「第一話 大勇者の誕生」-14
カレン 十五歳
黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。
[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。
オイキャス 十五歳
黒髪、黒目の主人公。
[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。
シオノ
カレンの推し。
[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。
「今日ぐらい休んでもよかったんじゃないか?」
オイキャスはまだ体力が回復していないから休みたいようだ。しかしカレンはお構いなしにギルド登録後にこなさなければならないクエストを消化することにした。
なにをやるかは聞いてなくギルドから一番近くの関所で待っていてほしいと受付のお姉さんに言われた。
しばらくして街でよく見かける馬車のような乗り物、動力は見たことのない動物、がやってきて御者席に一人で乗る御者が手綱を引き三人の前で止まった。
「あんたらかい?今からウェストンマルク辺境伯領に行こうってのは?」
御者のおじさん──カンカン帽を被り、半袖から見える太いうでは毛むくじゃらで右うでには金のブレスレットをつけ、むねの部分が汗で濡れている──が声を掛けた。
「目的地がどこか知りませんが冒険者ギルドの人にここにいろと言われました」
「目的地も知らねぇのにどこかに行こうってのか?」
ごもっともだとカレンは思った。
「ま、冒険者ギルドに依頼されたってことは俺の客で間違いなさそうだな……。乗りな」
御者のおじさんは親指をキャビンの方にゆびを指しそう言った。
「「「お願いします」」」
三人は挨拶と共に遠慮がちに乗り込む。中にはいくつかの樽と木箱が載せてある。
御者はカレン達が乗ったことを確認し鞭を打ち、ゆっくりと動き出す。
関所を何もなく抜けたため手続きなどは不要らしい。街を出るとすぐに川がありそれと並走するように道が敷設されていた。御者によるとこの川は『ドブラド川』というらしい。
揺らされながら、道を進む。
小さい石ころなどはあったが、道は綺麗に整備されている。道の両脇にはブドウやオリーブの香りのする畑が一面に広がっていた。
たまに左側に同じ形の乗り物がすれ違っていた。
「その動物はなんて言うんですか?」
自分たちをけん引する二匹の動物──ラバに近い見た目で、目がイルカのようにかわいく、楕円で大きい特徴的な耳を持っている──を見たことがなくカレンは気になり質問をした。
「こいつはオダナグラベルっつう種類の動物。こうやって人や物を運ぶための」
「そういえばお名前は?」
「どっちのだ?」
「あぁ、すみませんどちらとも教えてください」
「俺はドリッターだ、三人兄弟の末っ子。それからこいつらは俺の相棒のアームとハートだ」
ガタガタ音がうるさいなか二人は話す。
オダナグラベルは頭がよく人に従順で耳だけでも周りの状況を把握できるぐらい聴覚に優れ、また治癒力も高く小さな怪我のみならず肉が見えるほどの大怪我でもすぐに直してしまい、さらに病気にもかからない。ただ特筆すべきは脚力で他の動物と比べてもずば抜け、重い物や人でも簡単にそして速く運ぶことができる。おまけに体力も目に見張るものがある、と説明された。
カレンはこの動物が何故今の役割か納得した。馬よりも断然に良い。
「目的地までどのぐらいかかるんですか?」
「四人乗ってっから、半日はかかる。それでも早い方だ……。姉ちゃん、ちゃんと寝た方がいい。乗るだけでも体力は持っていかれる」
「分かりました」
カレンは素直に寝ようとするが睡魔は全く襲ってこなかった。
意外と乗り心地は悪くなかった。
ゆらゆらと揺らされ長い時間が経った。
何回かの休憩時にカレンとドリッターは目的地の場所について話した。
寝ようと思っても寝ることができなかったため寝ていたシオノの顔を見て時間を潰していた。
ようやく徐々にスピードが落ちドリッターが手綱を引き完全に止まった。
「ついたぞ」
ドリッターは三人に着いたことを伝える。
カレン達はキャビンから降り、固まった体を伸ばす。
三人は山間に構える辺境地に着いた。
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