「第一話 大勇者の誕生」-15
カレン 十五歳
黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。
[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。
オイキャス 十五歳
黒髪、黒目の主人公。
[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。
シオノ
カレンの推し。
[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。
ドリッターも御者席から降りてきた。
「ほい、これは冒険者ギルドから」
渡されたのは五つの紙。
そのうち三つは王都に帰る時に必要な書類、もう一つはここのギルドへの業務連絡書類、最後のは三人への伝言を書いたもの、とドリッターが説明してくれさらに「ギルドはあそこだ」とゆびを指し教えてくれた。
やはり立ち並ぶ民家とは違い冒険者ギルドは豪華だった。むしろ悪目立ちをしていた。
「悪いことは言わねぇ、きついと思ったらすぐに逃げろ……」
意味深に言葉を残し、
「じゃ、俺は用事あるから」
ドリッターはアームとハートに左手で鞭を打ち、車を走らせ、すぐに見えなくなってしまった。
すでに日は落ちオレンジの夕焼けが夜の帳を下ろす準備をしている。
三人はギルドに向かい歩く。
ドリッターからもらったギルドからの伝言をオイキャスが朗読する。
「『オイキャスパーティー一行の皆様。ギルドの登録ありがとうございます。皆様には今から粘土を採取するクエストを行ってもらいます。詳しい説明は冒険者ギルドウェストンマルク支部の係員にお聞きください。皆様の活躍心よりお祈り申し上げます。』だとよ」
紙を覗いたカレンは一部だけ文字で書かれ他の部分は印刷されているが分かった。
「粘土を集めるクエストだってよ」
「よくわからないからとりあえず冒険者ギルドに行こうか」
「そうだなぁー」
村を出て五日。ようやく目的地の王都でギルドの登録を済ませこれから波乱万丈な冒険者人生を送れると思った矢先、すぐに辺境地へ飛ばされ翌日は粘土集めをさせられる。想像していたものと違いカレン達は意気消沈していた。
その気持ちからかあるいは夜だからか、この場所がとてもどんよりしているように思った。閉塞感が漂うように感じた。
畑は枯れ、家が朽ちているように見える。そんな空気にのまれ三人の足取りは重く、長くないはずの距離にあったギルドにやっと着いたという感覚になる。
夜であれば冒険者たちが酒の入ったジョッキを交わしワイワイとしているイメージがあったが外にいるとそんな声は聞こえない。
扉を開けると、
「いらっしゃいませー!どのような要件ですか?」
茶髪のお姉さんが声を掛けた。少しだけ元気がないように見える。
王都のギルドとは異なる造りをしていた。正面に大きめのカウンターの受付があり隣には階段、いくつかの机と椅子が並べられ、壁に沿うようにに案内板があった。
冒険者は一人もいない。
「あ、あの王都から来て」とカレンはギルドへの連絡用の手紙を渡した。
「王都からですか!長旅お疲れ様です。少々お待ちください」
茶髪のお姉さんは手紙を開き、中を確認する。
「拝見しました。では明日の朝、クエストの内容についてお話しますのでお越しください」
また後回しかと思ったがどうでも良かった。
「あの、今日って泊まるところありますか?」
「ギルドの宿は一部屋のみ空いていますがそちらでよろしいですか?」
「はい」
「では、手続きをお願いします」
冒険者ギルド本登録特典の一つ、ギルド直営の宿に無料で泊まることができる。
「はい、ありがとうございます。ではお部屋の鍵はこちらです。どうぞごゆっくり」
礼をした茶髪のお姉さんから視線を外し受付脇の階段を上ろうとしたところで、
「あ、あのぅ……」と茶髪のお姉さんから遠慮がちに声を掛けられた。
「なんですかと?」と返すと、
「これの中身見ました?」
さっきカレンが渡した手紙を手に持って聞いてきた。
「いいえ」
「そうですか」
「何か?」
「いえ。なんでも」
「そうですか」
なぜ聞いてきたのか分からなかったが三人は今度こそ階段を上がり借りた部屋へ向かう。
人の気配がないのに空いている宿が一つという事に疑問に思ったカレン。
宿の部屋は簡素な造りでベッドが二つと軽く体を洗い流せるお風呂が一つ。
カレンはお風呂が気になりに手を入れたが暖かくなく、すでにぬるかった。
「私は床でいい」
カレンは壁に寄りかかりながら座った。
首に巻かれたネックレスを取り外し鞄に仕舞った。ネックレスには指輪のようなものがかけられているのを手で確認したが暗くてよく見えなかった。
移動で疲れているとはいえ二人は日中に寝てしまったため眠りにつくのに苦労していた。
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