「第一話 大勇者の誕生」-10
カレン 十五歳
黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。
[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。
オイキャス 十五歳
黒髪、黒目の主人公。
[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。
シオノ
カレンの推し。
[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。
「ごめんなさい……、ごめん、なさい……」
安心したカレンの目には涙があふれ何度も謝っている。
「何泣いてるんだよ」
「ごめん……」
「カレンちゃん本当に何もなかったから。大丈夫だから……」
推しを危険な目に遭わせ不甲斐ない気持ちでいっぱいだった。自分が役目を買うべきだった。
「カレン、これからこういうことがたくさん起こる……。相手を考えれば、誰も怪我をしなかったのは奇跡だ」
転がっている獣を見下ろしてオイキャスはカレンを諭す。
「わがっでる……」
「いちいち泣いていたら先に進めないぞ……」
「わかってる、わかってるけど……!」
推しがもう一度、それに自分の目の前で死んでいたかもしれない、そんな想像をしただけで涙が止まらなかった。
カレンは「ごめん、一人にして」と二人から離れた。
カレンが泣き止むまで二人は川の水でシオノに着いた血を洗い流していた。
「それにしても……」
「なんだったんだろうね……」
「凄まじかったな」
「うん」
「とりあえずお前が無事でよかった」
カレンは目の前に落ちている獣の死骸を見下ろす。
これだけの大きさのものを簡単に切る、あの仮面の男の強さは伊達じゃない。
カレンは涙を拭って二人のところに戻った。
「心配かけてごめん……」
「大丈夫だ」
「うん」
カレンはどこか上の空で先ほど仮面の男がいた場所をじっと見つめていた。
「カレン?」
「ん?」
「どこ見てるんだ?」
「どこも?」
返事は心ここにあらずという様子だ。
「仮面の男消えちゃったね……」
「仮面の男?」
「そんな人いたか?」
「見えてなかった?」
一瞬の出来事だったのでオイキャスもシオノも確認していなかった。
「あぁ」
「うん」
「ふーん」
「おい……、大丈夫か?」
カレンはオイキャスに体を揺らされ意識が自分に帰ってきた。
「あ、ごめん、もう出発する?」
「はぁー?何言ってんだ?今日はもうここで野宿だって」
カレンはボッとしていて会話をろくに聞いていなかった。
どうやら話したあった結果、日は落ちていないが今日はここで野宿をすることになった。
獣のてだけを回収し、食べられそうな部分だけを夕飯に回すことにした。食べ物の調達は基本的にこの森で行う予定だ。偶発的ではあるが一日目はうまく調達できた。
もし何も調達できなかったら燻製した肉を持ってきているためそれを食べることになっている。
獣の肉は独特な弾力があり硬くておいしくなかった。
それからカレン達は順調に歩みを進めた。
モンスターに遭遇することはあったが三人からすれば難なく対処できた。
食料が尽きかけることはあったが獣に襲われた時ほどの大きな事件はなかった。
二人の顔色は疲労が見えるのに比べ、カレンには疲れが見えなかった。そのためカレンは二人の荷物を少し預かっていた。
「きっついなぁ」
「それは聞き飽きたわよ」
「そういう話を、してるわけじゃない」
「まぁ、まぁ、とりあえず全員無事でたどり着きそうだからいいじゃん」
出発して四日、喧嘩は少なかったが不便なことは多かった。これぐらい些細なことは喧嘩ではなくただの掛け合いの一つになっていた。
昼でも日光を遮るほどの森の先にとうとう光が見えた。
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