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魔女の世界ともう一人の弟子

「魔女になったとはいえ、魔女の生き方もその世界も知らねぇエロ弟子に、最強の魔女たるヴェネーラ様が教授してやるよ。」

 そう言ったおっぱい様は、際どい角度のホットパンツを脱ぎ捨て、これまたドエロい黒のTバックを露にした後、ビールをグビグビと飲み干し、

「この程度で勃たせてんじゃねぇよ、童貞。」

 股間を抑える僕に呆れた様に言う。

「ど、童貞ちゃうわ!!」

 僕は見栄を張った。

「うるせぇ、火星人。そんなんだから童貞なんだよ。」

 煙草に火を着けながら師匠は僕の心を錆びたナイフで滅多刺しにしてきた。


「まあ、お前が童貞かそうでないかは確定してる訳だからどうでもいいとしてだ。」

 更に僕の心を抉る師匠に、

「どうでもよくないんですけど!!」

 僕はアイアンハートを持って食らいつくが、

「本題だ。」

 無視された。

 どエロい下着姿で脚を組み、指を鳴らしたおっぱい様。

 それと同時に、ゴミの散乱した汚部屋が一瞬で姿を変える。


 異形、奇怪な生物が飛び交う暗闇の世界。声さえ出ない恐怖の世界に僕はペタンと尻餅をつく。

「魔女の世界ヘようこそ…だ、エロガキ。」

 そんな世界の支配者であるかのように、妖艶に笑う師匠は、ビールを飲み干し、虚空から一升瓶を取り出した。



ーーーーーーーーーーーーーー


「雷轟丸は今日も元気やね。さくらはもっと食べんと。」

 鶏によく似た魔法生物を撫で、馬によく似た魔法生物に餌をやる。

緋音(あかね)ちゃん、今日から先生のところに行く日やろうもん?なんば悠長にしてとっとね?」

 優しくも殺気の籠もった声でお母さんが私に言う。 

「行く日やけんが世話しとっとやもん…」

 明日は私の誕生日、魔女として大切な16歳となる日に親元を離れ、師となる魔女の元に行くのが魔女の伝統。

 それは分かっているが、この大好きな環境を離れ、大っ嫌いな人間がうじゃうじゃいる都会に行くのは嫌で仕方ないのだ。

「光乃の家は先生の弟子になるのが伝統やけんね。緋音ちゃんも行かんと。」

 祖母の代から続く伝統。それを破れば、地獄の底より、恐ろしい祖母が蘇ってくる。マジで。

「行きとうなか…」

 魔法生物たちを愛でながらそう呟く。

 私の心を汲んだのか、寂しそうにみんなが私に擦り寄ってくる。

「都会は好かん…」

「せからしかね…」

 グズる私に強烈なボディーブローをキメ、お母さんは私を箒に括りつけた。


「仕送りはやらんけんね~。」

 それが娘の旅立ちにかける言葉ですか?お母さん。


 光乃緋音、本日旅立ちました。

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