を(つか)めず何度も考えている。夢であるはずだ、と決めつけ思考の停止したが、直感でこれは夢ではないと(うった)える自分もいる。

 夢だとはっきり分かればどれだけ楽にすんだだろうか、と心の中でため息を()く。

 机やいす、キッチンなどはなく、あるのは寝るためのベッドとその近くにある(まど)代わり木の戸そしていくつかの本と本棚だけのシンプルなワンルーム。広さは十畳はある。

 少女は本棚に近づくためにベッドから起き上がり、立ち上がったことで少女──カレンは再び困惑する。

「目線高くない?」

 長くきれいな黒髪を(たずさ)え顔の印象は清楚な美人系の少女という言葉がよく似合う容姿とは裏腹にカレンの目線は(かかと)から170cm後半にあった。

 それとカレンの普段の体とは大きく異なる部分がもう一つ。

「胸重っっ」

 彼女は胸のサイズを聞かれた際「Bかな」と答えるほどAカップであることを不満に思っていたが今の彼女の胸は大きくそして重かった。

 起きたら違う体つきになっていた。

 いつもとの感覚のずれから少しの距離でも歩きにくさを感じたが、体は何故か(みょう)に軽く自分の体じゃないように感じ夢心地だった。

 本を手に取るが表紙は見たことのない字で、中をパラパラとてきとーに(めく)ってみるものの当然理解できるわけはなかったが、本に書いている文字に頭の中で引っかかるものを感じた。しかしそれが何に反応したか、記憶の引き出しをうまく()けることができなかったので特定することは(かな)わなかった。

 この家には本以外の現状把握(げんじょうはあく)のための有力な情報はなかった。

 ここはどこなのか、なぜ普段の自分の体つきとは違うのか、今はどういう状況か、など分からないことを上げればきりがない。本によって何かの糸口を掴めると思ったが読むことができなかった。

 しかしはっきりとしていることは何もしなければ結局疑問は消えないという事だ。

 何か手掛かりをつかむために外に出て散歩をすることにした。

 ドアを開けた世界はビルどころか家一軒すら()えていなかった。東京で仕事をしているカレンからすると新鮮(しんせん)な風景だった。

 アプローチを歩き石の(へい)から出る。目の前には左右に伸びる川がありそれに沿()うように手前に土を押し潰した道が引かれていた。道と川との間には不規則に木が()えている。カレンからすると見慣れない植生(しょくせい)の木だった。

 どちらに進むか悩んだが右の方向に進むことにした。

 景色はカレンにとって(いや)しだった。

 心地の良い気分であるいていたがすぐに道はなくなり森に入りそうになったので引き返すことにした。

 歩いていると(のど)(かわ)きが早いことに気付く。

 体感する気温事態はむしろ日本の方が暑いとさえ感じる程だったが湿度が低いようで暑さを感じない代わりに喉の潤いはすぐに(うば)われていく。

 目覚めた直後は夢かと思ったが今はそれに対して疑問を(いだ)いている。体の感じ取るいろいろな情報は、見ているものが夢ではないと思うには、カレンにとって十分な証拠だった。しかし夢を見ているだけという考えもどうしても間違っていないように感じ現状を現実として受け止めることもできない。

 先ほどまでカレンのいた家の近くに人影が一つ。

 カレンはおよそ50メートル()れたところからでもその人物が誰かを視認(しにん)することができ、大股で近づき二人の距離が十メートル近くになったところで少年は体の向きを変えたことでカレンに気付いた。

「いた!カレン、ど……」と少年は声を掛けるが……。

 カレンは右手を掲げめいっぱい力を込め少年のあたまに拳を叩きつける。身長差から自然な動作で叩いた。

「痛っっっっ!!!!」

 二人の右手とあたまからは今にも(けむり)()い上がりそうだった。

 少年は痛いという意思表示で声を上げ殴られたあたまをてで押さえしゃがんだ。

「何するんだよ!」

 殴られた少年──オイキャスは怒りを口にした。

読了ありがとうございます!

次回のお話も楽しみ待っていただけると嬉しいです

”X"(旧Twitter)にて設定や補足を公開予定ですのでぜひフォローの方をよろしくお願いします!


誤字や脱字がありましたら指摘をしていただき次第、修正いたしますのでご助力いただけると幸いです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ