コンテスト
澪川の誕生日から10日が経った。何の変哲もない日常を過ごし、充実していた。
「桜志君。今度私の絵が国際学生絵画コンテストに入賞して展示されることになって、北海道にある展示場に行かないといけないんだけど、一緒に来てくれない?」
「凄いじゃん!もちろん僕も行くよ。どの絵が展示されるの?」
「桜志君を描いたやつ。公園で」
「あのやつか!確かに僕も完成した絵を見せてもらってはっとしたからね」
「でも、私今までそういうコンクールとかに応募してこなかったから、少し緊張してる。嘘、すごく緊張してる」
「初めては誰だって緊張するよ。でも、初めてが国際的なコンテストなのが凄いし、それで入賞するのもすっごく凄いこと。誇りに思って堂々としてればいいんだよ」
「ありがとう」
桜志は心の中で歓喜の気持ちと驚きの気持ちが混ざっていた。『澪川の絵は確かに人々を魅了するが、それがまさか世界的にも通用するとは』と規模が大きすぎて実感できていない模様だ。
「北海道か~。日帰りで行くの?何泊かするの?」
「私は一泊二日にしようと思って、ホテル探してるところ。飛行機代で結構掛かるから、そんなに凝ったところには泊まる予定ないんだ」
「そうなんだ」
「だけど今回のコンテスト賞金あるの。金賞受賞者は100万円。銀賞は70万。銅賞が50万。私は銀賞だったから70万を現金で貰えることになってるんだ」
「おおっ、お金に余裕もてるね」
「そう。それは、全部貯金して必要な時にすぐ使えるようにするつもり」
「もしかして、コンテストに応募してたのもお金関係してる?」
「うん。ほんとのこと言うとね。私伯父から送金してもらえてたんだけど、あんなことになっちゃったから、自力でお金作っていくしかなくなって。それで、私の唯一の取り柄と言えば絵だから、とりあえず一番の自信作を応募しておいたの」
「そうだったのか。70万円って結構な大金だよな」
「そうだね。だいぶ心の余裕ができる。だけどバイトのシフトは変えるつもりはないの。さっきも言った通り、いざという時大金が必要になったりすることがこれから出てくると思う。気を緩めたら終わりだから」
「雪は偉いね。僕にできることがあったらいつでも頼ってね。まあ、頼りになる存在か分からないけど」
苦笑紛れに桜志が言うと、澪川は『そんなことない』と少し頬を緩めた状態で言った。




