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姫たちは嗤う  作者: Kanon1969
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プロローグ

僕の目の前で、2人の少女が微笑んでいる。


「これで君たちと契約させてもらえるだろうか?」


純白のドレスを纏った美しい白い髪をもつ少女が僕の問いに答える。


《いいわ。貴方のこと気に入ったし、してあげるわ》


漆黒の着物に身を包んだ艶やかな黒髪の少女が白い少女に続いて答える。


〈ワタクシももちろん構いません〉


そして2人の少女は同時に同じ言葉を紡ぐ。


《でも、対価はもらうわよ》

〈ですが、対価はもらいます〉


契約には対価が必須だ。対価のない契約なんて無価値なものを交わすつもりなど元からない。


「分かっている。何を差し出せば良い?」


対価が重い程に契約がもたらす力は強くなる。


《ワタシはーーをもらうわ》


〈ワタクシはーーをもらいます〉


今更僕のものに価値はない。なんであろうと差し出そう。


「分かった。もっていけ」


これで僕には最早なにも残らないだろうな。


《ここに契約を交わすことを誓う?》

〈ここに契約を交わすことを誓いますか?〉


そして、2人の少女は僕に契約を迫る。


「誓う」


僕の言葉とともに眩い光が僕を包み、少女たちの声が聞こえてくる。


《今ここに契約を果たすわ》

〈今ここに契約を果たしましょう〉


光が収まると、僕の左手の薬指には二つの指輪がはめられていた。


《よろしくね!ダーリン!》

〈よろしくお願いいたします。旦那様〉


またこの指か……。


《うわ……。一番は黒いのに奪われたの?凄く悔しいわ〉


〈ワタクシも一番ではないようですよ。ワタクシは二番さん、白い方は三番さんみたいですね〉


今、僕の左手の薬指には三つもの指輪がはめられている……。だけど一つ目の指輪は目には見えず、そこには一見して黒と白の指輪のみをつけているようにしか見えないのだ。


《本当だわ。一番は初めからその子に取られてたのね。でもその子……》


〈ええ。溶けてしまってますね。それなら別に何も気にしなくて良さそうです。ですが、その方のおかげでこうして無事に契約できているのですから、感謝しなくてはなりませんね〉


《そうね……》


溶けてしまったか……。しかし、確かにそこにソレは存在している。


《ところでダーリン、早く名前をくれないかしら?》


〈そうですね。ワタクシも早く頂戴いたしたいです〉


契約後、名を与えることで僕らの契約は初めて完全なものになる。


「君の名はエデン」


《ワタシはエデン。白の姫》


「君の名は夜見」


〈ワタクシは夜見。黒の姫〉


そして2人の少女は契約の完了を告げる。


《ワタシはダーリンと添い遂げることを誓うわ》

〈ワタクシは旦那様と添い遂げることを誓います〉


「我が名はーー。ーー。君たちと永遠にあることを誓う」


真に契約は完了し、優しい光が周囲を包んだ。そして僕は残っていたものも全て捧げた。これまでの僕がいたことも、これからに僕がいることも証明できるものは何もない……。

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