「第一話 大勇者の誕生」-9
カレン 十五歳
黒髪ロングの清楚な美人系少女。身長は178cm。
[最近あったこと]:白髪交じりだった髪の毛が黒髪だけになった。
オイキャス 十五歳
黒髪、黒目の主人公。
[最近あったこと]:婚約していた彼女から急にノーを突き付けられた。
シオノ
カレンの推し。
[最近あったこと]:カレンちゃんの様子がおかしい……笑。
オイキャスはこしに差していた剣を取り出す。シオノもすぐに臨戦態勢になる。
それを見てカレンも身動きが取れるように足で軽くステップを踏む。
周りは逃げ道が少なく逃げるという選択肢はない。
グリズリーのような獰猛な獣は怒りに狂っているようでまえあしを使ってあたりの物をなぎ倒しながら三人のもとにより近づいてくる。
ラエル村で剣術と体術を十三年習ってきてはいるものの実践経験は浅くこれほど大きな獣と対峙するのは初めてだった。
三人は固まらずなるべく離れ、大きい声で作戦について話す。
「シオノ?」
「なに?」
「こいついけそうか?」
「分からない……。正直、厳しいと思う」
二人が話をしていると獣は簡単に川を飛び越え三人の目の前あっという間に来て暴れるのをやめた。
「ぐうぉぉぉぉぉぉぉぉ」
獣のめは血走り赤く染まっていた。
三人は背筋を凍らせた。
「オイキャス!」
「なんだ?」
「僕がなるべく誘導してこいつの動きを制御するからその間に少しずつでもいいから攻撃をしてほしい……」
「分かった」
「私も分散要因になる」
「それは……」
「何もしないわけにはいかない」
これは夢、夢の中で死んでも嫌な気分で目覚めるだけ。夢の中でシオノを死なせるなんてあってはならない。
「だったらカレンが攻撃を入れてくれ、オレがシオノの援護をする」
「分かった……。くれぐれも気を付けるんだよ」
「おう!」
「シオノ君も!」
「もちろん!」
「よし、いくぞ!」
シオノがこしに仕舞っていた小さな石器のようなものを獣にぶつけ視線を向ける。狙い通りにいきシオノはその場から少しだけ距離を取ろうとする。
獣はシオノめがけて……。
「嘘でしょ」
自然に漏れたカレンの一言。
獣は先ほどとは比べものにならない速度でシオノに近づき今にも覆いかぶさろうとしていた……。
「危ないッ!!!!」
「シオノ君!!!!」
目の前で起こるであろう光景を見たくなく無意識にカレンは目を閉じてしまった。
「くそっ。失敗だ」
カレンの耳には確かにその声がはっきりと聞こえた。
直後獣は綺麗に縦に四つに裂かれその場に崩れた。
鳴く暇もなく……。
「何が……、起こった……!?」
オイキャスが口にした。
カレンは聞こえた声の主を探すため見渡すと、太い木の枝の上に一人の人間が立っていた。
フード付きの白いコートを纏いフードを被る。ピンクの羽衣を羽織り、能のようなお面をつけ上から動向を注視していた。
「誰!?」
カレンは仮面の男に大きい声で投げ掛けた。一瞬お面の向こうの目と視線を交差した気がしたがその男はすぐさま立ち去ってしまった……。
「シオノ!大丈夫か!?」
心配したオイキャスがシオノの方に駆け寄った。
切られた獣の血がシオノに大量についていた。
カレンはそれを見てハッとする。
「シオノ君大丈夫!?」
カレンも遅れてシオノの元へ駆け寄った。
「僕は大丈夫……。ちょっと一瞬何が起きたから分からなくて倒れこんじゃったけど、怪我はしてないよ」
「「よかったぁー」」
二人はシオノが無事に安堵した。
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